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今日から学校と仕事、始まります。①莞

女共は美腕揃い

作者: 孤独

「以前から思っていたが、……」


美脚な女性という人はいるだろう。スカートなり、スパッツなり、ホットパンツなり、


しかして、藤砂空にはそれなりの、彼女である山本灯経由での女友達は結構いる中で、


「お前等は、……美脚美人じゃないよな」

「なんだと?」

「なにー?」


藤砂空は山本灯達にそう言った。



◇      ◇


どこかの喫茶店にて、飲み物などが5つ置かれたテーブル。5人の着席。



「神庄束沙がそのポジションだったけど、死んじゃったしね」


いない人は置いておけ。


「でも、酷いね。藤砂がそんなことを言うなんて。美脚じゃない女性陣って」

「まったくよね」

「全員、蹴り技がそこそこだから」

「凡人以上だけれどね」


藤砂から始まった一言によって、いかにここにいる女性達による美脚アピールをするか。藤砂が審査員となって、お色気アピール大会になった。いや、彼女達の場合。



「スカッと前蹴りでいいでしょ!」


1番手、山本灯。

金髪狐の如き細め目な女性。”拳女王パンチクイーン”と呼ばれる”超人”であり、構えを見ただけで殴られてるほどの超神速の突きを武器としている。

蹴り技は基本的な物から、複雑な技までこなせるが、基本的に拳で戦う人である。



「いやいや、締め技でしょ。今の状態じゃそう上手くいかないけど」



2番手、福道春香。

車椅子に乗る巨乳でサバサバした美女。とある戦いにて、背骨に激しい損傷を負って、車椅子生活を余儀なくされた。しかし、灯同様の”超人”であり、単純な打撃技だけでなく、投げ技、投擲、関節技などなど、技のデパートな”超人”。



「乱舞ですよ!乱舞!足でパーッてやって」


3番手、沖ミムラ。

黒髪ツインテールを持った、ちょっとアホだけど、”天運”を持つ女性。格闘センスは普通ぐらいであるが、なんだか知らない強運で相手の急所ばかりクリティカルさせる格闘を行なう。カッコイイ技を使うが、あまり当たらない。



「これだから素人達は。足って言ったらスピードでしょ」


4番手、鯉川友紀。

特殊警察をしている婦警さん。”韋駄天”の異名をとり、その超スピードは高速道路を走る車を追い抜き、瞬発力にも富んで、驚異的な拳闘の間合いを持つ。



「失言だったか、……お前達にとっては」


そして、こんな会議に入って、審査までやることになった藤砂空。”強者”と呼ばれる”超人”であり、その場にいる誰よりも強くなれる”超人”。灯の彼女。独特なテンポで話し、ボサボサ髪した好青年ってところである。


「で?どんな美脚が良いわけよ?」

「お前等のさっきからのそれは、……武闘家や戦闘狂のそれにしか聞こえなかったが」

「審査してもらいましょう。実験台、藤砂」

「止めろ、……なんで人様の実験につき合わされなきゃ」



その時、藤砂は瞬時に察した。4人の内、3人の戦意と殺意を。

藤砂の隣にいた灯が突きを放つ構えをとった。その瞬間は時の全てが凍ったかのように、灯以外は何者かも動いてはいなかった。着席状態からの攻撃、



「……」


迅いが、……軌道の修正はできていないな。顔は動かしやすいぞ。

誰も動けやしないであろうコンマ単位の中、灯は突きを、藤砂はスウェーを。他以外にはシンクロして動いたとしか見えないタイミング。



腕が伸びきる!そして、拳に手応えはなし!


「!」


灯の攻撃は失敗に終わるが、続くように鯉川が、そして福道が。

灯の攻撃を避けるため、仕方なく体勢を引いた故に。硬直したとも言える体勢の藤砂を襲った。灯の拳より遅いが、座ってから立ち、移動し、藤砂の後頭部の方へ回りこむ。そのスピードは足のみならず、体全体の速度が超越しているからこそ、成しえるスピード。

首をかっきる手刀を振り下ろし、藤砂の首を襲う。


「お」


が、藤砂は硬直したかに思えた体勢から、即座に跳ね返るように体を起こし、灯の拳にぶつかることもなく体勢を戻し、鯉川の攻撃までも回避する。

そこまでを読んで、福道は。灯と鯉川の手の隙間を通って、藤砂の体に突き刺さるであろう。フォークを2つ投げ飛ばしていた。



「腕任せだ、……足はどこいった?」


その3連攻撃は見事である。しかし、3人共。足技をまったく使っていない。

藤砂は全員、不合格と見なすように。福道が放ったフォークを丁寧に掴み取っていた。



「やるわね」

「嘘!?あれ避けれるわけ!?凌げるわけ!?」

「まったく、強い男は嫌ね」


試し程度にやったが、思った以上の差を知れた3人。攻撃を決めるには程遠い。


「喧嘩っぱやいな、……精進……」


その時、藤砂に襲った冷たい攻撃。手に感じたもの


「み、皆さん!急に動かないでください!ビックリしてジュースを倒しちゃったじゃないですか!」

「なんか、……俺にしかかかっていないのだが?」


ミムラがこぼしたジュースが、藤砂にだけぶっかかっていた。如何なる”強者”であっても、偶然までは避けられない。


「ともあれお前達4人は、……美腕って事で纏めておこう」

「それ褒めてる?馬鹿にしてる?」

「良い腕を持った奴等、……そう思ってくれ。美脚と変わらんだろ」






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