迷える少女④
「ん…」
リズミアは自分がどれくらい眠ったのか全く分からないまま、目を開けるのさえも苦痛に感じた。
しかし、ほんの少し瞼を開けただけで、柔らかな光が視界に差し込み、それがゆらゆらと揺らめいても、彼女の心に安らぎを与え、恐怖を感じることはなかった。
昏倒する前、彼女の体は凍え切ってほとんど動けなくなっていたが、今では温かさに包まれている。
まるで先ほどの死と隣り合わせの恐ろしい夢は、ただの悪夢でしかなかったかのようだ。
それでも、その悪夢はあまりにも現実的で、今でも彼女の心に刻み込まれている。
雪に埋もれて息ができなくなったあの窒息感、そして冷たい雪の棺に体温を奪われる絶望感——
その感覚はあまりにもリアルで、骨の髄まで染み込んでいるかのようだった。
それを少しでも思い返すだけで、彼女はまたあの悪夢に引き戻され、迷子になってしまうような錯覚に陥る。
腹部から強い空腹感が伝わってきた時、彼女は身を起こそうと試みたが、自分の体がまだ虚弱で動けないことに気づいた。
感覚が戻ってきたものの、体にかけられている毛布を持ち上げる力さえも残っていない。
そこで初めて、先ほどの夢が単なる夢ではないことを実感し、徐々に落ち着きかけていた恐怖が再び頂点に達した。
全身から冷たい汗が滲み出し、心臓の鼓動が異常に速くなる。
彼女は、あの雪の中を目的もなく彷徨い、地獄の門を探していたかのような自分の姿を思い出してしまったのだ。
「目が覚めたの?ずっと眠ってたよ。」
そんな彼女の混乱を引き裂くように、優しい少女の声が近くから聞こえた。
その声は、まるで他人の心を操る魔法でも使っているかのように、彼女の心を不思議なほど落ち着かせた。
声の方向に目を向けると、16歳ほどの金髪の少女が少し離れたテーブルのそばに立ち、鉄のおたまで何か温かいものを掬っているのが見えた。
彼女がリズミアの目覚めに気づくと、微笑みを浮かべ、慎重に両手でスープの入った碗を持ってこちらに近づいてきた。
「まだ体が弱っているから、無理に動かないでね。」
そう言いながら、少女は温かい液体が入った碗をベッドのそばの小さな木のテーブルに置いた。
そして、一方の手で毛布をめくり、もう一方の手をリズミアの背中とベッドの隙間に差し込んで、動けない彼女の体をそっと起こし、ベッドの端に寄りかからせた。
しかしリズミアは、目の前の状況がよく理解できず、困惑した表情を浮かべながらも、どこか警戒心を持っていた。
「君は雪山で倒れていたんだよ。ベファレスおじいさんが君を助けてくれたんだ。でも、いきなり言われても信じられないかもしれないね。」
少女は少し気まずそうに笑いながら言い、碗をテーブルに置いた後、壁際にかけられた洗濯物を片付け始めた。
少女が注意を別のことに向けている隙に、リズミアは周囲をじっと見渡した。
この石造りの家は、広くはないが、家具はきちんと整頓されている。
家の入り口から五、六歩進んだ場所に、部屋の中央に置かれた大きな石製のテーブルがあった。
テーブルの上には、葉を落とした数本の花が差してある細長い花瓶と、半分ほど溶けた蝋燭が立てられた燭台が置かれている。
木製の床はきれいに掃除されており、静かに燃える暖炉の火が優しい光を放ち、忙しく洗濯物を片付けている少女の顔を照らしていた。
リズミアの寝ているベッドとは反対側の遠くにあるキッチンでは、小さな火で何かが調理されているようで、鍋からはほのかに湯気が立ち上っていた。
ぐう。
少し落ち着きを取り戻したリズミアの腹が、空腹のあまり鳴り響いた。
彼女はどれくらい眠っていたのか分からないが、腹の空き具合が、早く食べなければならないことを教えてくれた。
しかし、体はまだ虚弱で、頭がぼんやりしている彼女は、テーブルの上に置かれたスープの表面に浮かぶ綿のように柔らかい魚の切り身をじっと見つめ、知らぬ間に口元に涎を垂らしていた。
漂う香りが、彼女の警戒心を少しずつ溶かし、そのスープを少しだけでも口にしたいという衝動が込み上げてきた。
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