ツバサの密かな仕掛け
【とある休日の朝】
ミナトは布団の中で丸くなり、「世界ぐでたま選手権」で優勝する夢を見ていた。
その時、スマホがピコンッと鳴る。
「うわっ、ぐでたまが通知機能付きに!?」と飛び起きるミナト。
スマホ画面にはツバサからのメッセージが表示されていた。
『本日の予定:
8:00 集合(遅刻厳禁)
8:30 移動開始(効率的なルート選定済み)
9:00 科学館到着(展示順路も最適化済み)
12:00 昼食(付近のカフェ推奨、メニュー候補添付)
13:30 図書館でリサーチ(資料リストあり)
15:00 解散(全行程完了予定)』
ミナトはメッセージを読み、目をこすりながら呟く。
「むむっ……これは新しい謎解きイベントか?!」
そう思い込んだミナトは、脳天気に返信を打つ。
『了解!冒険開始だね!宝の地図は任せた!(笑)』
ツバサのスマホが震える。画面を見た瞬間、彼の顔にはピクリと険しい影が走る。
『これは真面目な予定表だ。冗談は非効率。遅刻は許容範囲外』
ツバサは眉間にシワを寄せ、
「なぜ、こんなにもシンプルなメッセージが理解されないのか…」と小声で呟く。
しかし、ミナトは布団に再び潜り込み、ツバサの真剣さなど露知らず。
しばらくしてツバサから再度メッセージが。
『最終確認:参加の有無を明確に返信せよ』
ミナトは即座に返信。
『もちろん行くよ!冒険は逃さないから!』
ツバサは深呼吸をして平常心を保とうとするが、手に持ったスマホがわずかに震えている。
「これは…ただの科学館見学だ。冒険ではない。なぜ理解できない?」
時計を見ると、集合時間まであと5分。ツバサは集合場所で腕を組み、完璧な姿勢で待っていた。
そして、遅れて走ってくるミナトの姿が見える。ボサボサの髪、左右違う靴、一枚間違えたシャツ。
「ツバサー!宝探し、準備万端だよ!」
その瞬間、ツバサの顔には最大級の険しいシワが刻まれ、冷静な声で一言。
「……君は、もはや自然災害レベルの混沌だな」
ミナトはニコニコと笑いながら、「それって褒め言葉?」と返す。
ツバサは無言で眼鏡をクイッと上げ、深ーーい溜息をついた。
こうして、ツバサの忍耐力が試される一日が始まるのであった。
――科学館前、午前8時――
ツバサ(腕組み、完璧な姿勢)「遅刻は非効率。3秒の遅れも誤差ではない。」
ミナト(寝ぐせと満点笑顔)「3秒って誤差じゃないの?」
ツバサ「違う。宇宙では重要な差だ。」
ツバサの心の声:(冷静に)論理的説明完了。これで理解するはず——いや、ミナト相手なら無駄か。
ミナト「ここ、宇宙じゃないよ?」
ツバサ「……確かに」
ツバサの心の声:(小さなため息)くっ…言い返せない。論理的には正しいから…悔しい。
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<科学館内>
ミナト「おお、ボタン発見!押すか、押さないか、それが問題だ!」
ツバサ「問題でも何でもない。『押すな』と書いてある」
ミナト「それは押せという誘惑の罠!!」
(ポチッ)
展示が爆音と共に作動、ツバサの髪が少し乱れる。
ツバサ(無言でメガネクイッ)「……君は歩くトラブルメーカーだ」
ツバサの心の声:(静かに震える)なぜ、文字が読めるのに押す?指が意思を持ったのか?いや、それは非論理的だ。
ミナト「褒め言葉として受け取っておくね!」
ツバサの心の声:(混乱)……褒めてない。むしろ警告だった。伝わっていないなんて…バグか?
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<昼食タイム>
ミナト「パンケーキが“空飛ぶ”って!きっと忍術の一種だ!」
ツバサ「忍術ではない。ただのキャッチーな表現だ」
(数分後、ドローンで飛ぶパンケーキ現る)
ツバサ(無表情のまま硬直)「……否定するには早すぎたか」
ツバサの心の声:(崩壊寸前)は?いや、待て。なぜパンケーキが飛ぶ?重力、空気抵抗、摩擦…全部どこ行った?
ミナト「ほらね!未来は常に予想外!!」
ツバサの心の声:(頭を抱える)未来ってこんな方向だった?誰がこのルートを選んだんだ。
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<図書館でリサーチ>
ツバサ(真剣に本を読む)「静かに。知識の探求は集中が必要だ」
ミナト(本を積み上げてジェンガ開始)「知識の塔、完成!」
ツバサ「それは塔ではなく、積読の極みだ」
ツバサの心の声:(膝を抱える)本の尊厳……どこ?知識の神が泣いてるぞ、たぶん。
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<帰り道>
ツバサ「これはお守りだ。論理的思考を高める短文を投射する。全50種類」
ミナト(目を輝かせて)「えっ!恋愛成就じゃなくて?」
ツバサ「違う。論理成就だ」
ミナト「じゃあ、試してみよう!」(お守りを振る)
(突然、空間に“論理的思考は大事。でもお昼寝も大事”の短文が投射される)
ツバサ(絶句)「……なぜ、そんな曖昧なメッセージが?」
ツバサの心の声:(静かに崩壊)お守りよ、なぜ寝ることを推奨する?私は論理を求めていたはず…これは睡眠アドバイザーか?
(その瞬間、空から謎のパンケーキ型UFOが着陸し、ドローンパンケーキの親玉が現れる)
ミナト「おおっ!パンケーキの王様だ!!」
ツバサ(膝から崩れ落ち)「宇宙法則……無視……重力……存在しない……」
ツバサの心の声:(完全崩壊)私は論理を守る騎士だったはず。でも今、パンケーキに敗北した。一応楽しむつもりだったのに、宇宙規模の論理崩壊に遭遇するなんて。
(メガネを外して地面に伏せる。ドローンパンケーキが飛び立ち、ツバサの頭上にシロップがポタリと落ちる)
ツバサ「……完璧だ。私の人生、シロップでフィニッシュ」
散々な思い出になった1日だったが、ツバサも色違いのお守りを準備していたことは内緒だった。




