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第6話 SOKR

ヴェルホ山の奥地、そこにあるというSOKR基地までの間、久世とSOKR兵の会話は続く

「お前さんらはロスヴィエトの部隊で一応ロスヴィエトの国家に所属してるんだよな?」

率直な疑問だった。彼らは国の軍にしては軽装備かつ少人数。しかも敵地の山奥に基地を作ってるどう考えても1部隊のやっっていいことの範囲を超えてる。

「ああ、だが我々は正規軍であるとともに独立した一種の民族とも言える。」

SOKR兵は続ける

「ロスヴィエトという国の中のルドエゴに住むある民族がいた。彼らは狩猟採集を基本とし、ロスヴィエトの民族同一化政策に最後まで対抗し続けた。だが、文明力の差から敗北し、ルドエゴやロスヴィエトの山々から追いやられた。しかし、その数年後その民族により管理されていた森が手を離れ、荒れてしまった。その結果多くの災害が起こり、ロスヴィエト政府は非公式に民族へ謝罪し軍の部隊SOKRとして多くの権利を獲得した。」

「ほう、それであんたらはこの戦時に介入してるってことだな。」

合点がいった。そういうことか、ロスヴィエト政府は災害の原因を自らの政府の民族迫害ではなくあくまでも災害は災害として処理し、政府の新部隊として民族を遺した。筋は通ってる。

ヴェルホ山の奥へ進むにつれ、森の密度が変わった。

木々は密集しているはずなのに、視界は不思議と開けている。

「……整備されてるな」

ソロが小さく呟く。

「破壊してない。管理してる」

SOKR兵が答える。

足元に踏み荒らされた痕跡はない。 銃弾の跡も、爆発の痕も、焼け焦げもない。

戦場であるはずの森が、生きている。

前を歩くSOKR兵が、手で合図を出した。 一同が立ち止まる。

「客人だ。族長の間まで通せ」

客人待遇か、気に入られてそうで良かった 。久世は胸を撫で下ろす。

開けた場所。

自然の地形を利用した簡易拠点があった。 人工物は最低限、カモフラージュは完璧。

それでも“拠点”だとわかるのは、そこに人の気配があるからだ。

「武器を預けろ」

門番のような大柄な男が言った。

「弾だけでいい」

久世は頷き、マガジンを外してチャンバー内の弾を抜き、差し出す。

鷹宮もそれに倣った。

「チャンバーの中には弾を入れておけ」

なぜだ、普通全弾渡すもんだろ

「なぜ」

「我々の民族は立場で物は決めない。一度の機会は与えられるべきだ」

「そういうの嫌いじゃないぜ」

部屋に通された動物の皮のカーペット先程までギリースーツを着て、俺等を先導してたやつが族長らしい。彼は大きな熊の皮でできたマントを着け眼の前に座った 30代後半から40代。 深い傷跡が首元に見える。

「ヴォルフだ」

「階級は?」

「この山では不要だ」

久世は軽く笑った。

ヴォルフは久世をまっすぐに見た。

「ゼロ。なぜ“終わらせ”たい」

「俺は戦争屋じゃない。それに俺は無駄な血が流れるのをとっても嫌うタチでね。」

「国家の犬だろう、それに軍人を連れてる。」

「否定できねーな、目的のために手段は選べない。それは狩人も一緒だろ?」

ヴォルフはにやりと笑い、言った。

「お前とは気が合いそうだ。だがお前の上はどうだ?お前の国は戦争屋だろ?」

久世はぐっと身を乗り出す。

「そうは思わねーし、戦争で得をする連中と、戦争で死ぬ連中が違うことくらいは、知ってる」

ヴォルフの視線が、わずかに鋭くなった。

「……続けろ」

「この地域に、国家じゃない何かがいる」

沈黙。

風が、葉を揺らした。

鷹宮が息を呑む、実戦経験のない素人にしては持ってる方だ。

「赤いマスク」

ヴォルフは眉をひそめる

「情報は持ってるようだな」

赤いマスク、赤色の注射器、バラバラの装備がホログラムに映し出された。

「奴らが何者かはわからん。しかし、実際我が家族も攻撃にあってる。本国はなにか掴んでるようだが、我々の存在を良しとしない派閥がその連絡を絶ってる。」

鷹宮が言った「じゃあロスヴィエトでも菊東でも情報がほとんどない未知の部隊ってことかよ」

「そうなるな。ヴォルフ、お前はどう見てる」

「ゼロ、そんなことを他国の兵に聞いてどうする。こいつは敵だぞ」

「黙れソロ、俺はヴォルフに聞いてる。お前が口出すことじゃない。すまないヴォルフ無礼な発言を許してくれ」久世が頭を下げた。

「気に入った。お前らに協力しよう。」

ヴォルフは満足気に言った。

「あの赤どもはきっとなにかの目的のために動いてる。この国の中にある大使館や他国軍からの情報がなければどうにもならないかもしれんな。なにかわかれば連絡する。我々もこの戦時が終わってくれるのは大歓迎なのでな。これを持っていけ、それに連絡させてもらう。」

ブレスレット上の端末を受け取った。

彼の家族に森の出口まで送られた後、無線が鳴った。

「ようヴィーナス、ちゃんと聞いてたか?」

「ああゼロ、君のやり方にはヒヤヒヤさせられるよ。だが見事だった。ソロ、SOKRの武器の解析を進めてくれ」

「はい、彼らの装備の分析を開始します。」

今日はやっとゆっくり寝れそうだ。

登場人物紹介

久世玲司(43) 主人公 さえないおっさん 元MIF コードネーム:ゼロ

篠宮澪子(??) 玲司の上司 玲司のことが好き 王子様キャラ コードネーム:ヴィーナス

鷹宮恒一(32) 玲司の副官 元自衛軍 前線任務は初 コードネーム:ソロ

白川朱音(36) MIF 玲司の元カノ 未練あり

白川直人(38) AEMS 朱音の夫

ドクター(148) 朱音と玲司の師匠

ヴォルフ(43) SOKR族長

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