表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/71

ツバサの密かな仕掛け

【とある休日の朝】


ミナトは布団の中で丸くなり、「世界ぐでたま選手権」で優勝する夢を見ていた。


その時、スマホがピコンッと鳴る。


「うわっ、ぐでたまが通知機能付きに!?」と飛び起きるミナト。


スマホ画面にはツバサからのメッセージが表示されていた。


『本日の予定:

8:00 集合(遅刻厳禁)

8:30 移動開始(効率的なルート選定済み)

9:00 科学館到着(展示順路も最適化済み)

12:00 昼食(付近のカフェ推奨、メニュー候補添付)

13:30 図書館でリサーチ(資料リストあり)

15:00 解散(全行程完了予定)』


ミナトはメッセージを読み、目をこすりながら呟く。


「むむっ……これは新しい謎解きイベントか?!」


そう思い込んだミナトは、脳天気に返信を打つ。


『了解!冒険開始だね!宝の地図は任せた!(笑)』


ツバサのスマホが震える。画面を見た瞬間、彼の顔にはピクリと険しい影が走る。


『これは真面目な予定表だ。冗談は非効率。遅刻は許容範囲外』


ツバサは眉間にシワを寄せ、


「なぜ、こんなにもシンプルなメッセージが理解されないのか…」と小声で呟く。


しかし、ミナトは布団に再び潜り込み、ツバサの真剣さなど露知らず。


しばらくしてツバサから再度メッセージが。


『最終確認:参加の有無を明確に返信せよ』


ミナトは即座に返信。


『もちろん行くよ!冒険は逃さないから!』


ツバサは深呼吸をして平常心を保とうとするが、手に持ったスマホがわずかに震えている。


「これは…ただの科学館見学だ。冒険ではない。なぜ理解できない?」


時計を見ると、集合時間まであと5分。ツバサは集合場所で腕を組み、完璧な姿勢で待っていた。


そして、遅れて走ってくるミナトの姿が見える。ボサボサの髪、左右違う靴、一枚間違えたシャツ。


「ツバサー!宝探し、準備万端だよ!」


その瞬間、ツバサの顔には最大級の険しいシワが刻まれ、冷静な声で一言。


「……君は、もはや自然災害レベルの混沌だな」


ミナトはニコニコと笑いながら、「それって褒め言葉?」と返す。


ツバサは無言で眼鏡をクイッと上げ、深ーーい溜息をついた。


こうして、ツバサの忍耐力が試される一日が始まるのであった。



――科学館前、午前8時――


ツバサ(腕組み、完璧な姿勢)「遅刻は非効率。3秒の遅れも誤差ではない。」


ミナト(寝ぐせと満点笑顔)「3秒って誤差じゃないの?」


ツバサ「違う。宇宙では重要な差だ。」


ツバサの心の声:(冷静に)論理的説明完了。これで理解するはず——いや、ミナト相手なら無駄か。


ミナト「ここ、宇宙じゃないよ?」


ツバサ「……確かに」


ツバサの心の声:(小さなため息)くっ…言い返せない。論理的には正しいから…悔しい。



<科学館内>


ミナト「おお、ボタン発見!押すか、押さないか、それが問題だ!」


ツバサ「問題でも何でもない。『押すな』と書いてある」


ミナト「それは押せという誘惑の罠!!」


(ポチッ)


展示が爆音と共に作動、ツバサの髪が少し乱れる。


ツバサ(無言でメガネクイッ)「……君は歩くトラブルメーカーだ」


ツバサの心の声:(静かに震える)なぜ、文字が読めるのに押す?指が意思を持ったのか?いや、それは非論理的だ。


ミナト「褒め言葉として受け取っておくね!」


ツバサの心の声:(混乱)……褒めてない。むしろ警告だった。伝わっていないなんて…バグか?



<昼食タイム>


ミナト「パンケーキが“空飛ぶ”って!きっと忍術の一種だ!」


ツバサ「忍術ではない。ただのキャッチーな表現だ」


(数分後、ドローンで飛ぶパンケーキ現る)


ツバサ(無表情のまま硬直)「……否定するには早すぎたか」


ツバサの心の声:(崩壊寸前)は?いや、待て。なぜパンケーキが飛ぶ?重力、空気抵抗、摩擦…全部どこ行った?


ミナト「ほらね!未来は常に予想外!!」


ツバサの心の声:(頭を抱える)未来ってこんな方向だった?誰がこのルートを選んだんだ。



<図書館でリサーチ>


ツバサ(真剣に本を読む)「静かに。知識の探求は集中が必要だ」


ミナト(本を積み上げてジェンガ開始)「知識の塔、完成!」


ツバサ「それは塔ではなく、積読の極みだ」


ツバサの心の声:(膝を抱える)本の尊厳……どこ?知識の神が泣いてるぞ、たぶん。



<帰り道>


ツバサ「これはお守りだ。論理的思考を高める短文を投射する。全50種類」


ミナト(目を輝かせて)「えっ!恋愛成就じゃなくて?」


ツバサ「違う。論理成就だ」


ミナト「じゃあ、試してみよう!」(お守りを振る)


(突然、空間に“論理的思考は大事。でもお昼寝も大事”の短文が投射される)


ツバサ(絶句)「……なぜ、そんな曖昧なメッセージが?」


ツバサの心の声:(静かに崩壊)お守りよ、なぜ寝ることを推奨する?私は論理を求めていたはず…これは睡眠アドバイザーか?


(その瞬間、空から謎のパンケーキ型UFOが着陸し、ドローンパンケーキの親玉が現れる)


ミナト「おおっ!パンケーキの王様だ!!」


ツバサ(膝から崩れ落ち)「宇宙法則……無視……重力……存在しない……」


ツバサの心の声:(完全崩壊)私は論理を守る騎士だったはず。でも今、パンケーキに敗北した。一応楽しむつもりだったのに、宇宙規模の論理崩壊に遭遇するなんて。


(メガネを外して地面に伏せる。ドローンパンケーキが飛び立ち、ツバサの頭上にシロップがポタリと落ちる)


ツバサ「……完璧だ。私の人生、シロップでフィニッシュ」


散々な思い出になった1日だったが、ツバサも色違いのお守りを準備していたことは内緒だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ