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純白幻想物語 吸血鬼の記憶の旅  作者: 水橋キレシ
第2章 隠された恋
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エナの愛 ⑤

 将军宅邸の寝室で、オースは鏡の前で服を試していた。


 彼の背後にはアンリリズが立っており、二人とも何かしら緊張した様子であった。


「えっ……オース様、明日アンダル公爵の娘様に会いに行かれるのですか?」

「うん。書斎の掃除は君に任せるよ、アンリリズ。」


 オースの肯定の返事を聞くと、アンリリズの瞳が驚きで少しだけ大きく開かれた。


 彼女は最近アンダル公爵から何度も手紙が送られてくることは知っていた。


 しかし、それを読んだ後のオースが迷っているような様子になることしか気づけなかった。


 彼女は一度オースにそれとなく質問しようとしたが、自分の立場を考えてその計画を打ち消していた。


 だが、オースがアンダル公爵の娘と会うと知ったとき、彼女の心は何となくざわついた。


 心の中では、自分が気にするべきことではないと理解していたが、それでも心が騒ぎ始めた。


「アンダル公爵は私をここまで導いてくれた恩人だ。感謝の念を抱くのは当然だし、彼の娘に会うのはそれほど難しいことじゃない。断る理由もないよ。」


 オースは鏡を見つめ、アンリリズが手渡した長いコートを着てみたが、どうも気に入らず、すぐに脱いでベッドの上に放り投げた。


 ベッドにはすでに山積みの服が積み上げられていた。


 普段は軽装の鎖帷子で仕事に出かけることが多いオースにとって、こういった場にふさわしい服装を選ぶのは少し戸惑いがあった。


 なにしろ、女の子に会うために身だしなみを整えることなど、これまで考えたことがなかったのだ。


「オース様、あまり緊張なさらないでくださいね。女の子は外の空気にすぐ影響されてしまうんです。相手が居心地よく感じるようにするには、まずはあまり気にしすぎないことが大事ですよ。」

「君の言うこと、全然わからないよ……アンリリズ、もっと簡単な方法はないのか?」

「もし他人との関係がすべて言葉で説明できるなら、人々は寂しさなんて感じませんよ。オース様、逃げてばかりだと女の子の心に近づくチャンスを失いますよ。」

「……」


 アンリリズの言葉に耳を傾けながら、オースは鏡に映る自分を見つめ、しばし沈黙した。


 彼の視線は少し乱れた髪から始まり、ピカピカに磨かれた靴までゆっくりと移動した。


 彼は思案にふけりながら、心の奥底にあるぼんやりとした記憶が浮かび上がってきた。


 広大な草原の丘に座る少年時代の彼、そして夕日に染まった空を背にして、ある女の子と話している光景が見えた。


 その女の子は、彼が衛兵の制服を着ていることを気にすることなく、同年代の友人のように気さくに話しかけていた。


 そしてその時の彼も、何の気負いもなく、女の子の言葉にただ気楽に応じていた。


 それは、彼の記憶の中で唯一女の子と二人きりで過ごした時間だった。


 今思えば、衛兵の制服を着ていたことが不釣り合いに感じるが、その女の子は彼の立場を気にすることなく、ただ彼を普通の友人として受け入れてくれていた。


 彼は何かを感じ取ると、背後にいるアンリリズに指示を出した。


「アンリリズ、黒いシャツと灰色のパンツをアイロンしてくれ。それから、茶色の長袖のレザージャケットも用意してくれ。」

「オース様、やっと私も安心できる選択をされましたね……もしかして、鎧姿で公爵の娘様とデートに行くのかと心配していました。」

「まあ、鎧姿も悪くないと思っていたけど、さすがに場所をわきまえているよ、アンリリズ……」


 アンリリズは軽く笑い、その顔に浮かんでいた不安も消えていった。


 彼女は素早くクローゼットへと歩み、オースが求めた服をすぐに取り出した。


「オース様、それでは先に衣類を準備しておきますね。早めにお休みください。」


 そう言って、彼女はレザージャケットを一旦ハンガーにかけ、残りのシャツとパンツを抱えて部屋を後にした。


 部屋には、オース一人だけが残された。


 彼は目を伏せ、鏡に映る自分を見つめ、その視線はどこかぼんやりとしていた。


「この記憶……何だかとても懐かしい気がする。」


【大事なおはなし!】



本作品を読み進めていく上で気に入ってくれたら、


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この2つを行ってくれると、作品の大きな力になります!


初めての小説創作なんですけど、何卒よろしくお願いいたします!

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