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僕は妖精に恋をした

アイリス恋愛F大賞様に応募する作品です。恋愛ファンタジーはあまり読まないので変な所だらけかもしれませんが是非読んでみてください!


僕は妖精に恋をした。妖精なんかいるのかと思う人がいるかもしれない。

こんなの夢物語と思う人がいるかもしれない。

ただこの話は確かに僕が見た。

僕はたまに、もしかしたら夢だったのかもしれないと思う事もあるが、夢だったとしても良い。僕が

    ‘あの娘’

 に会った真実があるのなら


初めて‘あの娘’に会ったのは太陽が燦々と照りつける或八月の真夏のこと。

「ヤバイ遅刻だ!」

        ゃょぃ

演劇部の僕、桜木彌生(因みにこの名前はよく女子と間違われる)は通っている高校の近くの市民センターで演劇をするのだがその練習が今日あった。だが夏休みということもあり、気が緩んでいたのだ。

急いで身支度を済まし、朝食をとった。両親は共働きで既に二人とも家を出ていたので部屋の中は静かだった。

「起こしてくれても良かったじゃないか」

僕のスマホのメモには

「ちゃんと起こしました」

母の言葉で書いてあった。

急いで玄関を飛び出した。


心臓が破裂するんじゃないかと思うほど走った。

文化部の僕は運動部なんかとは違い普段動かないから少し走っただけでおかしくなりそうになる。

サッカー部やら陸上部からは笑われそうだがそんなこと考える暇がない。

高校は多少距離があるのだが歩いていけない程ではない。

走りながら僕は近道を思い出した。普段遅刻などしないから忘れていたのだがこの危機感から眠りについていた記憶が出てきた。丁度近道になる抜け道の前を通った。

その抜け道は鬱蒼とした森なのだが高校に行くのは相当楽になる。おそらくこの抜け道を知っているのは僕だけだ。

普段からこの抜け道を使っても良いのだが遅刻をする事はほとんどないのと周りの人に見られた時怪しまれることがあるから使うことは本当に今日み

たいな日ぐらいだろう。

この森では幽霊を見たとか妖怪が出たとかあまり良い噂がたたない。


この森は僕が小さい頃から遊んでいたのだ。勿論一人ではなく、

            かな

歳が三つ下の僕の妹、桜木加奈と此処に来ていた。ただある時から僕は加奈と遊ぶことが減ってきた。中学に入ってからか友達に妹と遊んでいることが馬鹿にされるのが怖かったのか、自分でも分からないのだが。

そしてそのせいで妹は事故にあい死んでしまった。

僕はそれを悔やみ自分を責めた。

僕がもっと遊んでいればこんなことには...

僕が中学一年で最初の夏、丁度今頃に加奈は僕が相手にしなかったから一人で遊びにあの森に行った。

友達を作るのが少し苦手だった加奈は僕ぐらいしか遊び相手がいなかった。

僕も後で行くを繰り返し結局行かず加奈は早くこの森に行きたかったのか行く途中にある横断歩道を車が来ていることも確認せず飛び出してしまった。

案の定、車が走ってきた。そして轢かれてしまったのだ。

僕がちゃんと付いていれば、今でも後悔しか残っていない。

多分加奈も僕のことを恨んでいるだろうな。この森に来る度に思い出す。


そんなことを考えているうちに無意識にゆっくり歩いていた。

まあいいや

もう遅刻だし。

木漏れ日が僕を照らす。

この森の綺麗な空気を吸うとリフレッシュし、少し悩み事が軽くなる。


ガサッ


足音が聞こえた。厳密にいえば僕以外の足音が聞こえた。近所の人でもこの森に入る人は少ないのに誰だろう。


ガサッ


さっきよりはっきりと鮮明に足音が聞こえた。

「誰!?」

恐怖もあったが何も分からないよりマシだと思い、叫んだ。



静寂が訪れる


「わぁっっ!」

僕はさっきの叫んだ声より大きい声で驚いた。後ろ髪を引っ張られたのだ。

後ろを振り返っても誰もいない。

前を向き直したら

「だ、誰!?」

其処には小学五年生ぐらいの女の子が立っていた。何処かの国の民族衣装のような物を着ていて肌は小麦色に焼けている。悪戯っぽく無邪気な笑顔だがどこか怯え、悲しげな表情をしていた。

僕はその笑顔に

    一目惚れをした。

「君こんな所でどうしたの?家は?」

僕が訊いたら彼女は小さな声で

「家は此処だよ」

もしかしてホームレスということも考えたが服装からして少なくともホームレスには見えない。

「じゃあ樹に住んでいるのかい?」

僕は冗談半分に訊くと、さっきの小さい声で

「そうだよ」

予想外の返答に戸惑いを隠せなかった。彼女は続ける

「私は此処の樹に住むエルフなの」

エルフ...悪戯好きの妖精だがそんなのいるのか?もしかして病気と思ったがそうにも見えない。

「信じてないの?」

ごっこ遊びかなと思うことにして、もう部活は諦め、自称エルフに付き合うことにした。


彼女は

加奈に似ていた。罪悪感が少し甦ったが彼女会えた嬉しさもあった


「かくれんぼしよっ」

彼女の笑顔に負け、日が落ちるまで遊んでいた。


「楽しかった」

彼女は疲れ果てた声で呟いた。僕と彼女はいつの間にか打ち解けていたようだ。

そういえば名前を訊いてないなと思い名前を訊くことにした。

「ねえ、君の名前は?」


ビュー


いきなり強い風が吹く

知らない内に彼女は居なっていた。

何処からともなく声が風に乗って聞こえたような気がした。

「明日も来てね」


次の日の朝

今日僕は部活が無いことを機にあの森をまた訪れることにした。

「今日も此処にいるの?」

周りから見たら恥ずかしいかもしれないが人がいないので取り敢えず叫んでみた。

目の前には昨日のエルフ?がいた。

「来てくれたんだ」


部活は3日ほど無かったのでこの森に訪れることにした。

普段僕は学校で女の子といないので誰かに見られたら困るが森に火も焚かれなければ煙もたたない。煙だけがたったのなら煙を巻けばいい。

今日も鬼ごっこやらかくれんぼで、日が暮れるまで遊んだ。


次の日が僕はどんどん楽しみになって来た。

僕は今日も森を訪れた。

「今日もいるの?」

大きい声で叫んでみた。

彼女の姿は

一切見えなかった。ただ声ははっきりと聞こえた。

「楽しかったよ。昔みたいに笑えたね。」

「えっ?」

僕は反射的に反応する。

「だけどもう会えない。ごめんね。

  彌生お兄ちゃん!大好きだよ」

「君の名前は、君の名前は!!加奈!待って、待ってくれ!」

僕は今まで生きてきた中で一番の声を出した。

「ありがとう。本当に大好きだよ。忘れないでね」

悲しい声なのに笑い声を無理して出している。

ビュー

この間吹いた風と同じ風が吹いた。

エルフ否、加奈は

多分消えていった。

悲しいのに涙も何もでてこない。


ただ一つ思ったことは

「会えて良かった」

ポロリと声が零れた。

この言葉のせいなのか

涙が溢れでた。

「なんで少しだけ現れたんだよ。

現れたならずぅっと

   いてよ。

僕も大好きだよ。」


恋と無縁だった僕は生まれて初めて恋をして失恋を感じた。

失恋とはこんな甘酸っぱい禁断の果実だったのか。

多分加奈はずっと僕があの森に来るまで待っていたのだろう。エルフの姿に変えて。


あのたった三日間、僕は夢を見ていたのかもしれない。ただ真実が変わることはない、そう

  僕は妖精に恋をしたのだ


どうでしたか。外国の神話は詳しくないのでエルフはあれで合っているか心配です。少しでも面白いと感じて頂ければ嬉しいです。ここまで読んでくださりありがとうございました。

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[良い点] 切なくて、心に残ります♪ [一言] 面白かったです!!!!!
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