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エデン・エスケープ ―赤い目の僕と、血塗られた彼女の約束―  作者: KOSH
第2章:瓦礫の街の追走劇

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第10話:砕かれた千里眼

爆風と共に崩れ落ちる狙撃手。

カレンの刃が彼を切り刻む寸前、リカルドが選択したのは「殺害」ではなく「対話」でした。

ビルの屋上が爆風で吹き飛んだ。

 コンクリートの破片と砂煙が舞う中、一人の少年が瓦礫の上に無様に転がる。

「う、うあぁ……っ! ボクの、目が……!」

 実験体4号、シキ。

 瓦礫の街を支配していた最強の狙撃手は今、恐怖で顔を歪め、後ずさりをしていた。

 彼の手には、バレルがひしゃげた愛用のライフルが握られているが、もう役には立たない。

「逃げるの? 散々、私のリカルドくんを狙い撃ちにしておいて?」

 煙の中から、純白のワンピースを煤で汚したカレンが現れる。

 その背中には、禍々しく輝く紅い結晶の翼。

 彼女は心底楽しそうに、けれど目は笑っていない冷酷な表情で、シキを見下ろしていた。

「ひっ……く、来るな! 化け物ッ!」

「化け物でいいよ。愛する人を守るためなら、私は悪魔にだってなる」

 カレンが指を振るう。

 紅い刃がシキの目の前で弾け、彼の頬を浅く切り裂いた。

「あ、がぁッ!?」

「次は首を飛ばすね。リカルドくんに怖い思いをさせた罪、その命で償って」

 カレンの殺意が膨れ上がる。

 シキは腰が抜けて動けない。死の恐怖に、その『千里眼』からは涙が溢れていた。

 ――もう、終わりだ。

 誰もがそう思った瞬間。

「待てッ! カレン、やめろ!」

 非常階段を駆け上がってきた俺が、二人の間に割って入った。

「……リカルドくん? どうして止めるの? こいつは君を殺そうとしたんだよ」

 カレンが不満そうに頬を膨らませる。刃はまだ収められていない。

「殺してどうする。こいつは……こいつはまだ子供じゃないか」

 俺は息を切らしながら、震えるシキを見た。

 生意気な口を利いていたが、近くで見れば俺よりも年下の、あどけない少年だ。

 研究所エデンに改造され、命令されるままに引き金を引いていただけの、哀れな被害者。

「それに、情報を吐かせる必要がある。管理官の居場所、この街の構造……こいつなら知っているはずだ」

「……リカルドくんがそう言うなら」

 カレンは渋々といった様子で、紅い刃を霧散させた。

「でも、少しでも変な動きをしたら、今度こそバラバラにするからね」

 カレンの威嚇に、シキがヒッと喉を鳴らす。

 俺はシキの前にしゃがみ込み、視線を合わせた。

「おい、シキ。助けてやる義理はないが、殺すつもりもない」

「な、なんで……ボクは、キミたちを……」

「俺たちも同じ『実験体』だからだ。……違うか?」

 その言葉に、シキの目が見開かれる。

 俺は手を差し出した。

「選べ。ここで野垂れ死ぬか、俺たちに協力して管理官ヤツらに一泡吹かせるか」

 シキはしばらく俺の手と、カレンの冷たい視線を交互に見ていたが――やがて観念したように、泥だらけの手で俺の手を握り返した。

「……分かったよ。負けだ、ボクの完敗だ」

 その日、瓦礫の街で、俺たちは奇妙な「共犯者」を手に入れた。

カレンの暴走を止め、シキを捕縛することに成功しました。

かつての敵が、情報を握る重要なキーマンに?

次回、シキの口から語られる「この世界の真実」とは。

物語は核心へと近づいていきます。

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