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グリアン・エナのはなし
私はようやく、もう少しあなたに近づける機会を得ました。
何年もあなたを待ち続けて、ついにこの瞬間を迎えることができました。
私のこと、覚えていますか?あの草原であなたのために花冠を編んだあの少女を……
あなたが町を救った勇姿にずっと憧れて、あなたの生きる信念を胸に刻み、今日まで生きてきました。
あなたは昔と変わらず、頼りがいがあって、信頼できる存在です。
ずっと変わらない、あなたがその目で見つめ続けている“何か”も——
その目には、いつもその存在が刻まれています。
私は、あなたのその執着が好きです。
だけど、その存在に嫉妬してしまう。あなたの目を占め続けるその“存在”に—— それがあるせいで、私は永遠にあなたの心に届かない気がします。
ねえ、オースさん。
もしあの時、あなたに出会わなかったら、今の私はもっと幸せだったのでしょうか?
——グリアン・エナより