無名者の葬儀 ⑦
「オース様!本当なんですか?」
オースの突然の発言に、アンリリズは目を見開き、驚きのあまり声が出なかった。
エナの祭礼から戻って以来、オースの精神状態はアンリリズを不安にさせていた。
ここ数日、オースが自分に頻繁に召使たちを解散させようとしているのも、その不安をさらに募らせていた。
ついに意を決してオースに真意を問うた際、アンリリズは彼が屋敷を売却しようとしていることを知った。
「オース様……私たちはもう、ビナールには戻らないのですか?」
「エナから宝物を奪った奴を倒し、その宝をアンダル公爵に返還した後……俺は、ずっと探していた人を見つけに行くつもりだ。」
オースがカリから聞かされたことをアンリリズに話すつもりはなかった。
彼女の正体に対する負い目と不安を、さらに募らせるだけだからだ。
アンリリズにグランデを去り、戻ってこない理由をどう説明すればいいのか考えながら——
オースは数日間、心が疲弊しているのを感じていた。
「エリズ様たちも私たちの返事を待っているのに……オース様、こんな簡単に離れてしまって本当にいいのですか?」
「屋敷の他の召使には、既に来年分の給料を支給してある……おそらく、明日には全員この屋敷を出ていくだろう。」
「給料の問題じゃないんです、オース様!」
アンリリズは、逃げようとするオースの視線を捉えようとするかのように、彼の強ばった表情をじっと見つめた。
「皆、オース様の慈悲によって、無償でオース様の側に留まっているのです。あなたが彼らのために尽くしてきたこと、それはオース様ご自身が最もよくご存じでしょう……もし、彼らを突然解散させたら、どれほど深い痛みを抱えて去ることになるのか……!」
アンリリズの熱い視線から目をそらし、オースは黙って俯いた。
もちろん、彼女の言うことは理解している。
だが、自分に関わる人々をこれ以上巻き込ませたくない、そう思ったからこそ、関係を断ち切ろうとしたのだ。
冷酷な選択だが、効果的だった。
今回、エナの宝を奪った犯人を追ってグランデを去るにあたり、自分が無事に帰ってこれるかどうかはわからない。
そして、自分の下僕の中には、いつ戻るかもわからない自分を待ち続けることはできない者もいる。
心置きなく屋敷を離れ、他の仕事を探すことができるのも、自分が彼らに与えられる最大の手助けなのだ。
彼らが自分に忠義を尽くすに足る行いはしてきたが、それでも彼らの残りの時間を自分のために浪費させるのは、オースの良心が許さなかった。
「彼らが私によって自由を得たのであれば、なおさら私一人の考えで、彼らのこれからを決めてはいけない……」
「オース様……」
アンリリズは呟き、伏せたまぶたに微かな悲しみを浮かべた。
オースは、自分を五年も支え続けてくれたこの屋敷の庭を見回し、心の中にわずかな未練を感じた。
屋敷は、長い年月を経て多少の古さが見えるものの、召使たちの手入れのおかげで常に清潔に保たれていた。
長年、外で過ごすことの多かったオースは、頻繁に家の管理をすることはできなかったため、屋敷は実質アンリリズが管理していたのだ。
召使たちにとってこの屋敷がどのような意味を持っているかは知らないが、少なくとも一つだけははっきりと理解している。
家を持たない者にとって、雨をしのげる場所を与えられるだけで、彼らは深く感謝してくれる。
彼らの多くは、ふとした思いつきで迎え入れた孤独な流浪者たちだった。
そして、自分の側仕えであるアンリリズも、元々はその一人に過ぎなかった。
彼女の忠誠心に心を打たれたオースは、彼女を自分の数少ない友人の一人と見做すようになった。
このように、オースの助けを受けて屋敷に辿り着いた者たちが、何の前触れもなく解散させられるのだ。
——彼らは、新しい行き先を見つけられただろうか?
オースは、遠くで馬車に荷物を積み込む召使たちが屋敷の門へと去っていく姿を、失意のうちに見つめた。
屋敷で勤勉に働き続けた彼らの姿は、今、彼の記憶の中で鮮明に蘇り始めていた。
彼の姿を見かけるたびに興奮して鞠躬し、感謝と興奮を露わにした彼らとは、もう二度と会えないかもしれない。
そのことを考えるだけで、心にぽっかりと空虚が広がった。
「だから、別れの言葉も告げず、すべての給料を彼らに渡してくれというのですね?……ひどいです、オース様!」
涙を浮かべ、アンリリズの悲痛な言葉がオースの胸に鋭く突き刺さった。
しかし、今回はその刃を胸から引き抜く勇気はなかった。
アンリリズが言ったことは、すべて真実だったからだ。
仆の中で最も自分を敬う存在である彼女の言葉こそが、他の召使たちの心情を代表しているのだろう。
何の予告もなく解散させられた仆たちに対面する勇気がないというのも——それは事実だ。
アンリリズに頼んで、最後の給料を彼らに渡し、最後の別れを告げたい仆たちの希望を託したことも——それもまた事実だった。
その時、オースは自らの弱さを痛感した。
別れによる悲しみを感じないと自負していたが、ただ「さようなら」を伝える小さな行為すら恐ろしいと思うとは。
なぜこうなってしまったのだろう?
かつて感じたことのない、この感覚が悪夢のように自分を締めつける。
「アンリリズ、お前も私を去りたいのなら、私は止めないが……」
その言葉を、オースは心の中で何度も反芻していた。
だが、それを口にした時、声はほとんど聞き取れないほど小さかった。
意外なことに、普段温和で従順なアンリリズが、この時ばかりは怒っていた。
彼女の表情は、今まで見た中で最も険しいものだった。
だが、その苛立ちの表情も束の間、彼女は失望したように俯いた。
アンリリズが何を思い、何を言おうとしているのか——
仆従眷属の魔力流で感知できるはずなのに、今、オースは自分がまったく予想できないと感じていた。
一瞬、頭の中には絶望を感じさせる空白だけが残った。
「オース様って、本当に心配になるくらいお馬鹿さん……。だからエナ様の言う通り、心配されるのも無理ないですね。まるで子供みたいに。」
彼の予想とは裏腹に、アンリリズは想像していた言葉を口にすることはなかった。
ただ手の甲で涙痕を拭い、苦笑を浮かべながら彼をからかうように呟いた。
「もし、私がいなくなったら、オース様はちゃんとご飯を食べてくれるのでしょうか?」
「……」
彼女は呆然としたオースの胸に右手をそっと置き、目の端に涙が光っていた。
「私の気持ち、気づいてくれると思ってました……。行くあてもない私が、どうしてオース様から離れるなんて言えるのでしょう?」
あの日の午後から、アンリリズはとっくに決意していた。
何があってもオースのそばを離れないと。
彼のもとに来て以来、何度も確認してきた——自分に離れる選択肢はないと。
今、この瞬間、彼女はその思いをさらに確信しただけだった。
かつて心の中に、まるで天上に瞬く星のように僅かな疑念があったとしても、もはやそれは存在しない。
——オース様が二度目の命をくださったから感謝しているわけではなく、
——ただの女の子として、オース様を好いていたいと心から願っているから。
——だから、オース様がどのような姿になろうとも、決して背を向けたりはしない。
窓の外の眩しい陽光を見つめながらも、アンリリズにはその景色がぼやけて見えた。
心の奥深くに隠していた言葉が、ついに口元まで出てきた。
そして、その感情に揺さぶられ、彼女の体は震えた。
「アンリリズは、ただオース様の側にいるだけで……幸せすぎて涙が出てしまうんですよ。」




