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「爆死おめでとう、勇者さま」——全財産つぎ込んだで爆死したソシャゲーマー、異世界で配布R女神と最底辺から始めます  作者: ころにゃん


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5. ずっと一緒の約束

登録手続きが終わって、ギルドカードが発行された。


……灰色だった。


カード全体が灰色。背景も灰色。文字も地味。


ソシャゲのNカードと同じ配色。


「あの、エルナさん。このカード、色って選べます?」


「ランクに応じて自動です。Fランクは……その、灰色です」


「ですよね」


「ちなみにSSRランクの方は虹色に光ります」


「その情報は聞いてない」


レクトちゃんのカード虹色なんだ……。


リルアが私のカードを覗き込んだ。


「わあ、ひなたちゃんのカード!」


「灰色だけどね」


「でも、ひなたちゃんの名前が書いてある! 私の名前も! "所属女神:リルア"って!」


「……そこ喜ぶんだ」


「だって、ペアだよ? カードでもペアなんだよ?」


リルアが灰色のカードを両手で持って、きゅっと胸に抱えた。


……灰色でもいい気がしてきた。


エルナさんがそのやり取りを見て、柔らかい目をしていた。


……少しだけ、寂しそうな目でもあった。


「……桜庭さん」


「はい」


「その、毎日のガチャ結果なんですが。私にも教えてもらえませんか。データを……まとめたいので」


頬がほんのり赤い。


「いいよ、もちろん! ガチャ仲間だね!」


「ガチャ仲間……!」


エルナさんの目がキラキラ輝いた。事務的な仮面がまたちょっとずれてる。


「ありがとうございます。毎朝、楽しみにしていますね」


リルア(後光暗め)「……私も楽しみにしてるのに」


「リルアが一番だよ?」


後光復活。



ギルドを出た頃には夕方で、空がオレンジ色に染まっていた。


宿に戻って、ベッドに倒れ込む。


異世界2日目。


スキルは2個。ランクはF。ギルドカードは灰色。


でも、ガチャ仲間ができた。女神さまは隣にいる。


悪くない、のかな。


「ひなたちゃん」


リルアが、もじもじしながら私のベッドの横に立っていた。


「あのね……お願いがあるの」


「うん」


「今夜も……一緒に寝ていい?」


「え? リルアのベッドあっちにあるよ?」


「あるけど……ひとりは怖いの。暗いと後光がしょぼくて余計に暗くて……」


リルアの後光をちらっと見た。ロウソク。確かにこれじゃランプにもならない。


「お願い……ダメかな?」


上目遣い。指先で私のシーツの端をぎゅっと掴んでる。


こんな顔されて断れる人間いる?


「……おいで」


「! いいの!?」


「いいよ。おいで」


布団を持ち上げてあげると、リルアがすごい勢いで潜り込んできた。


そしてすぐに私の腕にくっついた。


「えへへ……ひなたちゃんのベッド、ひなたちゃんの匂いがする」


「嗅がないでよ恥ずかしい」


「いい匂い。安心する匂い」


「……もう」


コメント欄が流れてるけど、「見るな」と念じた。


『また真っ白に――』


『おい大事なとこだろ!』


『プライバシーフィルター仕事しすぎ』


『視聴者はモヤモヤしてます』


騒いでるけど、知らない。


今は、二人きりがいい。


リルアが私の腕に顔を埋めた。銀色の髪が広がって、後光がふわぁっと柔らかく光る。


さっきまでロウソクだったのに、今は暖炉くらいの温かさ。


「ひなたちゃん」


「ん?」


「今日、鑑定でスキルが2個って言われた時……悲しくなかった?」


「うーん……ちょっとだけ」


嘘。ちょっとじゃなくて、すごく怖かった。


でもそれは言わない。


「ごめんね」


「リルアのせいじゃないよ」


「でも、セラフィーナちゃんのところは7個で……私のところは2個で……」


「リルア」


「……はい」


「昨日言ったでしょ。推しは性能じゃないって」


「うん」


「スキルが2個でも7個でも、リルアが私の女神さまなのは変わらないよ」


リルアが顔を上げた。


近い。すごく近い。


青い目がうるうるしてて、後光がぽわぽわ光ってて、唇がちょっと震えてて。


「ひなたちゃんは……すごいね。私、今まで誰にもそんなこと言ってもらったことない」


「そう?」


「うん。"Rだから"って、"どうせハズレだから"って、みんな見向きもしなかったの。でもひなたちゃんは……私を見てくれる」


「……見るよ。だって私のたった一人の女神さまだもん」


言った後で、ちょっと恥ずかしくなった。


リルアが真っ赤になった。


後光がぼわっと明るくなって、暗かった部屋が一瞬だけ昼間みたいに照らされた。


「わっ、まぶしっ!」


「ご、ごめんなさい! 勝手に光っちゃった!」


慌てて後光を抑えようとするけど、ぽわぽわ明滅が止まらない。


嬉しい時は光って、悲しい時は暗くなって、照れると暴走する。


感情ダダ漏れ後光。


「ね、寝よう! 明日は0時にガチャだし!」


「う、うん! ガチャ! 楽しみ!」


リルアが私の腕にぎゅっとしがみついて、目をぎゅっと閉じた。後光が少しずつ落ち着いていく。キャンドルくらいの光量。


ちょうどいい明るさだ。


……今日、鑑定室で感じた「怖い」は、まだ消えてない。


スキル2個で、この世界を生きていけるのか。ゲームの知識だけで、本当に戦えるのか。


わからない。


でも隣に、あったかい女神さまがいる。


それだけで、もうちょっとだけ頑張れる気がするのは、たぶん甘えだ。


でもまあ、今はいいか。


「おやすみ、リルア」


「おやすみ、ひなたちゃん。……明日も一緒だよ?」


「一緒だよ」


「……えへへ」


R女神の後光に照らされながら、異世界2日目の夜が更けていった。


明日はガチャ初回。


N90%。ゴミの山が来る。


でも、ソシャゲで3年間やってきたことを思い出す。


ゴミに見えるアイテムの中に、誰も気づいていない使い道を見つけること。それが私の戦い方だった。


低レア攻略の専門家は、低レアスキルで異世界を生き延びてみせる。


……たぶん。



――そして深夜0時。リルアと手を重ねて、異世界初のガチャを引いた。光の色は――灰色。そして9個のNアイテムが、部屋にばらまかれた。


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