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純白幻想物語 吸血鬼の記憶の旅  作者: 水橋キレシ
第1章 呪われた国
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迷える少女 16

 手紙を読み終えたエリズは、震える指でそれを丁寧に畳んだ。


 彼女の心には、まだ多くの疑問が渦巻いていたが、それでも確信していた。


 母さんは亡くなったのではなく、誰かに連れ去られたんだ。


 その一瞬だけで、彼女の心は抑えきれないほど興奮した。


 まるで悪夢のように彼女を苦しめていた過去が、母さんがまだ生きているという幻想と共に期待感で溢れ、巨大な喜びが彼女の頭を真っ白にさせた。


 リズミアが肩を揺さぶってくれるまで、彼女はその夢から目覚めることができなかった。


「『エカリス巫女団員との約束を果たす』……エリズ、おじいちゃんの言葉ってどういう意味?」

「エカリス巫女団……確かにグラン帝国とエル帝国の両方で巨大な影響力を持つ魔法組織だと聞いたことがある。彼女たちの本拠地はエル帝国にあり、今私たちがいるのはグラン帝国の北部だから、そこに行くには帝国を横断しなければならない。でも、こんな大きな魔法組織が、おじいちゃんとどう関係があるのかしら……」


 ここまで言うと、エリズも少し首を傾げた。


 記憶の限り、ベファレスはフェンリル山脈で遭難者を探す以外、遠くへ行ったことはなかった。


 ある意味、ずっとこの近辺をうろついていたベファレスが、その組織の人たちと接触する機会などあるわけがない。


 よほど、組織の方から彼を探しに来ない限りは。


 ベファレスが多くのことを隠していたとはいえ、彼女はそれを知ってもさほど怒りは感じなかった。


 彼が手紙に書いていたように、昔の彼女は母さんをどこで探せばいいのかすらわからなかったし、たとえ居場所がわかっても、連れ去った相手に対抗できるとは限らなかったのだ。


 しかし、今となってはチャンスがエリアンの目の前に現れたようだ。


 その契機は、彼女の隣にいるこの少女だった。


 彼女はどうやらあの世界から来た人のようだが、何らかの理由で記憶を失ってしまった。


 しかし、もし彼女がその世界の手がかりを持っているのなら、母さんの行方を他の場所で探すことこそ、今のエリアンが最もしたいことだった。


 ある意味、ベファレスは彼女が何を望んでいるかを、ずっと理解していたように思える。


 ただ、この冷たくなった手紙よりも、彼女は長い間一緒に暮らしてきた大好きなおじいちゃんと、直接別れを告げたかった。


「もしおじいちゃんがその組織と関係しているなら、私たちがその組織を探せばいいじゃない。だって、おじいちゃんはどこに行くとも言ってないし、こうしてあちこち探すのは面倒くさいよ……」

「……そういえば、リズミア、フィヴァの天空都市って聞いたことある?」

「何か思い出したような……うう……」


 そう言いながら、リズミアはまた苦しそうな顔をして、頭を抱えてしゃがみこんだ。


 額には冷や汗が滲み、体もまるで冷えたかのように震え始めた。


 エリズは慌ててしゃがみ込み、手をこすって温かさを与え、リズミアの頬にそっと手を当てた。


 どうやら、何か未知の理由で、リズミアはフィヴァのことを思い出そうとすると、体調を崩してしまうらしい。


 明らかな手がかりが目の前にあるとはいえ、彼女がこんなにも無理をしてあの世界のことを思い出そうとしているのを見て、エリズもさすがに心が痛んだ。


「大丈夫だよ、リズミア。もし辛いなら、そんなこと思い出さなくてもいいから。別の場所で手がかりを探せばいいんだよ。今夜は休んで、明日出発しよう、ね?」


 リズミアは無理に顔を上げ、いつもの明るい笑顔を浮かべて、エリズに向かってこくりと頷いた。


「エリズが行くところなら、私も絶対ついていくから!」

「そんな無理しなくていいのよ。体調がもっと良くなってから、おじいちゃんを探しに行っても遅くないからね。」

「エリズが私をこんなに気遣ってくれるなんて、嬉しいなぁ!」


 リズミアはそう言いながら、笑顔でエリズの背中に飛びついた。


 あまりに元気な姿に、エリズはもしかして騙されてるんじゃないかと疑ったくらいだ。


 しかし、彼女が表したあの痛みは作り物ではないことは間違いなく、エリズは心の中で彼女の悪戯を黙って受け入れるしかなかった。


「でも、休む前にまずはこの小屋を片付けないとね。たとえ長い間離れることになっても、帰ってきたときに廃墟になってたら困るし……」

「え?!また忙しくなるってこと?!休みたいよ、エリズ!」


 しかし、今回のリズミアのわがままは、エリズには通じなかった。


 仕方なく彼女はエリズが差し出したタオルを受け取り、渋々とテーブルを拭きながら小屋を片付け始めた。


【大事なおはなし!】



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初めての小説創作なんですけど、何卒よろしくお願いいたします!

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