二度目の告白
穏やかな中庭。ミコトは制服の裾をぎゅっと握りしめながら、深呼吸を一つ。緊張で鼓動が速まっているのを感じつつ、ミナトの元へと歩き出す。
ミナトはベンチに寝転び、空をぼんやりと見上げていた。彼の顔にはいつもの無邪気な笑顔が浮かんでいる。
「ミナト先輩!」
ミコトの声に、ミナトはぱっと顔を上げる。
「おお、ミコト!見て見て、この雲がドラゴンに見えるんだ!」
ミコトは一瞬だけ呆れるが、すぐに気持ちを切り替え、真剣な目でミナトを見つめる。
「先輩、私……これで二度目の告白です」
ミナトはきょとんとした表情を浮かべ、すぐにニコっと笑う。
「え?また?なんか2回も告白されるとプレミア感あるね〜!」
ミコトはその能天気な反応に思わずため息をつきながらも、気持ちを込めて続ける。
「私は……先輩に真剣なんです。向き合うだけじゃ足りない。私は、先輩の心の中にちゃんと存在したいんです!」
ミナトは一瞬考える素振りをし、口をポカンと開けたまま空を見上げる。
「うーん……心の中?考えたことなかったな。でも、ミコトといると楽しいし、君の真剣な顔を見ると、なんかドキドキするんだよね。不思議だよね!」
ミコトはその答えに思わず額に手を当てる。
「……先輩、それ、ちゃんと考えてます?」
ミコトはミナトに向かって、感情を抑えきれずに問いかける。
「ミナト先輩、もしこの世に私とツバサ先輩しかいなかったら、どっちと過ごしますか?」
その声には、どこか切実さが滲んでいた。しかしミナトは変わらず穏やかな笑顔で、考える素振りを見せる。
「うーん、二人ともと一緒にいるよ!だって、どっちか選ぶなんて寂しいじゃん!」
ミコトは思わず眉をひそめ、口を強く結ぶ。
「そういうのって…ずるいですよ。私は先輩に、ちゃんと答えてほしいんです!」
ミナトは少し驚いた顔をするが、すぐにふわっとした笑みを浮かべる。
「ミコトがそんなふうに真剣なの、なんか新鮮でいいね。でも、僕は嘘をつきたくないんだ。どっちかなんて選べないし、選びたくない。それだけは本当だよ」
ミコトの目が潤む。言葉を探しているうちに、感情が溢れ出しそうになる。
「私は…先輩のことが、特別なんです。ただの友達なんかじゃないんです!」
ミナトはその言葉にしばらく沈黙し、優しくミコトの肩に手を置く。
「ミコト、それだけ本気で言ってくれてありがとう。僕は君のその気持ちが大事だと思う。でも、僕は今、この瞬間を大切にしたいんだ。誰かを特別に決めるより、君と笑い合える今が一番好きだから」
ミコトはその答えに戸惑いながらも、ミナトの真剣な瞳を見つめる。その温かさに、少しだけ心がほどけていく。
ミナトは満面の笑顔で答える。
「うん!ミコトといると心がポカポカして、気持ちいいってことだけは確か!」
ミコトは呆れながらも、ふっと微笑む。
「……先輩って、本当に天然ですね。でも、そんなところが好きなんです」
ミナトは頭をかきながら笑う。
「そっか!じゃあ僕も、ミコトの真剣な顔が好き!なんか勝った気分!」
ミコトは思わず吹き出し、二人の間に風が優しく吹き抜けた。




