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無名者の葬儀 ⑧

 どれだけの時が過ぎたのだろう?


 あの「血の月」が降りた夜が、彼女の脳裏にまだ色褪せずに残っている。


 少女はフードを下ろし、体を切り株のそばに縮めた。


 広々とした丘陵には、ただ一つ、平らに切り揃えられた巨大な切り株だけがあった。


 それはまるで、大きな食卓のように、夜空に広がる星々の盆を支えているかのようだった。


 ごくり。


 町の酒場で買ってきた麦酒を飲みながら、彼女の視界が少しぼやける。


 目の前の広大な原野。


 そして頭上の果てしない星空。


 何と似ていることか。


 月の光が薄絹を通したように、ぼんやりと彼女の上に降り注いだ。


 光の粒が、水色に輝く彼女の長い髪の周りを漂い、突如として吹き抜けた夜風に散っていく。


 ごくり。


 甘みの中にほのかな苦みを感じる酒を静かに飲み、久しぶりに見る、半ば忘れかけていた星空の様子に目をやる。


 夜風が吹き抜け、草原が「サラサラ」と音を立てる。


 遠くには、山脈の輪郭が空と交わり、銀の線のように微かに見える境界線がある。


 そのすべてが、少女の記憶の中の姿そのものだった。


 ただ、この記憶の中には、今、彼女のそばにもう一人いるはずだった。


「……もう思い出せなくなったのかな。あれからずいぶん時が経ったから。」


 冷気がそっと彼女の頬を撫で、ぼんやりと夢の中で幾度も見たあの光景が蘇る。


 何も知らない少年が花畑に座り、星空に輝く幾千の星を指差しては、自分の前に現れた少女に、それぞれの星に付けた名前を語りかける。


 まるで星空全体を自分のリュックの中に収め、一つずつ宝物を探し出して、少女にその特別な物語を話しているかのように。


 彼はなんて可愛らしい宝探し人だったのだろう――少なくとも、少女はそう思っていた。


 彼が無数の星に向ける眼差しは、この世界への熱い愛情が伝わるほどに真っ直ぐだった。


 その時の自分もまた、少年への憧れから、一秒ごとに共にすることを楽しんでいた。


 あのように穏やかで輝かしい星空の下で。


 あのように広々とした静寂に包まれた花畑の中で。


 二人で寄り添い合い、輝いた星の物語を数えていた。


 我に返った時、少女は自分の目が潤んでいることに驚いた。


 慌てて袖で目元の涙を拭い、また一口、麦酒を口に運ぶ。


 ごくり。


 冷たい酒が喉を通り、ほろ酔いが少しずつ回ってくる。


 思いが巡り、血が沸き立つ。


 体のあちこちが、次第に強まる痛みを感じ始める。


 少女の速まる心臓が、限界を超えて辛くなり始めた。


 普段は慣れたはずのこの体調不良も、今は抑えきれない悲しみに変わりつつあった。


 時に、体に刻まれた禁忌の魔法は感情の波動に反応して、心臓を貫くような痛みを引き起こす。


 少女はこんな時には必ず、今のような一人きりの時間を選び、心に溜めたすべての思いや悲しみを解き放つのだった。


 突然訪れるこの痛みよりも、いつ来るとも知れず、長く引きずるこの悲しみの方が、彼女にとって耐え難いものだった。


 この短い孤独のひと時が、彼女の心に久々の静寂をもたらした。


 今、彼女と共にある無数の星々は、黒い幕に輝く宝石のようにきらめいている。


 輝きを放つ月光が、原野を無限の淡い青の海に包んでいた。


 あの頃の陽気な少年と、口数は少ないが、無上の幸福に包まれた彼女。


 風が花を撫でた時の、花と花が揺れ合うささやかな音。


 遠くで響く虫の声、そして木々が擦れ合う音。


 記憶の中のすべての音が、今、少女の脳裏に穏やかな曲のように溶け込んでいく。


 永遠に一緒にいると約束したはずの彼ら――


 運命のために離れなければならず、


 だがまた運命によって、再び巡り合う。


 ただ、今の彼女はもう、あの頃のように空の下でこの世界のすべてに想いを馳せることはない。


 枷をつけてイリルに戻ってきた彼女。


 この世に存在しないはずなのに、なぜか違う姿でここにいる彼。


「……まだ、私を覚えてくれているの?」


 少女は祈るように、見覚えのある、けれどもどこか見知らぬ星空を見上げた。


 夜の闇に溶け込む星の光が、彼女の夢の河に揺らめき広がっていく。


「ルミアが、あなたに会いに戻ってきたよ。」


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