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エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第3章:碧き自由への反逆(最終章)

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第18話:水平線の悪夢

ついに辿り着いた海。

しかし、そこはゴールではなく、最後の戦場の入り口でした。

最終章、スタートです。

「……あぁ、しょっぱいな」

 俺は手のひらで海水をすくい、顔を洗った。

 冷たさが肌を刺し、塩辛さが口の中に広がる。

 それは、味気ない栄養食チューブと鉄錆の味しか知らなかった俺たちにとって、何よりも鮮烈な「生命」の味がした。

「見てリカルドくん! 貝殻があったよ! 白くて可愛い!」

 カレンが波打ち際ではしゃぎながら、白い巻き貝を拾って見せてくる。

 その笑顔は年相応の少女のもので、ここが地獄の実験場の外れであることを忘れさせた。

 ――ほんの数分前までは。

「おい、感傷に浸ってる場合じゃねぇぞ」

 ガンツの押し殺した声が、空気を凍らせた。

 彼が見つめる先。水平線上に展開していた黒い船団から、低い発射音が響いた。

 ヒュルルルルルル……ッ!!

「総員、退避ィッ!!」

 俺が叫ぶのと同時、俺たちの周囲の砂浜が爆発した。

 ドゴォォォォンッ!!

 水柱と砂煙が高く舞い上がる。

 艦砲射撃だ。沖合の軍艦から、ピンポイントで俺たちを狙っている。

「きゃあぁッ!?」

「くそっ、無茶苦茶だ! 実験体を回収する気はないのかよ!」

 爆風に煽られ、シキが尻餅をつく。

 俺はカレンの手を引き、岩陰へと飛び込んだ。

『――実験体諸君。海への到着、おめでとう』

 空から、拡声器を通したような男の声が降ってきた。

 上空を旋回する無人偵察機からだ。

『私はエデン統括理事、ワイズマン。君たちの逃走劇は非常に素晴らしいデータを提供してくれた。だが、ショーはここまでだ』

 ワイズマン。管理官よりもさらに上、この狂った研究所のトップか。

『直ちに投降せよ。さもなくば、このエリアごと焦土とする』

 再び砲撃音が響く。

 今度は威嚇ではない。俺たちが隠れている岩場を削り取るような、殺意の籠もった連射だ。

「どうする、リカルド! 車じゃ海は渡れねぇぞ!」

 ガンツが怒鳴る。

 背後は絶壁の壁、前は海。逃げ場はない。

 俺の右目が、無慈悲な未来を映し出す。

 このままここに留まれば、数分後には全滅。

 かといって白旗を上げれば、待っているのは脳を弄られ、自我を奪われる未来だ。

(……逃げ道はない。なら)

 俺は顔を上げ、沖合に浮かぶ巨大な旗艦――ワイズマンが乗っているであろう、悪意の城を見据えた。

「ガンツ。あの車、まだ走れるか?」

「あぁ? 当たり前だ、俺の整備を舐めんな。……だが、どこへ走るってんだ」

「海だ」

「はぁ!?」

 俺は波打ち際に近づいてくる、数隻の強襲揚陸艇を指さした。

 敵は俺たちを確実に捕獲、あるいは死体を確認するために、歩兵部隊を上陸させようとしている。

「あいつらの船を奪う。……そして、あのデカい旗艦に乗り込んで、親玉の首を取る」

 俺の言葉に、全員が息を呑んだ。

 逃げるのではない。

 たった四人で、軍隊の心臓部へ殴り込むという、正気とは思えない作戦。

 だが、カレンだけは違った。

 彼女は嬉しそうに目を細め、紅い結晶の刃を煌めかせた。

「賛成。私たちのデートを邪魔する悪い人は……根絶やしにしなきゃね」

 退路はない。

 俺たちは自由を掴み取るため、最後の特攻を開始する。

圧倒的戦力差。

しかし、彼らは諦めません。

防御ではなく攻撃へ。奪った船で敵の本丸へ突撃する、逆転の作戦が始まります。

最終章もフルスロットルで駆け抜けます!

応援よろしくお願いします!

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