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思わず鼻歌を歌いたい気分だ。たぶん俺が、モブじゃなかったら笑顔を、浮かべていただろう。
あれからレイザードとロイが、会う機会を作った。人目がある所だと、謝りづらいだろうと思って自宅の提供もしている。
あの一件を、ジルベールがロイに謝罪してロイもそれを受け入れた。なんとも心の広い主人公である。俺ならあんな目にあったら、その相手が近づいてきたら怖くて逃げだす自信がある。
礼として出すなら、騎士Aだな。あいつには、もう会いたくない。なぜか前家に来たけど、もう二度と会いたくない。
まあロイがそんなことになったら、全力で止めてフォローするけどな。
結構いい雰囲気にも、なっている。これならイベントも、そのうち発生するだろう。俺の念願が、やっとかなうのである。機嫌が良くならない訳がない。
ただ良い雰囲気の二人を、置いて出かけようとして俺を二人そろって止めたのが解せない。
なにも本当に出かけようと、思った訳ではない。扉を完全に閉めないで、こっそりといい雰囲気の二人を覗こうとしていただけである。
まあいきなり二人きりというのも、緊張するものだろう。ジルベールからしたら、あんな事があった後だ。いきなりロイと二人きりというのも、気まずいのかもしれない。ロイからしても、まだ恐怖心はある可能性もある。それを考慮して、その時は大人しくその場に残って二人を眺める選択をした。
あの雰囲気なら、これからイベント盛りだくさんだろう。
スキップしたい気分を押さえて、俺は歩を進める。なんせ俺に笑顔の差分はない。無表情で、スキップしているやつなんて怖いだけだから自重しておいた。
そろそろ心の中で、にやつくのを止めないといけない。いまから商人ギルドに、手続きに行くんだ。
商人ギルドというか、シーディスさんの土地で店を出している。その更新をしに向かっている最中である。更新と言っても、小難しい手続きが必要なわけじゃない。
用意された書類に、必要事項を記入するだけだ。とくに問題をおこしていなければ、すんなり了承されて継続して店をだせる。
しばらく歩くと、商人ギルドの本部に着いた。
いつも思うのだが、建物が大きい。見た目も豪華だし、立派だ。まあ商人のギルドなのに、見た目が貧相だと信用に関わるのかもしれない。だがそれにしても、いつきても圧倒される。最初来た時は、立ち入っていいのか躊躇したくらいだ。
いまでも扉を開ける時は、少し緊張する。
「……入るか」
いつまで入り口にいても、邪魔になるだけだ。俺は両手で押さないと、開かない馬鹿でかい扉を開けて中に入った。




