エナの愛 ①
——根気よく千羽鶴を千羽折ると、幸せが手に入るんだよ。
お母さんはベッドに座り、ちょうど折り終わったばかりの七十八羽目の鶴を手にしていた。
彼女は微笑みながら、その鶴をそっと私の手に置いた。
それはまるで美術館に展示されているアート作品のように精巧で、どの角度から見ても息をのむほど美しかった。
——お母さん、もう何羽目の鶴を折ったの?
——ちょっと数えてみるわね、エナ。
お母さんは顔を上げて、ベッドのそばの窓辺を見つめた。
何本もの鶴の飾り紐が、窓の上のフックに掛けられていた。
それらは長く垂れ下がり、外から吹き込むそよ風に揺れている。
色とりどりの鶴たちは、太陽の光に照らされて生き生きとした姿を見せ、今にも細い紐を振り切って羽ばたき、遠い空へ飛び立ってしまいそうだった。
お母さんはその鶴たちを見つめ、しばし夢中になっていた。
外の陽光は明るいけれど、それがお母さんの顔に当たっても、彼女の頬の青白さは少しも温かくならなかった。
昨日よりも一層やつれたように見えた。
——いち、に、さん……
お母さんは手を上げ、長くて白い指で飾りの鶴を指しながら、下から順に数え始めた。
彼女の声はとても軽やかで、私が今まで食べたどの綿菓子よりも柔らかく感じられ、焦りや不安の気配は少しもなかった。
私はベッドの端にひざをつき、両手を重ねて枕にしながら、少し無造作に傾けた頭を支えていた。
そのままお母さんの指先を見つめ、空中にゆっくりと描かれる少し曲がった線を目で追った。
——七十七、七十八……今日はこれで七十九羽目ね。ふわぁ~。
お母さんは大きなあくびをして、眠そうに目をこすった。
——エナ。お母さん、ちょっと眠くなっちゃったから、明日また遊んであげるわね?
彼女はいつものように私をあやすような口調で言ったが、私は選択肢がないことを知っていた。
今にもそのまま眠ってしまいそうなお母さんを見て、もう少し話をしたいと思っても、メイドたちはすぐに私の手を引き、慌ただしく私を部屋から連れ出すのだった。
そのたびに、なんとなく腹が立った。
メイドたちはお母さんと一緒にいる時間が長いのに、どうして娘の私がもう少し一緒にいることを許してくれないのか。
彼女たちの顔はいつもどこか奇妙で、何か大変なことでも起きているのかと感じさせるが、それを見ているといつも胸が締め付けられるように悲しくなる。
この屋敷のみんなは元気がなさそうに見えるけれど、お母さんだけは笑顔を絶やさずにいてくれるおかげで、私は少しだけでも楽しいことを見つけられる。
お母さんと一緒に過ごす時間は本当に楽しくて、だからこそもっと彼女のそばにいたいと思う。
お母さんにもっと多くの千羽鶴を折ってもらえば、きっと昨日よりも多くの話をすることができるだろう。
私はお母さんの折り紙の手順を一生懸命覚えようと頑張った。
折った鶴はいつも不格好で、お母さんの器用な手先には到底かなわなかったけれど、お母さんは私が折ったそのへんてこな鶴を一度も嫌がったことはなかった。
他の人たちはあまり好んでくれなかったけど、お母さんはその鶴も一緒に飾り紐に掛けてくれた。
飾りの見栄えが悪くなるかもしれないけれど、それでもお母さんは何も言わず、私は嬉しくて、もっと鶴を折ってお母さんの願いを早く叶えてあげたいと思った。
その日が来たら、お母さんの笑顔はもっと明るく輝くはずだ。
そのことを考えると、私はつい頑張って、もっとたくさんの鶴を折りたくなる。
もしお母さんが「毎日カウントされるのは一羽だけ」と言わなければ、私は一日でお母さんの願いを叶えてあげられるのに!
夜寝る前には、翌朝お母さんに渡す鶴を枕元の棚に置くことにしている。
それを見るだけで、きっと素敵な夢を見るんだろうなと思えるし、目覚めたらお母さんが元気いっぱいの姿を見せてくれるという予感がする。
あ、そうだ、もし私が一日で千羽鶴を折れたら、どんな願いを叶えようかな?
お母さんが早く元気になりますように。
そしたら、パパも時間を作って、お母さんと私と一緒にピクニックに行けるのにね。
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