無名者の葬儀 ③
エリズたちが鍛冶屋のある路地にたどり着いたとき、空はすっかり暗くなっていた。
路地には時々一、二人の通行人が行き交うが、エリズたち二人の普通とは異なる外見には特に気を止めることはない。
夜に染まった空には、いくつかの星が微かに光っているのが見える。
路地を吹く風の音さえも、夜の静寂を破るようにやけに騒々しく感じられた。
鍛冶屋の店先に到着したが、既に店の扉には鍵がかかっていた。
「おかしいね……エリズ、ケイザーおじさんの鍛冶屋っていつも賑やかじゃなかったっけ?」
「多分、急に何か用事ができて出かけたんじゃないかな? 明日また来るのがいいかもね。」
扉の隙間から漏れる少しの熱気が、エリズの推測を裏付けていた。
「汝、ついに戻ったか。」
突然、少女の声が響き、エリズたち二人は驚いて抱き合い、戸惑っていた。
声が止むと同時に、路地の影から一つの人影が現れた。
それはエルフだった。
しかし、その時のエルフの服装は、ケイザーの店で働いていた時のものではなかった。
武器店での仕事服であるエプロンや布のスカートを脱ぎ、彼女はゴシック調のワンピースを身に纏っていた。
黒いワンピースの上には白い薄いベールが覆われ、肩と腰には黒いリボンが飾られている。
スカートの裾には白いレースが刺繍されており、そのデザインが彼女の姿をとても繊細で可愛らしく見せていた。
白いロンググローブの端からは、透き通るような白い腕が覗いており、その白さはオリサ自身が少し恥ずかしく思うほどだった。
スカートの下から見える白いガーターが黒いロングソックスの上端を締め付け、その上端にはレースの模様が施されていた。
半袖のリボンがソックスの端から垂れ、白い丸い靴は、まるで芸術品のように小さな足首の美しさを引き立てていた。
路地の夜風が、彼女の頭にかかった白いベールを揺らし、それはまるで結婚式のベールのように、彼女の雪のように白い長い髪の上に舞い落ちた。
彼女の灰白色の瞳は、エリズたち二人を見つめていた。
それはまるで薄い霧がかかった乳白色の宝石のように美しかった。
前回来た時には、彼女の外見にそれほど注意を払わなかったが、今こうして目の前でじっくり観察できると、エリズはこの人間ではない存在の美しさに心を奪われていた。
「吾は、ここで汝を長らく待っておった。」
「ケイザーおじさんは? 防具を受け取りに来たんだけど……もちろん、エルフも一緒に連れて行くつもりだったよ。」
「彼は暫し出かけており、いつ戻るかは告げておらぬ。」
エルフは首を横に振り、傍らのショルダーバッグから皮製の防具と皮の鞘に収められた短剣を取り出した。
「これは、彼が吾に汝に渡すよう託した物なり、彼自身が汝に手渡すものと思えばよい。」
エルフから防具を受け取った瞬間、エリズはその防具の表面に流れる魔力流を感じ取った。
魔力流を敏感に感じるエリズにとって、戦闘時に特定の部位の防御力を強化するこの設計は、間違いなく戦闘能力の大きな助けとなる。
「でも、せめて出発前に、ケイザーおじさんとしっかりお別れをしたかったな……次に会うのはいつになるかわからないし。」
「彼は去る時、壁の戸棚に掛かっていたあの剣を携えておった……恐らく、その剣のために急いで出かけたのであろう。」
エルフは少し考え込み、ケイザーが出かけた時の様子を思い出した。
だが、エリズにとって、彼と会うよりも重要なことかもしれない。
彼がかつて自分やベファレスに魔剣について語ったとき、希望に満ちた目の輝きを思い出すだけで、たとえ名高い鍛冶屋を捨てても、魔剣に関する情報を追い求めるだろうと確信できた。
「もしかすると、旅の途中でまた会えるかもしれないね……次に会った時、彼は剣術の達人になっているんじゃないかな?」
「エリズ、想像がつかないよ……あんなに強靭な大叔父さんが、もし無敵のスピードを手に入れたら、どれほど恐ろしいことか……」
リズミアが震えながら話す姿を見て、エリズは苦笑してため息をつくしかなかった。
どうやら、リズミアはケイザーを受け入れるのが難しいようだ。
「それで、これからどこへ向かうつもりだ?」
「親族を探しに行くつもりだけど、エルフ……正直、どこから手をつけていいか分からないんだ。」
「私も……今は何も思い出せない。ただエリズに付いていくしかないんだ。」
二人は、今になってようやく自分たちが未来の旅に何の計画も持っていないことに気付き、出発時に胸に抱いていた熱い思いは、すでに冷めてしまっていた。
「それなら、吾と共に吾の創造主のもとへ行くのはいかがだろうか。」
エルフの声は相変わらず感情のない魔導ロボットのように冷静だったが、彼女の提案を聞いたエリズの迷いのある目には、ほんのわずかな希望の光が浮かんでいた。
「彼女は運命を見通すことができる魔術占い師……彼女の目には、汝の運命がはっきりと見えるかもしれぬ。」




