転入生説明会
翌朝、ミナトのスマホにポーンと通知が届いた。
「転入生説明会:9:00、会議室A」
「おお、説明会か。まあ、遅刻しなければ大丈夫っしょ!」と、脳天気な笑顔で準備を開始。
朝食のパンをくわえ、「これが王道の遅刻フラグ…いや、間に合うから!」と独りツッコミを入れつつ会議室Aへ向かう。
会議室に着いたのは予定より少し早い時間。誰もいない静寂の中、椅子にふんぞり返って座り、天井を見上げて「ふむ、天井も未来っぽいな…いや普通か!」とセルフボケ。
やがて、会議室のドアが開き、生徒会長のツバサが登場。ピシッと整った制服、完璧な姿勢、鋭い眼差し。理論的で完璧主義者と噂されるその人物だ。
ツバサ(内心):(ふむ…第一印象、予想通りの脳天気そうな顔だ)
ツバサ:「君がミナトだね?」
ミナト:「そう!新しく転入してきた、転入生界の希望の星!」
ツバサ(内心):(どこの界隈で希望の星なんだ…)
ツバサ:「さっそく質問を始めます」
ミナト:「お、クイズ大会開始か!景品は?」
ツバサ(内心):(これ、真面目な説明会なんだけど…)
ツバサ:「趣味は?」
ミナト:「空想。特に『もしも机が喋ったら?』とか!」
ツバサ(内心):(机が喋る必要あるか?いや、考えたら負けだ)
ツバサ:「効率的な学習方法は?」
ミナト:「寝落ちしないこと!……いや、むしろ寝たほうが効率良いか?」
ツバサ(内心):(どっち!?結局どっち!?)
ツバサは次第にイライラし、怒りの理詰め質問ラッシュ開始!
ツバサ:「なぜ君はそんな非効率的な思考を肯定できるのか!?」
ミナト:「効率が全てなら、みんなロボットになっちゃうよ?」
ツバサ(内心):(それは極論すぎる!…でも、確かにロジックの枠を超えた考え方だな…)
ツバサ:「感情論ではなく、論理的根拠を示せ!」
ミナト:「論理的根拠?…えっと、直感がそう言ってる!」
ツバサ(内心):(直感が根拠になるわけない——いや待て。普通ならこの場で戸惑うところを、彼は自信満々に答えている。なぜそれが可能なんだ?)
ツバサの怒りは徐々に興味へと変わっていった。ミナトの答えは理論的とは程遠い。しかし、その一貫性のなさが逆にツバサの好奇心を刺激した。
ツバサ:「君、自分の考えに全く迷いがないように見える。なぜそんなに自信が持てるんだ?」
ミナト:「ん?だって、正しいかどうかは後でわかるし、今は楽しい方がいいじゃん!」
ツバサ(内心):(普通なら不安になるはずの場面で、彼は楽しんでいる…何なんだ、この感覚。まるで未知の方程式を解こうとしている気分だ)
その後も延々と続く二人の平行線会話。しかし不思議なことに、ツバサの怒りは完全に消え、代わりにミナトの存在そのものに対する強烈な興味が芽生えていた。
ツバサ(ふと真顔で):「君、面白いな」
ミナト:「ありがとう!君もボケの才能あるよ!」
ツバサ(内心):(いや、ボケてないから!…でも、なんだか悪くないかも)
こうして、真逆な二人の奇妙な友情(?)の第一歩が幕を開けた。