エナの愛 ③
「……私はエナの決断を尊重する。」
アンダルはゆっくりとベッドのそばに歩み寄り、エナの手を握りしめた。
彼女の手はすでに病に侵され、骸骨に薄い皮膚が張り付いているかのように肉感がなく、血の気も失っていた。
その手を握るだけで恐怖を感じさせるほどだった。
揺らめくろうそくの光の下で、エナの涙に濡れた顔がアンダルに、彼女がその体内に宿る絶望的な呪いによって耐えてきた計り知れない苦痛を、無言で訴えているようだった。
かつて美しかった娘が、呪いによって日に日に痩せ細っていく姿があまりにも痛々しい。
アンダルは言葉にならない感情が胸に詰まり、いつの間にか目尻に涙がにじみ出ていた。
妻のエリカは、すでに【あの存在】によって自分の元を去った。
今、彼にとって最も大切な存在は、この目の前の娘だけだ。
しかし……今やその唯一の娘も、魔の手から逃れることはできない。
エナの口元が微かに震えているのは、体内の痛みが耐え難いからか、それとも彼女が何かを訴えたがっているからなのか。
アンダルは、その姿を見て、まるで心が無数の棘で刺されたかのような感覚に襲われた。
「エリカを幸せにすることができなかった……彼女は孤独なままこの世を去ってしまった……。せめて、エナには、彼女が望むものをすべて与えてあげたい。」
「パパ……」
アンダルの決意に満ちた表情を見て、医者も無力な様子で頷くだけだった。
「では、アンダル公爵、明日できるだけ早く薬をお持ちします。ただし、エナ様の体力が外出できるまで回復するかどうかは保証できません……」
「ご苦労だった。」
医者は痛みに苦しみながらも静かに呻くエナを一瞥し、無言でベッド脇の診療道具を片付けると、部屋を後にした。
医者が出ていくと、アンダルは侍女たちに目で合図を送り、彼とエナを二人きりにするように促した。
「エナ……パパはお前の願いをできる限り叶えるつもりだ。オスとの再会、なんとか手を尽くしてみるよ。」
「ありがとう、パパ……」
アンダルはそっとエナの額に自分の額を寄せ、彼女が苦痛に震えていることを悟られないよう、優しく短い間だけ触れ合った。
そして、慎重に彼女の背中を支え、再びベッドに横たわらせ、布団をかけ直した。
「おやすみ、エナ。」
「……おやすみなさい、パパ。」
エナが疲れた様子で目を閉じると、部屋の外から慌ただしい足音を響かせて、鎧を着た兵士が入ってきた。
彼は緊張した面持ちで、敬礼を忘れるほど急いでアンダルに近づき、声をできるだけ抑えながら報告した。
「アンダル公爵、辺境で再び摩擦が発生した件について……カリ将軍が行程の調整を希望しております。」
「こんなところでその話をするな、エナには休息が必要だ。」
アンダルは一瞥して、ベッドで眠っているエナを確認すると、同じく声を低くして兵士に指示を与えた。
「外で話そう。」
二人は足早に部屋を出ていき、扉が静かに閉じられた。
扉の閉まる音を聞いたエナは、ようやく安心して目を開けた。
部屋には、彼女以外誰もいなかった。
任務を続ける時が来た。
「うぅ……」
彼女は体を起こし、ベッド脇に置かれた色とりどりの折り紙を手に取った。
体力がほとんど尽きかけているにもかかわらず、彼女はゆっくりと一枚一枚、折り紙を折り続けた。
「オース様、彼は本当にまだ私を覚えているのかな?」
そう呟きながら、エナはふと顔を上げた。
ベッドの横に吊るされた千羽鶴が、夜風に揺られて優しく揺れていた。
窓の外から吹き込む風が彼女の顔に触れ、寒気が電流のように全身を走り抜けた。
まだ冬ではないのに、まるで氷の中にいるかのような冷たさを感じた。
「先ほどの条件で、ご満足いただけましたか? エナ様?」
窓の外から、落ち着いた冷静な男の声が聞こえてきた。
まるでエナが何をしているのか、すべてを見透かしているかのようだ。
「どうぞ、お入りください。先生、取引の話をしましょう。私はあなたの条件を受け入れます。」
彼女の視線は窓の外にある一本の木に向けられていた。
その木の枝には、誰かが太い幹に手を掛け、半蹲りの姿勢で座っているようだった。
「彼のためなら、私は何だってするわ。」
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