カバンの中身はカオス?
ミナトは自室に戻ると、勢いよくドアを閉めてベッドにダイブした。
「ふぅ〜、新しい環境ってワクワクするよな!」と、誰に言うでもなく独り言を呟く。この脳天気な癖は、彼の日常の一部だった。
ベッドの上でゴロゴロと転がりながらカバンを引き寄せ、適当にチャックを開ける。中から飛び出してきたのは、学校のパンフレット、校則、寮生活のルールブック、スマホ、そしてキラリと光るスマートリング。
「おお、これが噂のスマートリング!未来って感じ〜!」
スマホを手に取り、顔認証と網膜認証でロックを解除してみる。ピッと音がして、さくっと解除。
「おお、俺の顔、意外とハイテクに認められたぞ!ありがとう、俺の顔!」
次に目に留まったのはお金の管理。スマートリングで残高を確認すると「50,000円」と表示されている。
「おお、5万円!これは大金だ!…いや、でも無駄遣いはダメだぞ、俺。未来の俺が泣くからな。…いや、未来の俺ならタイムマシンで助けに来るかも?」
そんなことを考えながら、資料を手に取る。校則をパラパラとめくり、
「ふむふむ、禁止事項多め。でも、大丈夫。俺、基本的に面倒くさがりだから、逆に全部守れる気がする!」
パンフレットの写真を眺めながら、
「おお、この食堂、ドラマか何かで見たようなデカさ!よし、ここで映画のワンシーンごっこしよっと!」
その時、再び廊下の向こうからドガンッという衝撃音が響いた。
「…あ、またサクラだな。これはもう恒例行事?」
ドアを開けると、案の定サクラが床に転がっていた。
サクラ(満面の笑みで):「やあ!」
ミナト:「…デジャヴ?いや、ライブ中継?」
サクラ:「今日の目標、ドアに負けない!」
ミナト:「そもそも戦う必要ある?」
サクラ(立ち上がりながら):「忘れ物しちゃってさ!」
ミナト:「何を?」
サクラ(ポケットをごそごそ):「えっと…忘れた!」
ミナト:「忘れ物の内容も忘れるって、新しいパターンだな!」
サクラ:「でも、君に会えたから結果オーライ!」
ミナト:「いや、何オーライしてんの!」
サクラは再び満面の笑みで、元気いっぱいに手を振って去って行った。
ミナト(ため息まじりに独り言):「…この学校、平和なはずが、俺の周りだけカオス化してる気がする」