エカリス巫女団 ②
「エリズ、次はあっちの丘の上の花火台に行くの?」
すでに待ちきれないリズミアを見て、エリズはただ微笑んで頷いた。
朝に行った場所の方が静かではあったが、隣にいるこの活力溢れる少女はあまりその場所が好きではなさそうだった。
何度も考えた末、エリズはアンリリズを連れて、花火が打ち上げられている観光台へ行くことにした。
母のことを思い出すなら、どんな静かな場所でも構わない。
だが、リズミアとの時間は今、この瞬間しかないのだ。
ただ、目の前に観光台へ向かう人々が多すぎて、早く進もうにもなかなか前へ進めない。
遠くで輝く花火を見ているうちに、普段は穏やかなエリズでさえも、少し焦ってきた。
「もっと早く行かないと、着いた時には花火が終わっちゃうかもね。」
冗談めかして言いながら、エリズはリズミアの方を見た。
「リズミア?」
さっきまで目の前にいたリズミアが、突然姿を消していた。
往来する人波の中、エリズの心は一気に焦り始めた。
しかし、たかが花火に目を奪われていただけだし、リズミアも遠くに行っていないはず。
問題は、次にどこを探せばいいかだ。
間違った方向に行けば、後で彼女を見つけるのはさらに難しくなるだろう。
「リズミア!まだ近くにいるの?」
リズミアの名前を呼びながら、エリズは動き出した。
人波を逆に進むのはとても大変だったが、それでも彼女は諦めずにもう少し頑張ろうと決意した。
もう、誰かが突然静かに消えるのは二度と嫌だった。
その時、群衆の中で浅い青色の髪が一瞬目に入った。
それはあまりにも見慣れた色で、リズミアの髪以外にありえなかった。
少し乱暴に目の前の人々をかき分け、エリズは急いでリズミアの後を追った。
「リズミア、どこへ行くの?」
エリズは手を伸ばし、リズミアの腕を掴んだ。だが、その瞬間に違和感を覚えた。
リズミアは振り返らず、ただ黙々とどこかに向かって歩き続けていた。
もし何かに例えるとすれば——
【まるでリズミアが人形のようだわ。】
何かに魂を引き抜かれたかのようで、彼女は今のリズミアを引き止めることができなかった。
「目を覚まして!リズミア、どうしちゃったの?」
肩を強く揺さぶっても、リズミアは全く反応を示さなかった。
それでも、エリズは諦めなかった。
リズミアを目覚めさせることができないなら、彼女にどこへ向かっているのかを追ってみよう。
そう決心して、エリズはリズミアに従ってゆっくり歩き始めた。
しばらくすると、二人は街を抜ける道へと出た。
遠くを見渡すと、そこには巨大なヌノンの花の木があった。
その木から舞い散るヌノンの花びらが風に乗って夜空に舞い上がり、花びらの微かな光が星の川のように輝いていた。
これがアンメーンで本当に奇景と呼ばれる光景、「ヌノン星海」だ。
無数のヌノンの花びらが夜空に舞い上がり、星のように輝く。
だが、その魔力を使い切った花びらは普通の花びらに戻り、どこかへと消えていく。
花火台で打ち上げられる花火よりも、エリズはこの「ヌノン星海」を静かに眺めたいと思っていた。
しかし、今はリズミアがどうなっているのか分からず、どれだけ美しい空であっても、それに気を取られる余裕はなかった。
だが、夜空の光を借りて、エリズは更に遠くに一つの人影を見つけた。
その人物はフードをかぶり、エリズたちに背を向けていたため、その姿をはっきりと確認することはできなかった。
それがリズミアをどこかへ導いているのだろうか?
しかし、無闇に近づくのは危険だとエリズは感じた。
自分にその存在と対峙できる力があるかは分からないし、リズミアを精神支配から解放できるかどうかも分からない。
それでも、いざ戦わなければならない状況になれば、エリズは心の中で覚悟を決めていた。
たとえベファレスおじいさんに教わった魔法の数少ない技だけでも、あの人物を止める覚悟があった。
ヌノンの木にますます近づくが、リズミアの足はまだ止まらない。
ドン!
エリズが前方の神秘的な人物に集中していると、突然見えない壁にぶつかった。
まるでエリズを外に閉じ込めるかのように、操られているリズミアと神秘の人物はその壁を通り抜けていった。
エリズがどんなに目の前の空気の壁を叩いても、中に入ることはできなかった。
「どうして……」
リズミアがどんどん遠ざかるのを見ながら、エリズは焦りつつも、手の施しようがなかった。
ただし——
【私の助けが必要なのか?エリズ?】
その時、彼女の体内にいるあの声が、まるで彼女の窮地を見透かしたかのように、突然響いた。
【大事なおはなし!】
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