ケモ耳
俺は近くの飲食ができるところでケモ耳の少女の話を聞くことにした。
「それでキミはこの張り紙が興味があるということでいいかな?」
「…はい、あります」
「ということは人間の男に興味があるということでいいんですか?」
ケモ耳を付けている一族が人間のことをどう思っているのかを調べるために聞いておきたい。種族が違う中でも性欲を抱くのかなど。これから、俺が活動していく中で知っておきたい。
「…はい、興味があります」
「この張り紙の内容は理解していますか?」
「…はい、お金を払えば男性がデートをしてくれるって感じかと」
では、お客さんだ。このケモ耳がどれだけの支払い能力があるのかが分からないので、ひとまず慎重に行くとしよう。
「はい、あなたがおっしゃる通りです。金銭を支払ってもらえればデートを行うサービスをしています」
「それは…我も大丈夫ですか?」
「全然大丈夫です。人間種族だけというわけではなく、広くたくさんの種族の方とコミュニケーションを取りたいと思っていましたし」
人間以外の種族に関しても物の売り買いは金銭で行われている。俺の仕事にとって、これは本当にありがたい。
通過が違えば、この仕事もやりづらかっただろうが、同じであれば上手く円滑にやり取りができるだろう。
「まずはあなたのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「サナです」
「サナさんですね。私はヒロと申します。これからよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
やはりこの世界で差別されていることもあってか、性格がマナもそうだったが、かなり温厚だ。別にケモ耳を生やしている者たちと会うのは初めてではないが、前に会ったケモ耳はかなり態度が大きかった印象がある。
それに比べて、このサナは温厚だ。俺に対してもビビっているぐらいだからな。そこはやはり差別が性格を変えてしまったのだろうか。どんなに強い人間でもずっと差別され続ければいつかは折れて、従順になっていく。マナやサナに起こっているのはそういう現象なのかもしれない。
「ですが、一つ最初に訂正しておきます。この張り紙に書いてあった金額に少し訂正がありまして」
「訂正ですか?」
「はい、張り紙の金額ではなく、これぐらいの金額を予定しています」
俺は分かりやすく剥がした張り紙の金銭の部分に二重線を引いて、その上に正しい金額を記入する。
「…え、そんなに安くていいんですか?」
「はい、初回はこれぐらいの金額にしようと決めたです」
「我、騙されていますか?」
「騙していませんよ。ずっとこの金額というのは少し難しいですが、最初の数回は初回サービスということもあってお安くしようと考えているんです。なので、最初のデートでもし気に入っていただけたら、二回目もよろしくお願いします」
「ほ、ほんとに我は騙されていませんか?」
「騙していませんよ」
「…目を見ていただけませんか?」
「わかりました」
サナの言う通りに、俺はサナの瞳を見つめる。これに何の意味があるのかは分からないが、お客さんがやってくれというのであればしっかりとそれに従うのもサービスを提供側のすることだ。
それにサナはこれからレンタル彼氏を使ってくれる可能性が高いしな。
数秒してサナは「ありがとうございます、もう大丈夫です」と言ったので、俺もやっと視線を外すことにした。
「ではレンタル彼氏を利用させてもらってもいいですか?」
「はい、ありがとうございます。では、どのようなデートをお望みかあれば教えて頂けませんか?」
人によっては理想のデートがしっかりとある人もいる。例えば、小説などで見たデートをしてみたいなどの要望があったとしてもおかしくないのだ。
「…わ、われは頭を撫でて欲しい…」
「頭を撫でるですか?」
「…う、うん、だめですか?」
「いえ、だめではないですが…」
それはデートの中の行動というだけだ。どこかに行きたいなどの要望ではなく、やって欲しいことか。
「外で一緒に過ごすのと、家で一緒に過ごすのはどっちがいいですか?」
マナは外でのデートにしたが、人によっては一目が付かない場所の方がいいという人もいるだろうしな。
俺の質問にサナは少し悩む素振りを見せた。
「う~ん…我はお家の中で一緒に過ごしてみたい」
「わかりました。サナさんがそちらが良いというのであれば、家で過ごしましょう」
そこからサナのやって欲しいことをたくさん聞き、なるべく出来ることをまとめて、デートでやることを決めた。




