表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第1章:閉鎖駅の捕食者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/26

第3話:迫りくる「お掃除屋」

通路を塞ぐ鉄の塊。

「お掃除屋」と呼ばれる機械兵器が、二人の行く手を阻みます。

地下通路の奥から、不快な金属音が響いてくる。

 ――ギギィ、ギギギィ……。

 重い鎖を引きずるような駆動音。それに混じって、シュシュッという排気音が、静まり返ったコンクリートの壁に反響する。

「……来た」

 俺の右目が激しく脈打つ。

 視界が赤く染まり、未来の断片が高速で流れ込んできた。

 ――暗闇から飛び出す、鋭利なメスのようなアーム。

 ――俺の首が、抵抗する間もなく切断される光景。

 ――無機質に発光する、単眼のレンズ。

「カレン、左だ! 天井から来るぞ!」

 俺が叫ぶのと、通風孔の格子を突き破って「それ」が飛び出してきたのは同時だった。

「――排除対象、確認」

 現れたのは、多脚型の蜘蛛のような形状をした機械兵――通称「お掃除屋」。

 頭部のカメラレンズから放たれる青いレーザーが、獲物を定めるように俺たちをなぞる。

「リカルドくん、下がってて」

 カレンが俺を背に庇う。彼女の背中から、紅い結晶の刃が鋭くしなった。

 お掃除屋が、音もなく跳躍した。

 鋼鉄のアームが、カレンの細い首を刈り取ろうと横一文字に振るわれる。

 だが、カレンは動かない。

 ガギィィンッ!

 彼女の周囲に展開された結晶の盾が、火花を散らしてお掃除屋の攻撃を弾き返した。

「私のダーリンを怖がらせるなんて……部品パーツ単位までバラバラにしてあげる」

 カレンの瞳に、深い殺意が宿る。

 彼女が指をパチンと鳴らした瞬間、地面から突き出した数本の「血の槍」がお掃除屋の装甲を貫き、中空に固定した。

「ギ、ガガ……システム、損……傷……」

 火花を散らす機械兵を、カレンは冷酷に踏みつぶす。

 グシャリ、とオイルと鉄屑が混ざった嫌な音が響いた。

 だが、安堵する暇はなかった。

 通路の奥から、一つ、また一つと、無数の「青い光」が灯り始めたのだ。

「……冗談だろ」

 その数は、十や二十ではない。

 まるで虫の群れだ。壁を、天井を這い回りながら、こちらへ殺到してくる。

『――おやおや。カレンちゃん、お掃除屋一体にそんなにマジになっちゃって。でも、一時間はまだ始まったばかりですよ?』

 スピーカーからの嘲笑。

 制限時間、残り五十分。

 俺は、震える手でカレンの手を強く握り返した。

「……カレン。逃げるぞ。正面突破は無理だ。俺の右目が、一番安全なルートを視せてくれる」

 カレンは一瞬、きょとんとしたが、すぐに蕩けるような笑顔を浮かべた。

「うん、リカルドくん。君の視る未来なら、私はどこまでもついていくよ」

 迫りくる機械の群れを背に、俺たちは迷路のように入り組んだ地下通路を、光の射す方角へと駆け出した。

圧倒的な物量で迫る「お掃除屋」。

次回、束の間の休息と、二人の「約束」が語られます。

面白いと感じていただけたら、【ブックマーク登録】や評価で応援いただけますと嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ