表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第1章:閉鎖駅の捕食者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/26

第6話:その手を離さない

眼前に迫る死の未来。

リカルドが選んだのは、計算された生存ルートではなく、愚かな愛の証明でした。

第1章『閉鎖駅の捕食者』、完結です。

眼前に迫る、巨大な紅い結晶の槍。

 右目が映し出す未来に、逃げ場はない。数秒後、俺の心臓はこの槍によって貫かれる。

(……いや、一つだけある)

 『予見眼』が示す、数万通りの死のノイズ。その隙間に、わずか一筋だけ存在する、俺が五体満足で生き残るための「残酷な選択肢」。

 それは、カレンの心臓を――彼女の力の源である「核」を、彼女が攻撃してくる前に撃ち抜くこと。

 床に落ちている、あのおっさんが落とした拳銃を使えば、今の彼女なら殺せる。

「さぁ、選べリカルド! 彼女を殺して生き残るか、彼女に殺されて無残な死体になるか!」

 管理官の嘲笑が響く。

 俺は、走り出した。

 拳銃とは逆の方向へ。

 カレンに向かって。彼女が放つ、死の棘の嵐の中へと。

「あ……あぁ……リカルド、くん……ッ!」

 自我を失いかけたカレンの瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

 右目が痛い。脳が焼ける。

 飛来する結晶の破片を、最小限の動きで避ける。頬が裂け、肩が削れ、血が舞う。

 だが、止まらない。

「ふん、自暴自棄か? 救えないな」

 管理官がスイッチをさらに強く押し込む。

 カレンの背中の刃が、さらに禍々しく膨れ上がった。

 そして――槍が放たれた。

 回避不能。直撃すれば、俺の身体は消し飛ぶだろう。

 だが、俺は避けるのをやめた。

 あえて槍の軌道上へと、自ら飛び込んだのだ。

「――っ!?」

 管理官の顔が驚愕に歪む。

 ドシュッ、と肉を裂く鈍い音がした。

 紅い槍は、俺の左肩を深く貫き、そのまま壁へと縫い付けた。

 激痛で意識が飛びかける。だが、これでいい。

 この距離なら、手が届く。

「……捕まえた」

 俺は血まみれの右腕を伸ばし、震えるカレンの身体を強く抱き寄せた。

「なっ……!? 肩を捨ててまで、接近したというのか!」

「カレン……聞こえるか。俺を殺してもいい。でも、これだけは忘れるな」

 俺は、彼女の耳元で囁く。

「俺が視てる未来には……お前と海に行く未来以外、一つも入ってないんだよ」

 ドクン、とカレンの鼓動が伝わってきた。

 彼女の目から光が戻り、紅いノイズが急速に引いていく。

「リ、リカルド……くん……?」

 カレンが俺の背中に手を回した瞬間、周囲に展開されていた紅い刃が、霧が晴れるように霧散していった。

 同時に、彼女の叫びに応じるように、管理官が持っていたデバイスが内側から爆発した。

「ぐわあああぁっ!? 私のデバイスが……バカな、共鳴したというのか!?」

 俺は肩に刺さった槍の残骸を引き抜き、よろけながらもカレンの手を握った。

「カレン、行こう。……ここから、地上へ」

 駅の奥、非常階段の先から、微かな光が差し込んでいる。

 一時間の制限時間は、もうすぐ終わる。

 俺たちは、呆然と立ち尽くす管理官を背に、光の射す方へと駆け出した。

 出口の重い扉を蹴破る。

 そこに広がっていたのは――。

第6話をお読みいただきありがとうございました!

ついに地下駅を脱出した二人。

しかし、彼らを待っていたのは希望の光景ではありませんでした。

これにて第1章「閉鎖駅の捕食者」完結です。

次回、第2章「瓦礫の街の追走劇」がスタートします。

もし「面白い!」「続きが気になる!」と思って頂けましたら、ぜひ【ブックマーク登録】や、ページ下部の【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!

(評価をいただけると、執筆のモチベーションが爆上がりします……!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ