近くて遠く、遠くて近く
ミコトの心は隠しきれない高揚感で満たされていた。カナデとの交渉が成功し、ツバサがミナトに近づかないよう約束を取り付けたからだ。しかし、カナデは一筋縄ではいかない人物だった。
カナデは巧妙にツバサを操作するため、スマホのメッセージ等を駆使して「偶然」を装う。一方で、ツバサだけでなくミコト自身もミナトに近づけないよう、意図的に綿密な策略を仕掛けていた。
最初のトラブルは、放課後の廊下で起きた。ミコトがミナトに話しかけようとした瞬間、突然誰かが廊下に牛乳をこぼして足元を滑らせた。しかし、よく観察すると、その場所はミコトが通るタイミングを計算したかのような絶妙な位置だった。まるで歩幅と速度を予測していたかのように。
次に、図書室での出来事。ミコトがミナトと同じテーブルに座ろうとした瞬間、図書室の静寂を破るアラーム音が鳴り響いた。アラームは棚の奥の忘れ物として隠されており、誰も気づかないようにセットされていた。まるでミコトがそのタイミングでそこに居ることを知っていたかのようだ。
さらに、バス停での出来事。ミコトが同じバスに乗ろうとしたところ、突然自転車に乗った生徒がぶつかり、持っていたカバンが道路に投げ出された。その生徒は後で確認すると、カナデのクラスの人物であり、偶然とは思えない接触だった。
ミコトは、これらの「偶然」にはすべて見えない糸が張り巡らされていることに気づき始める。
放課後の静かな教室、ミコトは再びスマホを見つめる。パターンを分析しながら、彼女はカナデの狡猾さに確信を深めていく。
ミコト(心の声):「これは偶然の積み重ねじゃない。カナデ先輩……やってくれるじゃない。でも、私は諦めない」
次第に、ミコトの決意は強固なものになっていく。幾度も立ちはだかる壁と向き合いながら、彼女の追跡劇は終わることなく続いていくのだった。
放課後の静かな教室、ミコトはスマホの画面を見つめ、過去の「偶然」の積み重ねが単なる偶然ではないことを示すパターンを分析していた。しかし、カナデの策略はミコトの想像を超える巧妙さで張り巡らされていた。
— 翌日、学校の廊下 —
ミコトがミナトに声をかけようとした瞬間、カナデは校内放送室にいる生徒にさりげなくメッセージを送る。「音楽室で機材トラブル、至急確認して」と。直後、誤作動のように校内放送のチャイムが鳴り響き、廊下は教師と生徒で混雑する。ミコトはその人波に阻まれ、ミナトに近づけなくなる。
— 図書室 —
ミコトがミナトに話しかけようとするその瞬間、ツバサのスマホが震える。カナデのメッセージには「先生がミナトに重要な説明を伝え忘れたみたい」とある。ツバサは疑うことなく慌ててミナトのもとへ駆けつけ、ミコトのタイミングを奪う。
— バス停 —
ミコトがミナトと同じバスに乗ろうとした瞬間、見知らぬ生徒が自転車で急接近し、不自然に転倒。倒れた拍子にカバンの中身が散乱する。ミコトは咄嗟に助けに向かい、その隙にミナトのバスは発車する。
— 学校の屋上 —
ミコトはこれらの「偶然」の背後にカナデの影を確信し、再びパターンを分析する。彼女は気づき始める。偶然の瞬間には必ずカナデが近くにいるか、遠くからスマホを操作していることに。
ミコト(心の声):「カナデ先輩、あなたはすべての糸を引いている」
— カナデの視点 —
カナデは静かなカフェでスマホを操作していた。
カナデ(心の声):「ミコトさん、あなたは鋭いけど。でも、私はあなたの一歩先を行く」
彼女はツバサにも微細な誘導を続けていた。「今日は別の場所で勉強したほうがいいかも、図書室は騒がしいらしい。ミナトにも伝えて」など、小さな情報を投げかけて自然な流れを生み出す。
— ミコトの決意 —
ミコトは全ての偶然をデータで可視化し、カナデの操作の痕跡を浮かび上がらせる。
ミコト(心の声):「あなたの策略を暴く。それがどんなに巧妙でも、必ず突破口はある。」
彼女の奮闘は、見えない心理戦の中でさらに激しく、冷静さと情熱が交錯するものとなっていった。




