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エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第3章:碧き自由への反逆(最終章)

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最終話:ハロー、ニューワールド

崩れ落ちる支配者の城。

瓦礫の街から始まった二人の逃避行は、ついに「世界」へと到達します。

ここからは、誰も知らない物語です。

轟音と共に、巨大な旗艦が傾いていく。

 俺とカレンは、爆発と炎に包まれる甲板を駆け抜けた。

「リカルドくん、あそこ!」

 カレンが指さした先。

 煙の向こうから、一隻の軍用脱出艇が猛スピードで近づいてきた。

 操縦席から身を乗り出し、悪態をついているのは――見慣れた、むさ苦しいオッサンだ。

「おいコラ、カップル! いつまでイチャついてやがる! 置いてくぞ!」

「早く! 爆発しちゃうよ!」

 ガンツとシキだ。

 俺たちは顔を見合わせ、笑った。

 助けに来てくれると信じていた。

「飛ぶぞ、カレン!」

「うん!」

 俺たちは炎の海を背に、虚空へと身を投げ出した。

 宙を舞う一瞬の浮遊感。

 そして、ドサッという衝撃と共に、脱出艇の座席に転がり込む。

「捕まってな! 振り落とされるんじゃねぇぞ!」

 ガンツがスロットルを全開にする。

 脱出艇は水飛沫を上げ、沈みゆく鋼鉄の巨体から一気に離脱した。

 背後で、巨大な火柱が上がる。

 空を焦がすその炎は、俺たちを縛り付けていた「鳥籠」が焼け落ちる狼煙のろしのようだった。

 ◇

 数時間後。

 俺たちは、名もなき海岸に辿り着いていた。

 瓦礫の街とは違う、緑の植物が茂る大地。

 空気は澄んでいて、風が草の匂いを運んでくる。

「……さて、ここでお別れだな」

 ガンツが煙草に火をつけ、ふぅと紫煙を吐き出した。

「俺は、近くの集落を探して店でも開くさ。この軍用艇のパーツを売れば、元手くらいにはなるだろ」

「ボクも行くよ。おっさんの店なら、退屈しなさそうだしね。それに……」

 シキはちらりと俺たちを見て、ニシシと笑った。

「お邪魔虫は退場しないと、カレンちゃんに殺されそうだし」

「あ、分かってるじゃん。賢いね、シキ」

 カレンが冗談めかして笑う。

 短い間だったが、背中を預け合った仲間たち。

 湿っぽい言葉はいらない。

「あぁ。二人とも、達者でな」

「へっ、お前らこそ。……幸せになれよ」

 ガンツとシキは、手を振りながら去っていった。

 その背中が見えなくなるまで、俺たちは見送った。

 そして、残されたのは俺とカレン。二人きり。

 目の前には、どこまでも続く青い海と、広大な世界が広がっている。

「ねぇ、リカルドくん」

 カレンが俺の手をギュッと握りしめ、上目遣いで見つめてくる。

「これから、どこへ行くの?」

 俺は視線を巡らせた。

 右目に映る未来に、もう「死」や「壁」はない。

 無数の選択肢。無限の可能性。

 どれを選ぶのも、俺たちの自由だ。

「そうだな……。まずは、うまい飯でも食いに行くか」

「賛成! 桃缶じゃないやつね!」

 カレンが花が咲いたように笑う。

 その笑顔を守れたことが、俺にとって何よりの誇りだった。

「行こう、カレン。世界は広いぞ」

「うん! ……ずっと一緒だよ、ダーリン」

 俺たちは手を繋ぎ、歩き出した。

 道なき道を。

 誰も知らない、新しい世界へ向かって。

 ――ハロー、ニューワールド。

 俺たちの本当の旅は、ここから始まるのだ。

 (完)

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

リカルドとカレンの逃避行、これにて完結となります。

最初は孤独だった二人が、仲間と出会い、壁を越え、自由を手にする物語。

もし「面白かった!」「二人の幸せな未来が見れてよかった!」と思っていただけましたら、

【完結後の評価(☆☆☆☆☆)】や感想をいただけると、作者としてこれ以上の喜びはありません。


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