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オルタレイション  作者: マグciel
オーヴァン大陸編
22/35

19話 王国内にある陰

 アルナブ村を出た賢者たちは数日程かけてストルム王国に着いた。

城門の所では検問が行われており、商人や冒険者たちが出入りしていた。

「身分証みたいなのが必要そうですけど、ギルドカードでも入れるのでしょうか。」

「心配しなくていいよアルス。いざとなれば世界平和のためって言って通るから♪」

「白、お願いだから問題を起こす方向で考えるのは辞めてくれないかしら。」

“いざ”という時のために目を輝かせていた白に対してヘスティアが注意した。

そんなことがありながらも検問の順番が来た。

「ここはストルム王国の検問所だが、身分を証明できるものを見せてくれ。」

「それってギルドカードでもいいんですか?」

「あぁもちろん大丈夫だ。」

「よかった~」

白は兵士と話した後、サッと表面の縁から紫に輝く紋様と名前が装飾されており、裏面に金色に輝く冠が印されているギルドカードを差し出した。

「こ、これはマスターランクのギルドカード!?まさか他の皆さまも…」

「そうですよ、他の皆もマスターランクです。」

自信満々に言うと、白以外もギルドカードを出そうとした。

しかし兵士はその前に驚くと同時にあることを思い出した。

「もしかしてセントラル王国で突如現れたマスターランク冒険者のパーティーって皆さまですか?」

「多分そうなんじゃないですかね、分かりませんけど。」

「突然このようなことを言うのは申し訳ないのですが、国王様が皆様にお会いしたいとのことでして、今使いの者を出すのでギルドでお待ちいただけますか?」

「私たちもちょうど用があるので、いいですよ。」

「ありがとうございます。」

マスターランク冒険者パーティーであることを理解すると、国王に会わせるべく他の兵士に頼み、王城へと向かわせた。

白たちはそのまま城門を通り、ギルドの中へと入り空いている席に着いた。

「あ、そういえばさっき皆マスターランクだって言っちゃったけど、ゼータってギルドカードもってなかったよね?」

「うん、ゼータはそれ持ってない。」

「このままじゃ嘘つきみたいになっちゃうし、まぁ大丈夫だとは思うけど、ギルドカード作りにいこっか。お姉ちゃんについてきて~」

その話を聞いたゼータが一瞬ソイルの方を向いた。

ソイルが僅かに頷いた事を確認すると、ゼータは白と共に受付の方へ向かった。

「あまり気にしなくてもよさそうですけど...。それにどれだけ姉にこだわってるんですかね。」

「お姉ちゃんは嘘つきになりたくないって言ってたし、そういう正直なところがお姉ちゃんらしいじゃん。」

「確かにね~。それに白には弟がいるって聞いたし、やっぱりその子が恋しいんじゃないかな。」

エリスはアルスにくっつきながら返し、シエルはゆっくりとソイルの肩に寄りかかった。

そんな中、近くに座っていた2人組の男性冒険者達の会話が聞こえてきた。

「俺の友人から聞いた話なんだが、フェルゼン地方にあるエーデル帝国が連合国と小競り合いを起こしたらしいぜ。」

「エーデル帝国って言えば、数年前までやってた戦争の敗戦国だろ?こんな短時間で立て直せるもんなのか?」

「帝国は竜人族ドラグーンの支援を受けているらしいし、もしかしたらまた戦争になるかもな。」

「マジか…俺らはしばらくは近づかないようにしとくか。」

「それがいいだろうな。」

冒険者の会話を聞いていると、受付の方が騒がしくなっていた。

5人は“ゼータの事”だと思い特に気にしていなかった。

「さっきから向こうの方騒がしくないか?」

「ほんとだな、行ってみるか。」

2人組の冒険者たちは気になった様子で受付の方に向かっていった。

先程の話を聞き思ったことがあったのか、シエルが話をきり出した。

「エーデル帝国って地土族ヒロントの国だよね。それに数年前って兄さんが居なかった頃と被るし、戦争の事とか知ってるの?」

「戦争には師匠から薦められて参加してたからな。ま、誇れるようなことは何もしてないし、しいて言うなら戦闘経験は積めたな。」

さらっと話したソイルをシエルが不機嫌そうに見ていた。

何が引っかかったのか分からなかったソイルはシエルに尋ねた。

「どうした?シエル」

「どうしたもこうしたもないよ。私...だけじゃなくてアイレの人たちにも.黙ってそんな危ないことしてるなんて、凄い心配してたんだよ?」

「それはあん時も誤っただろ?」

「兄さんが帰ってきた時は離れて帰ってこなかったことについて誤ってただけでしょ?戦争に参加してたなんて言ってくれなかったし。」

グッと顔を近づけてシエルは怒っていた。

ソイルは落ち着かせようと思いもう一度謝っておくことにした。

「悪かったって。」

「ほんとに悪いと思ってるなら...撫でてくれたら許してあげる。」

「はいはい、ごめんな。」

「えへへ~///」

“結局はこれが目的か”と思いながらも横にいる妹の言う通りに頭を撫でた。

ヘスティアはその様子を見ながら弟のことを思い出していた。

「どこの兄妹も下の子ってそういう感じなのかしらね。」

「お前んとこは弟がいるって言ってたか。」

「そうね、今のシエルを見てると昔のことを懐かしく感じるわ。それとゼータが見た時の反応も面白そうね。」

「騒ぎも落ち着いてきたし、そろそろ帰ってきてもおかしくないけどな。」

2人が話していると、白とゼータが戻ってきた。

ゼータは嬉しそうにマスターランクのギルドカードをソイルに見せた。

どうやら今は自分も皆と一緒であることが嬉しかったらしく、シエルがソイルの傍にいても特に何も言わなかった。

だが机の下からソイルの膝元に行き、上に座った。

「やっぱりマスターランクだったんですね。あの騒ぎ様からして分かってはいましたが。」

「そ~、みんな集まってきちゃうから大変だったよ。あ、そういえばこっち来る時になんか話してたみたいだけど、なんかあったの?」

アルスは先程2人組の冒険者が話していた事と、ソイルの話をした。

その話を聞きながら白は何か考えていた。

「フェルゼン地方で戦争が起こさせないようにしないとだよね、でもいつ起きてもおかしくないし…」

「とりあえずは目の前の事優先でいいと思うわ。」

「...そうだね、今はウォードルス王国を助けないと。」

賢者たちが会話していると、兵士が迎えに来た。

兵士に連れられ、賢者たちは王城に入った。

城内は様々な装飾が施されており、豪華絢爛であった。

「国王陛下、お連れして参りました。」

「入り給え。」

玉座の間の扉の前で兵士が報告をすると、中から男性の声で返答が帰ってきた。

国王が玉座に座り、大臣が脇に控えていた。

扉付近には兵士や使用人もおり、国王の威厳を示していた。

「ようこそ我がストルム王国へ!待っておったぞ、賢者達。」

嬉しそうな表情で玉座から離れ賢者の元へ近づき、白の手を握って歓迎した。

咄嗟のことで白は驚いていたが、一呼吸置き話し始めた。

「えっと...国王様、初めまして。白と申します。」

「うむ、貴殿らのことはメディウス殿に聞いておる。我が国に来る商人や冒険者達が噂しておってな、気になったので聞いておいたのだ!わっはっは...おっと、自己紹介がまだであったな。私はフェン・ウォルクという。」

上機嫌で話す国王に若干引き気味だったが、ここに来た目的を思い出して冷静になり話を進めた。

「そうです、お渡ししたいものがありまして、これなのですが…」

「手紙?イリス殿からか、貴殿らに頼まなくてもよいと思うのだが…」

手紙を取り出してフェン国王に渡すと、差出人を見て不思議そうにしていた。

賢者たちに負担をかける必要はないという意味を含めて呟きながらフェン国王は手紙を閲覧した。

「...なるほど、三ヵ国会議か。これは貴殿らに頼んだのも頷ける。勿論出席しよう。この事は私の方から伝えておく。して貴殿らの噂を聞いてから多少時間が空いていたが、何かあったのか?」

「まぁ色々とありましたね。エンスタシナ王国とハウ王国に行ってましたので...」

「もっと貴殿らの話しを聞かせてくれ。」

その他にも自分たちが体験した出来事を話した。

フェン国王を始め、周りにいる大臣や使用人まで興味を持ち白の話を聞いていた。

「実に様々な体験をしてきたようだな。」

「そうですね。あ、それともう一つお願いしたいことがありまして...」

「長距離転移魔法陣の事であろう。貴殿らならいつでも自由に使ってくれて構わぬぞ。だが今はまだ魔力を込めている最中でな、早くて明日になるであろうから、今日はこの国を刊行してみてはどうだ。」

あらかた話し終え、思い出したかのように頼むと、フェン国王は白が話すより先に頼みごとを言い当て、許可を出した。

「いいんですか?」

「あぁ、構わぬ。私は貴殿らの話を聞けて満足であったからな。また何かあれば話を聞かせてくれ。それと転移魔法陣のことはこちらに任せてゆっくり休んでくれ給え。」

「分かりました。ありがとうございます。」

そうして賢者たちは王城を後にし、言われた通り王国内を観光することにした。

王城のある北東部から中部の住宅街を通り、南西部にある港に向かった。

海産物を取り扱う商店が多くあったものの、閉まっている店もいくつかあった。

ウォードルス王国近海で船が度々モンスターによる被害にあっている事が原因らしい。

だが、開いている店には観光客や国民が出入りしているところを見ると、廃れているわけではないようだ。

そして何か手伝えることがあるかもしれないと思い、賢者たちは南東部にある長距離転移魔法陣の元へ向かっている時だった。

突如どこからともなく賢者たちに向け炎魔法が放たれた。

白が咄嗟に刀を抜き魔法を斬り消すと、魔法を撃った正体であろう黒いローブを身に着けた者が現れた。

「え...」

「だれ!?」

アルスとエリスは戸惑っており、周囲にいた人々も驚いていた。

急に襲ってきた黒いローブを着た者に対し白がすぐに応戦した。

白による刀での攻撃は魔法の障壁によって防がれていた。

だがその者は住民を狙うことなく、白の相手に集中していた。

「...皆は住民の避難と保護をお願い!こいつは私が止めるから。」

「分かったわ、皆行きましょう。」

白が一旦距離を取ると、冷静に判断しヘスティアに行動を促した。

2人は気持ちの整理をつけられていなかったが、指示に従ってその場を後にした。

「貴方は何者で、なんで私たちを狙うんですか?」

「今から死ぬ者に私の名を教える必要があるか?」

「...じゃあ何が目的なんですか?」

「私の目的はお前たちを抹殺すること。我が教団の邪魔になるのでね。」

「へ~...でも大人しく殺されると思わない方がいいですよ。(教団...夜陰教団の事だと思うけど、何が目的なんだろう。話してくれなそうだけど...)」

白は刀を握る手に力を込めながら、黒いローブを着た男性と対峙した。


他の6人は白たちから離れ、住民や商人たちを避難させるべく、計画を立てていた。

幸いにも先程の騒ぎにより、殆どの人が付近から離れすでに逃げていた。

「シエル、逃げ遅れた人がいるか分かるか?」

「うん、探ってみる。ラオムディテクション...中央と北の方にまだ人がいるみたい。でも兵士たちが動いてるみたいだし、北の方は大丈夫だと思う。」

「それなら私とアルス、エリスは中部にいる人たちの避難をするから、ソイルとシエル、ゼータは西部に避難した人たちの護衛と保護をお願い。」

「分かった。」

「おう。」

「了解。」

そして3人ずつで別れ、行動することになった。

ヘスティア達は急いで中部に向かっている最中、またも魔法による襲撃を受けた。

「ここは僕がやります、2人は急いで先へ!」

先程まで戸惑っていたアルスだったが、心の整理をつけて魔法を放ったものと対峙することになった。


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