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エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第3章:碧き自由への反逆(最終章)

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第24話:二人が選ぶ未来

神を自称する男の目には、孤独な支配しか映っていませんでした。

しかし、リカルドとカレンの目には、二人で歩む景色が映っています。

その差が、勝敗を分けました。

「認めん……認めんぞ、こんな不確定要素エラーなどッ!!」

 ワイズマンが絶叫した。

 彼は懐から注射器を取り出し、自らの首筋に突き立てる。

 強化薬物を投与された彼の右目、『観測眼』がどす黒く充血し、異様な光を放ち始めた。

「私は神だ! 私が視た未来こそが絶対だ! 死ね、死ね、死んで私の正しさを証明しろォォッ!!」

 ワイズマンが銃を乱射する。

 弾丸の一発一発が、因果律を歪めて俺たちの急所へと迫る。

 避けても当たる。防いでも貫通する。無理やりねじ曲げられた「死の運命」。

 だが、今の俺には聞こえていた。

 背中を預けるカレンの鼓動が。彼女の意思が。

「……カレン、俺の手を握れ」

「うん!」

 俺たちが手を繋いだ瞬間、脳内に電流が走ったような感覚が弾けた。

 俺の『予見眼』と、カレンの研ぎ澄まされた『戦闘直感』。

 二つの力が混ざり合い、共鳴する。

 視界からノイズが消えた。

 ワイズマンが押し付けてくる「死の未来」が、ガラス細工のように粉々に砕け散り、その向こうに、一本の光り輝くルートが現れる。

「視えるか? カレン」

「うん、視えるよ。私たちが勝つ未来!」

 俺たちは同時に踏み込んだ。

 迫りくる弾丸の嵐。

 だが、俺たちは避けない。ほんの数ミリ、首を傾けるだけ。肩を引くだけ。

 それだけで、全ての銃弾が俺たちの皮膚を掠めることもなく通り過ぎていく。

「な、なんだ!? なぜ当たらない!? 私は『命中』を確定させたはずだぞ!?」

 ワイズマンが後ずさる。

 彼の目には、俺たちが残像のように揺らいで見えているはずだ。

「アンタの未来は『一人』で決めた妄想だ」

 俺はワイズマンの懐へと潜り込む。

「だが、俺たちは『二人』で未来を選ぶ! 誰にも邪魔はさせない!」

「ひっ、あ、あぁぁ……ッ!?」

 ワイズマンの眼前に、カレンが飛んだ。

 彼女の右拳に、ありったけの紅いエネルギーが収束する。

 それは破壊の光ではない。

 鎖を断ち切り、自由を掴み取るための、希望の輝き。

「これで……おしまいッ!!」

 カレンの拳が、ワイズマンの顔面――その傲慢な『観測眼』ごと打ち砕いた。

 ズドォォォォォンッ!!

 強烈な衝撃が艦橋を貫く。

 ワイズマンは糸の切れた人形のように吹き飛び、制御コンソールに激突して動かなくなった。

 彼の目から放たれていた禍々しい光が消え、ただの男へと戻っていく。

 ――勝った。

 俺たちの勝利を祝福するように、艦橋の窓から朝日が差し込んできた。

 水平線から昇る太陽が、海を黄金色に染めていく。

「……終わったね、リカルドくん」

「あぁ。長かったな」

 カレンが俺に抱きつき、俺も彼女を強く抱きしめ返した。

 温かい。生きている。

 俺たちは、自分たちの力で「明日」を勝ち取ったのだ。

 だが、余韻に浸る間もなく、艦全体が大きく傾いた。

『警告、機関部臨界。自爆シーケンス作動。総員退避せよ――』

 無機質なアナウンスが響く。

 ワイズマンの最後の悪あがきか、それとも戦闘の余波か。

 この船はもう持たない。

「急ごう! ガンツとシキが待ってる!」

 俺たちは手を繋ぎ、崩れゆく要塞からの脱出を開始した。

ワイズマン撃破!

二人の絆が因果律を超えました。

次回、いよいよ最終話エピローグ

沈みゆく船からの脱出、そして仲間たちとの別れと旅立ち。

「瓦礫の街」から始まった二人の物語、堂々の完結です。

最後までお付き合いください!

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