第13話:鉄屑の守護者
目的地である整備工場に到着。
しかし、そこは既に誰かの「城」でした。
錆びついたシャッターをこじ開けると、ツンと鼻をつくオイルと埃の匂いが漂ってきた。
かつて重機を整備していたと思われる広大な工場跡地。
天井からは鎖が垂れ下がり、巨大なクレーンが巨人の死骸のように静止している。
「……うわ、すっげ。宝の山じゃん」
シキが目を輝かせて走り出す。
彼の『千里眼』は、ガラクタの山から使えるパーツを次々と見つけ出しているようだ。
「ビンゴ! 見てよリカルド、あれ!」
シキが指さした先。
工場の奥、リフトの上に鎮座していたのは、軍用の装甲車を改造したような無骨なオフロード車だった。
タイヤはパンクしておらず、装甲も厚い。これなら荒野も走れるし、多少の銃撃も防げるだろう。
「よし、動くか確認しよう。カレン、周囲の警戒を――」
俺が指示を出そうとした、その時。
ズズ……ズズズ……ッ。
足元のコンクリートが微かに振動した。
地震? いや、違う。
規則的なリズム。これは、巨大な何かが歩いてくる足音だ。
「……リカルドくん、下がって」
カレンが瞬時に俺の前に立つ。
――ガシャン、ガシャン、ガシャン!
暗闇の奥から姿を現したのは、全高四メートルほどの巨大な「人型重機」だった。
建設用の作業ロボットをベースにしているようだが、右腕には巨大なドリル、左腕には建築資材を切断するためのチェーンソーが溶接されている。
まるでフランケンシュタインのような、継ぎ接ぎだらけの鉄の怪物。
『警告する。ここはお前らのような「研究所の犬」が足を踏み入れていい場所じゃねぇ』
ロボットの外部スピーカーから、しゃがれた男の声が響く。
どうやら自律型ではなく、中に人間が乗っているようだ。
「待て! 俺たちは研究所の人間じゃない! 俺たちも脱走者だ!」
俺は大声で叫んだ。
だが、男は聞く耳を持たない。
『脱走者だぁ? 笑わせるな。そんな綺麗な服を着た脱走者がいてたまるか! どうせ管理官が寄越した「回収部隊」だろうが!』
ブォォォォン!!
左腕のチェーンソーが唸りを上げ、高速回転を始める。
『俺の城から……出て行けェェッ!!』
巨大な鉄塊が、見た目にそぐわぬ速度で突進してきた。
ドリルが空気を裂き、俺たちの頭上へと振り下ろされる。
「ちっ、話が通じないタイプか!」
俺はシキの襟首を掴んで横に飛ぶ。
ドゴォォォンッ!!
俺たちがいた場所の床が粉砕され、深いクレーターが刻まれた。
「カレン! 殺すなよ! 車を壊されたら終わりだ!」
「分かってる! ……ちょっとスクラップにするだけ!」
カレンが地面を蹴り、宙を舞う。
巨大ロボット対、最強の少女。
鉄と血の火花が散る、重量級バトルの幕開けだ。
整備士の男は、研究所への恐怖から疑心暗鬼になっているようです。
問答無用で襲い来る重機ロボット。
次回、カレンがその怪力で鉄屑に変えます。
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