第21話:黒翼の処刑人
甲板を埋め尽くす兵士たち。
シキとガンツの背中が、リカルドたちに道を切り開きます。
そして艦橋の前で待っていたのは、カレンと対をなす「絶望」でした。
「数が多いな! キリがねぇぞ!」
ガンツが巨大なモンキーレンチを振り回し、兵士を殴り飛ばす。
シキも奪ったアサルトライフルで応戦しているが、増援は次々と現れる。
「リカルド! ここで足止め食らってたらジリ貧だ!」
シキが叫んだ。
彼らはアイコンタクトを交わすと、俺たちの前に立ちふさがった。
「ここはボクとガンツのおっさんで食い止める! キミたちは親玉のところへ行け!」
「おいおい、俺まで巻き込むなよ……と言いたいとこだが、乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやるよ!」
ガンツが不敵に笑い、レンチを肩に担ぐ。
「防壁を開けた時の借りを返させてくれよ。……行けぇッ!!」
二人が兵士の群れに突っ込み、道をこじ開ける。
俺は唇を噛み締め、頷いた。
「死ぬなよ! 絶対に戻ってくるからな!」
「カレン、行くぞ!」
俺はカレンの手を引き、二人が作ってくれた血路を駆け抜けた。
目指すは中央にそびえ立つ艦橋。あそこにワイズマンがいる。
だが、ブリッジへの入り口まであと数メートルというところで、俺の右目がかつてないほどの「死」を感知した。
赤い警告色が視界を埋め尽くす。
「カレン、止まれッ!!」
「――ッ!」
俺の声と同時に、カレンが俺を突き飛ばし、背中の翼を盾として展開した。
ドォォォォンッ!!
漆黒の閃光が、カレンの紅い盾に直撃した。
凄まじい衝撃波が走り、甲板の鉄板が飴細工のように捲れ上がる。
「……へぇ。私の『黒閃』を防ぐなんて。失敗作にしてはやるじゃない」
爆煙の向こうから、冷ややかな少女の声が響いた。
現れたのは、カレンと同じ年頃の少女。
だが、その身に纏っているのは漆黒のドレス。
そして背中には、カレンの紅い翼よりも一回り大きく、禍々しい輝きを放つ「黒い結晶の翼」が生えていた。
「あなたは……」
カレンが険しい表情で睨みつける。
「私は『ノア』。ワイズマン様に造られた、最強の完成体。……あなたみたいな『模造品』とは格が違うの」
ノアと呼ばれた少女が指を鳴らすと、背中の黒翼から無数の黒い刃が生成され、空中に展開した。
その圧力は、今まで戦ってきたどの敵よりも重く、絶望的だ。
「リカルドくん」
カレンが背中越しに声をかけてきた。
彼女は震えていない。むしろ、楽しそうに笑っていた。
「先に行って」
「なっ……一人で戦う気か!? あいつはヤバい、俺のサポートがないと!」
「ううん。リカルドくんは、ワイズマンのところへ行って。このゲームを終わらせてきて」
カレンが振り返り、俺の頬にそっとキスをした。
「大丈夫。私、リカルドくんに恋してるんだもん。愛の力は無敵なんだよ? ……あんな真っ黒なカラスになんて、負けない」
その瞳には、絶対的な信頼と、揺るぎない覚悟が宿っていた。
俺は拳を握りしめ、頷いた。
ここで俺が躊躇えば、シキたちの覚悟も、カレンの決意も無駄になる。
「……分かった。絶対に勝てよ、カレン」
「うん。すぐ追いかけるから、浮気しないで待っててね」
俺は走り出した。
背後で、紅と黒の閃光が激突する音を聞きながら。
もう振り返らない。俺の戦場は、この先にある。
カレンvs黒カレン(ノア)。
最強のヒロイン対決が幕を開けました。
そしてリカルドは単身、全ての元凶であるワイズマンの元へ。
次回、ついにラスボスとの対峙。
物語はクライマックスへ一直線です!
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