迷える少女⑩
朝食の後、リズミアが自分のベッドのそばで、干してあった服を畳んでいると、エリズは皿を抱えて台所に向かい、洗い物を始めた。
いつもより動作が少し鈍いその様子に、ベファレスはすぐに気づいた。
「エリズ、どうしたんだい?」
何かを考えては動きを止めていた彼女は、後ろを振り返ると、少し腰を曲げてゆっくりとこちらに歩いてくるベファレスの姿を見つけ、少し気まずそうに手を振って、無理やり笑顔を作りながら言った。
「なんでもないよ、おじいちゃん。それより、体が不自由なのに、わざわざこっちに来なくてもいいのに。
椅子に座ったまま話しても、私にはちゃんと聞こえてるから。」
何しろベファレスのお気に入りの揺り椅子は、台所のカウンターから2メートルも離れていないところに置かれている。
そこに座っていれば、普通の声で話しても、エリズに届かないはずがなかった。
「その子がここに来てから、君はなんだか元気がないように見えるんだ。」
ベファレスは困惑しているようには見えなかった。
白髪の眉の間には優しさが満ちており、乾燥してしわくちゃになった皮膚にもかかわらず、その瞳には少しの疲れも見られない。
むしろ、老いた体には獣のような力が潜んでいるかのようで、全身が老いに包まれていながらも、その鋭い目つきだけは、まるで獲物を探しているかのように鋭く輝いていた。
彼にとって、心が乱れるこの少女の心中はお見通しだったのだろう。
だが、彼はそのことを指摘せず、彼女自身がその悩みを解決できるよう、ただ静かに見守っていた。
「ちょっと変なことを考えてただけだよ……おじいちゃん、そんなにわかりやすかった?」
エリズはまた手元の作業に戻ったが、誰が見てもその動作が少し慌ただしいことから、質問を回避しようとしているのは明らかだった。
ベファレスは答えず、追及することもなく、しわくちゃの手を差し出して、そっと彼女の頭を撫でた。
目を細めながら、微笑みを浮かべて言った。
「時々、わかりやすいのは悪いことじゃないさ、エリズ。」
そう言うと、彼はすぐにその場を去った。
エリズは振り返りながら、離れていくベファレスの後ろ姿を見送ったが、その目は彼のかがんだ背中を越えて、遠くにいるリズミアの姿に向けられていた。
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