表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第2章:瓦礫の街の追走劇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/26

第12話:桃缶と急襲

即席のパーティが結成され、最初の課題は「食料確保」。

束の間の休息を得た三人でしたが、この街は食事の時間さえ与えてはくれませんでした。

瓦礫の山を歩き始めて一時間。

 俺たちの腹の虫が、緊張感のない音を奏で始めた。

「……腹減ったな」

「あそこ」

 シキが指を差した。

 彼が指したのは、瓦礫に半ば埋もれた、看板の落ちたコンビニエンスストアだった。

「僕の目で見た限り、店内の棚に未開封の『桃の缶詰』が三つ残ってる。賞味期限もギリギリセーフだ」

「マジか! お前、すげぇな!」

 俺は思わずシキの肩を叩く。

 この瓦礫の山から、透視するように食料を見つけ出すとは。サバイバルにおいて『千里眼』は最強の武器かもしれない。

「へへん。これくらい余裕だy――ヒッ!?」

 シキが得意げに鼻を鳴らそうとした瞬間、空気が凍りついた。

 カレンだ。

 彼女が俺とシキの間に割って入り、俺の腕を強く抱きしめながら、般若のような形相でシキを睨みつけている。

「……ねぇ。リカルドくんに気安く触らないでくれる?」

「い、いや、触られたのはボクの方で……」

「リカルドくん、あんな缶詰くらい、私だって見つけられるよ? 瓦礫ごと店を吹き飛ばせば、中身が出てくるもん」

「それは缶詰が消し飛ぶからダメだ」

 俺は苦笑しながらカレンの頭を撫でる。

「でも、カレンがいてくれて一番安心してるのは俺だよ。お前がいなきゃ、ここまで生き残れなかった」

「……ほんと?」

 カレンの表情が、一瞬で花が咲いたように明るくなる。

「うん! リカルドくんがそう言うなら、今日のところは許してあげる!」

 チョロい。いや、愛が重い。

 俺たちは崩れかけた店内に入り、シキの言った通りの棚から缶詰を回収した。

 プルタブを開けると、甘い桃の香りが漂う。久々の糖分が脳に染み渡った。

「うまい……生き返る」

「あーん、して。リカルドくん」

 カレンに桃の一切れを食べさせてやろうとした、その時だ。

「――ッ!?」

 俺の右目が、鋭い警告音アラートを鳴らした。

 同時に、シキが叫ぶ。

「敵襲ッ! 南側、三時の方向から四体!」

 ガシャァァァンッ!!

 コンビニのガラス窓が粉々に砕け散り、黒い影が飛び込んできた。

 筋肉が異常に肥大化した、野犬のような猛獣――「廃棄実験体ミュータント」だ。

 飢えた獣たちは、涎を垂らしながら、俺たちの持つ缶詰とおれたちに狙いを定めている。

「チッ、せっかくの食事が!」

 俺はカレンを庇って下がろうとしたが、それよりも速く、純白の影が動いた。

「……ねぇ」

 カレンの声は、地獄の底のように低かった。

 彼女は食べかけの桃を丁寧に俺の手に預けると、ゆらりと獣たちの方へ向き直る。

「私のダーリンとの『あーん』の時間を邪魔するなんて……万死に値するよ?」

 瞬間、店内が紅い閃光で埋め尽くされた。

 ギャンッ、キャインッ――!

 悲鳴を上げる暇もなかった。

 飛びかかってきた四体のミュータントは、空中でサイの目状に解体され、肉塊となって床にばら撒かれた。

 圧倒的な殺戮。

 シキが、開いた口が塞がらないという顔で震えている。

「ふぅ。……お掃除完了」

 カレンは何事もなかったように笑顔に戻り、俺の手から桃を受け取ってパクリと食べた。

「ん~、美味しい! ……あ、シキ。君の分はないからね? さっきの見張り代ってことで」

「そ、そんなぁ……」

 俺は苦笑しつつ、地図を広げた。

 ここに長居は無用だ。血の匂いに釣られて、もっと厄介な奴らが来るかもしれない。

「行くぞ。シキが言ってた『整備工場』へ。車を確保して、一気に防壁を目指す」

 桃の甘さと血の鉄錆。

 奇妙な味のする休息を終え、俺たちは再び瓦礫の街へと走り出した。

休息も束の間、すぐに襲い来る脅威。

しかし、カレンの前ではミュータントなど雑魚同然でした(食事を邪魔された怒りバフ込み)。

次回、目的地の「整備工場」に到着しますが、そこには「先客」が……?

面白い!と思っていただけたら、【ブックマーク登録】や評価で応援をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ