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純白幻想物語 吸血鬼の記憶の旅  作者: 水橋キレシ
第2章 隠された恋
33/92

エナの愛 16

【大事なおはなし!】



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初めての小説創作なんですけど、何卒よろしくお願いいたします!

 夜晚の礼堂内は、誰一人いない。


 外の森で、かすかに聞こえる蝉や虫の鳴き声が、静寂を際立たせていた。


 私は一人で礼堂の長椅子に座り、空虚な心で水晶の棺を見つめていた。


 何か言いたいことがあるはずなのに、喉が詰まったようで、声を発することすらできなかった。


 全てはあまりにも突然だった。一瞬で全てが変わってしまったかのように。


 昨日、母が亡くなった。


 外から聞こえてきた慌ただしい足音で目を覚まし、部屋を出ると、メイドたちが慌てて駆け回っていた。


 彼らの顔に浮かぶ隠し切れない悲しみが、何も知らない私の胸に鋭く刺さる。


 私はただの直感で彼らの後を追った。


 そして、母の部屋の半開きの扉の前に立つと、心の底から湧き上がる恐怖が私を泥沼に引き込んだ。


 母は未完成の千羽鶴を手にしていた。それは九十八羽目だった。


 母は深い眠りに落ちていた。メイドたちがいくら彼女を揺さぶっても、彼女はもう目を覚ますことはなかった。


 私は近づいて眠る母を見た。


 彼女の顔には苦痛の色はなく、まるで素晴らしい夢を見ているかのように、優しく、穏やかに微笑んでいた。


 メイドたちは、なぜか私に道を譲り、母にさらに近づけるようにしてくれた。


 だが、私は心の底で、彼らが私を止めてくれることを願っていた。


 私はさらに一歩近づき、いつものように母のベッドのそばに身を寄せ、冷たい頬を軽く叩いた。


「お母様、そろそろ起きて、一緒に遊びましょうよ」


 私に返ってきたのは、母の長いあくびでもなく、背後で抑えられたすすり泣きの音だけだった。


 メイド長は頭が近づき、しゃがんで私に言った。


 彼女の声は詰まっていた。


「お嬢様……どうかあまり悲しまないでください。奥様は夢の中でお亡くなりになられました。苦しむことなく、安らかに逝かれました」

「ということは……お母様はもう、二度と目を覚まさないの?」


 まだ信じられない表情を浮かべながらも、忠実なメイド長は静かに頷いた。


 その瞬間、心の中で雷鳴が響いた。


 私は貴族の子女として育ち、「失う」という感覚をこれまで知らなかった。


 たとえ何かを失ったとしても、それは不思議とすぐに戻ってきた。


 今まで、私の持つものは決して私から離れることはなかった。


 だが、今私が握っているこの冷たい手だけが、容赦なくその寒さを伝えてくる。


 今回失ったものは、もう二度と戻ってこないのだ。


 その時から、葬儀が終わるまで、私は母のベッドのそばに座り続け、不可能な奇跡をただ待っていた。


 もしかすると、母が寝言を呟いて目を覚ますかもしれない。


 彼女は笑いながら私の頭を撫で、今日は少し寝坊してしまったと言うだろう。


 きっと私を慰めてくれる。母は決して私を悲しませようとはしなかったから……。


 母が亡くなった次の日の夜、父がようやく私の前に現れたとき、抑えられない怒りが胸の内に燃え上がった。


 父はいつも母をどれだけ愛しているかと言っていたのに、最期の瞬間にさえ立ち会うことができなかった。


「エナ……お母様はただ病気のせいで、少し長い眠りについているだけだ。心配するな、父さんにはまだ方法が……」

「嘘つき。」


 心の奥底から浮かび上がった言葉が、反射的に口を突いて出ていた。


 部屋の中は、しばらく静寂に包まれた。


 父は私のそばに立ち、長い間、眠っている母を見つめていた。


 その瞳の奥で何かが壊れたようだった。


 それは私が初めて見た、どんな時も強くあろうとする父の涙だった。


 彼は言葉を詰まらせるかのように唇を噛み締め、全身が震えていた。


 父も、悲しいと感じるのだ。


 彼にはもっと多くの時間があったはずだ。


 母と過ごす時間がたくさんあったのに、この瞬間に初めて泣くなんて……。


「お母様は、ずっとあなたに会いたがっていたのに、あなたは一体どこにいたの……。父さん、仕事がそんなに大事なの?」

「ごめん……エナ、全て父が悪い。父さんは、母さんを裏切ってしまった……」


 私は彼の言葉を無視し、無言で部屋を出た。


 その後すぐ、母は棺に納められ、葬儀が行われた。


 父と関わりのある貴族たちが弔問に訪れ、彼女の死が父にどれほどの悲しみをもたらしたかを語っていた。


 彼らは私の頭を撫でながら、私にも悲しまないようにと言った。


 彼らの目には、母の死を悼む気持ちなど一切なかった。


 私はその中に座っているだけで、礼堂全体がまるで燃え盛る地獄のように感じた。


 やがて弔問の人たちが去り、礼堂に私と母だけが残ると、ようやくその炎が消え去り、冷たさが肌を通じて体中に広がっていった。


 これから私は、もう二度と喜びを感じることができるのだろうか?


 私は自分に問いかけたが、答えを知るのが怖かった。


 月明かりが天窓から差し込み、水晶の棺に斜めに注いでいた。


 それは、母が女神の世界へと向かうための階段なのだろうか?


 もしそうなら、母はきっと私の考えを認めてくれるだろう。


 彼女なら、きっとそうしてくれるに違いない。


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