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政治経済エッセイ

組織票に有利!? 「中選挙区連記制」について

作者: 中将

筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は石破氏が検討しようとしている選挙制度である「中選挙区連記制」と「選挙制度」について個人的な意見を述べていこうと思います。



質問者:

 現在の選挙制度は「党公認」の影響が大きいために党執行部の力が強くなり過ぎることが問題でしたよね……。


 「中選挙区連記制」というのは具体的にどのような制度なんですか?


 中選挙区制度と言うのは1つの選挙区で複数人が当選するという事は分かるのですが……。



筆者:

 「連記制」と言うのは候補者の中で複数人に投票することが出来る制度です。(ただし同じ人に2票以上の投票することは出来ない)


 また、「連記制」というのにも2種類のタイプがあるようなのです。


 「完全連記制」は一人の投票できる候補者数が定数と同じの状況を言います。

例えば3人区では、有権者は3人に投票することになります。


 2つ目の「制限連記制」は、1人の投票できる候補者数が定数より少ない場合で、3人区であれば2人に投票することになります。


 この中で石破氏が昨年9月の総裁選の前から主張するのは、3人区で3人に投票する「完全連記制」のようです。

 そこでは、「全国に定数3の中選挙区を150作って、有権者は各選挙区で3人まで候補者を選ぶ」ことを想定しているようです。


 

質問者:

 石破さんはコロコロと主張を変えられるので参考程度ではありますけど、

 比例代表を廃止して中選挙区制度1本にしようという考えなんですね。


 でも、普通の中選挙区制度と何がどう違うのでしょうか? メリットとデメリットはあるんですか?



◇連記制の「真の狙い」



筆者:

 かつての中選挙区制度は、同じ選挙区で自民党議員同士が熾烈な争いを行い、

 「金権政治」や「派閥政治」を生み出したと言われています。

 これに対して、連記制を導入すると、同じ政党の立候補者が、互いに協力して当選を目指す可能性が高いとされています。


 これによって内閣連立の構成を選挙ごとに組み替えるといった体制になることが期待されています。


 この制度では、極端な政権交代ではなく、穏健な連立の組み替えが起こる。これによって選挙結果に多様な民意を反映することができ、政治への信頼を回復できるとされています。



質問者:

 そう聞くと悪いことのようには聞こえませんが……。

 

 でも、いつもの筆者さんのお話ですと、「推進派の話だけを聞いてはいけない」という事になりそうですよね?



筆者:

 その視点はとても大事です。どんな人間にも「バイアス」があるので、賛成派と反対派の意見を同時に聞くことがより視野が広く物事を見ることが出来ます。


 この選挙制度で僕が一番懸念したいのは「既得権益が強化される」ということです。



質問者:

 どういう事なんでしょうか?



筆者:

 地盤がある人間であればあるほど、古くからの組織票と言うのが存在します。

 そんな中で複数人当選でしかも人数分投票できるとなればまず落選しなくなります。


 地盤が無くとも日本全体で知られている元スポーツ選手、元タレント、作家などの著名人も4位以下になることは考えにくく、中々落ちにくくなると思います。

 「名声」や「地盤」と言った「政治的資質」とは全く違った要素がより重視されてしまうのです。



質問者:

 つまり、これまで「大物政治家」と言われた方々はずっと居座り続けるのですか……。



筆者:

 その可能性は高いです。


 僕は「どの党も終わっている」と思っているので、「大物が頻繁に落選してくれる」状況を作る必要があると思っています。

 その視点で見るとこれはむしろ危険な制度だと思います。


 確かにただの中選挙区制度と比べて「党内での派閥抗争によるお金配り」は減ると思いますが「地元へのお金(利権)配り」の効果が絶大になるのです。


 小選挙区制度だって別に派閥はありましたし、むしろ「公認」と言う形で党本部の言いなりと言うデメリットは大きかったわけです。


 そうなるとこの制度は「自民党がより政権に居座りやすくするための方策」と思った方が良いですね。



質問者:

 自民党が一番組織票がありますものね……。



筆者:

 組織票と言えば公明党が「大連立には選挙制度改革が必須」と言い始めているところにも注視しておく必要があります。


 これまで彼らは選挙の際にこういう主張をしてきました。


「小選挙区は自民党の○○さんへ、比例代表は公明党へ」


 という感じです。


 僕はかつて自民党支持者で、親に政治集会に拉致(笑)された経験があったのですが、この応援演説には違和感と反発みたいなものが周りにあったのをヒシヒシと感じました。


 しかし、この「歪み構造」を連記制であれば是正できるんですね。

「この選挙区は自民党の○○さんと△△さん、公明党の××さんへ」と言う風になるためです。


 かつての中選挙区の1人で1票でも無いので「仲間同士の奪い合い」もほとんど無くなります。安定して2候補+仲間党1候補を立てることが出来れば大政党にとっては一気に党勢を拡大することもできます。

 


質問者:

 なるほど……仲間の連帯と言う意味ではかなり意味のある制度なんですね……。



筆者:

 組織票の人たちは複数の政党に対して利害関係があることが多いです。


 例えば野党でも連合であれば立憲民主党と国民民主党の双方に利益があるためにどちらにも入れたいことがあります。


 現在は比例代表にて「民主党」と書いて両党に案分されるようになっているのですが、これはどう見ても違和感のある「制度の穴」を突いたものです。

彼らとしてはそれを是正して「公的にやりたい」と思っているはずなんです。



質問者:

 政治献金も一つの政党にだけ出しているわけでは無いですからね……。



筆者:

 正直なところ「中選挙区で1票の方がマシ」と言うのが僕の見解です。


 かつて金権政治になっていたのはどちらかと言うと選挙制度より政治資金規正法がザル過ぎることによって裏金を作りやすすぎた(今でも作ろうと思えば作れる)ことが問題だからです。


 これよりも企業団体献金をさせにくくするために「全献金非課税制度(寄付をしても税金が減らない)」にした方が良いでしょうね。


 

質問者:

 でも、野党側としてもメリットがあるのでしたら、今のどの党も過半数を超えていない状況でも成立してしまう可能性があるんですね……。



筆者:

 立憲民主党も共産党と候補者が分かれれば、「共産党と事実上の選挙協力している」と批判されることも無くなりますからね。


 僕はこの制度の実現可能性は高いと見ています。

与野党ともにメリットがあるためですね。

 野党も自民党の方が利する制度とは言え、上層部の方々の当選が安泰になった方が嬉しいでしょうしね。



◇普通の票と加えて「マイナス投票」出来るようにして欲しい



質問者:

 思うんですけど現在1人選ぶ状況ですら投票率が下がっているのに、

中選挙区連記制度になったら「3人も選ぶ方がいない」ということで選挙の足が遠のきませんかね?



筆者:

 その可能性も高いと思います。正直なところ僕も毎回1人を消去法で選ぶのに苦闘していますからね。


 政治に関心があまり無い方が3人も選べるのか? となったら、「自民党か立憲民主党

が提示する3人の組み合わせ」になってしまうと思います。


 そして投票所から足が遠のいたら組織票が強くなってしまいます。


 中選挙区連記制であれば前の中選挙区制度が良い――どころか今の小選挙区比例代表並立制の方がマシなのではないかと思ってしまいます。

 


質問者:

 投票率が下がるのが一番政治の暴走を止められませんよね……。


 何か良い方法は無いんでしょうか……。



筆者:

 個人的には普通の票1票と共に「マイナスの1票」若しくは「反対投票権」が欲しいところです。



質問者:

 どういう事でしょうか?



筆者:

 現在は「悪名は無名に勝る」と言った状況です。

知名度があれば、それが悪名であったとしても得票数さえ取れば当選してしまいます。


 しかし「マイナスの票」があれば「有名なだけで政治家として相応しくない人」というのをなるべく当選させないことが可能になります。


 例えば20万票の選挙区で、


A氏 12万票

B氏  6万票

その他 2万票


 がプラス得票だったとします。


 そこで、マイナス票がA氏-8万票、B氏-1万票、その他-11万票 

 だったとして加味すると、


A氏  4万票

B氏  5万票

その他 -9万票


 と、得票数が過半数を超え、B氏の2倍も得票していたA氏は悪名が多いことから敗北するという、大逆転が起きるのです。


 これにより組織票だけの政治家、知名度だけのタレントはマイナス投票で落選させることも可能になります。


(プラス投票又はマイナス投票を選ぶといった選挙形式も検討されています)



質問者:

 これは凄いですね……。

 そして不祥事などが無いクリーンな人が当選しやすくなって良い気もしますね。



筆者:

 ただ、欠点と言うかこれまでの選挙概念に反することも起きるのも事実です。

 総得票数がマイナスになる人が続出したり、1対1の対決で僅差だと「10万人の選挙区で50票で勝利」と言った違和感のあることにもなってしまうからです。


 「プラス得票数」、「マイナス得票数」、「総合ポイント」と言ったこれまでの選挙とは違った概念が受け入れにくいことが想定されます。


 そのために、考え方としては以前からありますがこの選挙制度が導入された国はありません。


 マイナス投票を実施すればアメリカ大統領選挙の投票率が4.4%増加、

 台湾の総統選挙では投票率が5.4%ほど増加するといった統計データもあるので、

 感覚として受け入れられれば投票率アップにも繋がると思います。



質問者:

 確かに、投票に行ったのに入れた方がマイナス得票になるかもしれないって違和感はありますよね……。



筆者:

 それに近い考え方としてオーストラリアなどで採用されているのが

 「優先順位付き投票制度」です。

 

 この制度は、有権者は全候補者に対して当選して欲しい順番に順位をつけて投票する制度です。


 「選挙ドットコム」の原口和徳氏が作成した図をお借りしますと


 挿絵(By みてみん)


 こんな感じに運用されています。


 順位付けをすることによって「集計の際に自動的に1人ずつ消えていく形の決選投票になっていく」とでも言えば分かり易いかもしれません。


 ただこれは、何人も候補者について知らなくてはならず、それはそれで投票所への足が遠のきそうですけどね。

 オーストラリアは投票しなければ罰金と言う制度を持つ国なのでこれが成り立っているのもあるのかもしれませんがね。



質問者:

 確かに全員を判定しないといけないとなると、上から「1、2、3、4……」とか数字を適当に書く人いそうですよね……。



筆者:

 「どうしても当選させたくない人」というのは1人ぐらいだと思うので、

 やはりプラス1票、マイナス1票両方持つと言うのが一番真っ当な政治家が当選しやすくなると思うんですよね。


 ただ、現実問題としては石破自民党と公明党は「中選挙区完全連記制」で政権の居座りと組織票の影響力アップを狙っているという事です。



質問者:

 現状より悪化する選挙制度って嫌ですね……。



筆者:

 「改革」というのは往々にして「悪化する」という事も踏まえなくてはいけないと思います。

 基本的に既得権益側の提案と言うのは「何かしらの既得権益強化の方策」だと見ていった方が良いと思います。


 僕はそう言った問題点の指摘と僕なりの改善案の提案を今後も続けていきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いします。

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