4 おりがみ
「こんにちは――。じいじ、いますかあ? 」
「あら、そうちゃん、いらっしゃい。」
「じいじ、いますかあ? 」
「じいじはね、おひるねをしてるよ」
「ふううん……」
「じいじがね、そうちゃんがきたら、ばあばとおりがみをするようにって、いってたよ」
「じいじ、つかれてるんだね。うん、わかった。ばあばとおりがみ、する……」
ばあばは、いつもじいじがすわっているうしろのふすまをあけて、じいじのおもちゃばこをだした。中からきれいなおりがみをとりだして、そうたのまえにもおいた。
「それじゃ、そうちゃん、ばあばのまねしながら、おなじようにおるんだよ」
「うん……」
……
「あっ、これ、とりだね」
「そうだよ。つるなんだよ」
「とちゅう、むずかしいところもあったけど、よくがんばったね」
「もう一つ、つくってもいい? 」
「ああ、いいともさ」
「じいじにも、あげるんだ。ぼくがつくったつるをね」
「そうかい。じいじ、きっと、よろこぶよ」
「うん……」
……
「ほう、できたね。すごいね、そうちゃん……じゃ、つぎは、やっこさんね。やっこさんは、上と下をべつべつにつくって、二つをつなげてできるんだよ」
……
「ばあば、できたよ。くっつけたら、できるんだね。足をもって、こうやってうごかしたら、あるいているみたいだよ……」
「おやおや、ほんとだね……」
「あっ、おかあさんがきた。じゃ、ぼく、かえるね。このつる、じいじにあげといて。じいじ、おきなかったね。こんど、あそぼうね、って、じいじにいっといてね」
「あゝ、わかったよ。つたえておくからね……また、じいじと、あそんでおくれ。じいじも、たのしみにしてるからね……」
「うん。じゃあ、ばあば、またね……ばいばい……」
きょうは、じいじ、おきてこなくてさびしかったな、っとおもいながら、そうたは、おかあさんとじいじのおうちを出た。おかあさんに、
「きょうはね、じいじ、おひるねをしてて、ぼく、じいじとあそべなかったんだ。ぼく、かなしかったな……」
というと、おかあさんがいった。
「じいじも、あそびたかったとおもうよ。こんどは、あそべるといいね……」
「うん! 」
おかあさんは、ぼくのかおをぜんぜん見なくて、ちょっぴりおこったようなかおをして、まえをむいていた……。