第19話:逆撃の波濤
迫りくる精鋭部隊。
しかし、リカルドたちにとって彼らは脅威ではなく、海を渡るための「足」でしかありませんでした。
ザザァッ……!
波を切り裂き、三隻の強襲用ボートが砂浜に乗り上げた。
「ターゲット確認! 抵抗するなら即時射殺せよ!」
ボートから飛び出してきたのは、全身を黒い強化スーツに包んだ武装兵たちだ。
動きに無駄がない。地下鉄のチンピラや、廃棄実験体とは違う。訓練された正規の「回収部隊」だ。
「リカルド、来るぞ!」
ガンツがスパナを握りしめる。
「あぁ。……だが、遠慮はいらない」
俺は隣のカレンに視線を送った。
「カレン、船は傷つけるなよ。それ以外は――」
「うん、分かってる。……『お掃除』していいんだよね?」
カレンが地面を蹴った。
砂浜に爆発したようなクレーターを残し、純白の弾丸となって敵部隊の中央へ突っ込む。
「なっ、速す――がぁッ!?」
先頭の兵士が反応する間もなく吹き飛ばされる。
カレンは紅い刃を円状に振るい、包囲しようとした兵士たちの武器だけを正確に切断した。
「え……?」
武器を失い、呆然とする兵士たち。
「どいて。その船、私たちが使うから」
カレンの蹴りが炸裂する。
強化スーツごと兵士たちが海へ蹴り飛ばされ、あっという間に制圧が完了した。
所要時間、わずか十秒。
「……化け物だな、ありゃ」
ガンツが呆れ顔で呟きながら、一番状態の良いボートに飛び乗った。
「エンジンは……よし、軍用規格のハイパワータイプだ。これなら戦艦とも追いかけっこできるぜ!」
ドロロロロ……!
重厚なエンジン音が響き渡る。
俺とシキも乗り込み、最後にカレンが軽やかに着地した。
「野郎ども、しっかり捕まってな! 振り落とされても知らねぇぞ!」
ガンツがスロットルを全開にする。
ボートが急加速し、白い水飛沫を上げて海原へと躍り出た。
『なっ……!? バカな、ボートを奪っただと!?』
上空のドローンから、指揮官の動揺した声が聞こえる。
「ハッ、ざまぁみろ! 行くぞ、真正面のデカブツまで一直線だ!」
目指すは、水平線に浮かぶ巨大旗艦。
敵の懐へ飛び込む、決死の海上戦が始まった。
ヒュン、ヒュンッ!
左右の水面で水柱が上がる。
他の艦船からの集中砲火だ。
「シキ、迎撃だ! 近づくミサイルやドローンを落とせ!」
「簡単に言ってくれるよ! 揺れる船の上なんだぞ!」
シキが文句を言いながらも、正確無比な射撃で迎撃ミサイルを撃ち落としていく。
俺は船首に立ち、右目で弾道を見切ってガンツに指示を飛ばす。
「面舵いっぱい! 3秒後に魚雷が来るぞ!」
「へいよッ!」
ボートがあり得ない角度で急旋回し、海面下を走る魚雷を紙一重でかわす。
近づいてくる。
鋼鉄の要塞、敵の旗艦が。
俺たちはその圧倒的な威圧感に怯むことなく、牙を剥いて突っ込んでいった。
奪ったボートで敵艦隊の中を爆走!
四人の役割分担が完璧に機能し、ついに敵の本丸へと肉薄します。
次回、旗艦への強行突入。
ラスボス・ワイズマンの待つ甲板へ。
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