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この世界のこと

――異世界転生


 生まれつき病弱で、人生のほとんどを病院のベッドで過ごした私にとって、転生モノのファンタジー小説を読むことは、現実逃避する方法であり、辛い治療を忘れることが出来る数少ない趣味のひとつだった。

 

 私がこの主人公だったらどうするかな?

 この当て馬がハッピーエンドにするにはどこがキーポイントなんだろう。

 メリーバッドエンド以外の選択肢がない……。


 王道ものから少しマニアックな内容まで色々なジャンルに手を出してはベッドの上でひとり妄想した。


 だって現実世界では、ごく一般的な生活も願いも何ひとつとして叶わなかったから。

 私だって大学に行ったり、友達とカラオケに行ったり、彼氏とデートしたり…してみたい事は人並みにたくさんあったんだよね。

 

 ファンタジーものが好きだったのはそんな前世の境遇が関係していたかもしれない。

 私だけじゃない、誰も経験したことのないおとぎ話のような世界。

 

〝もしも私が転生できたら〟


 何度も何度も妄想した〝もしも〟がまさか本当に私の身に降りかかるとは――

 

※※※


 私が転生したのは小説【薔薇のアーチをくぐって】の本編より前の時間軸のようだ。


 貴族制度がある中世ヨーロッパのような雰囲気のこの世界は、太陽の役目を持つ皇族を中心に、四つの公爵家がそれぞれの役割を担いこのミシェーレ帝国を取りまとめている。

 

 神言と芸術を民へ伝える春のフラゴナール

 貿易を取り仕切り帝国を繁栄へと導く夏のベルナンド

 代々魔塔の主を輩出し魔法の研究を行う秋のローレン

 北の砦を守り帝国最強の武力を誇る冬のランバート


 ちなみに、それぞれの初代当主が得意とした魔法に関連付けて春夏秋冬が割り当てられたという背景がある。


 春の風魔法

 夏の火魔法

 秋の土魔法

 冬の水魔法


 その名残なのか今でも各属性が一番強いものが当主になる傾向があるようだ。


 四つの公爵家は代々それぞれの役目を果たし、皇室へ忠誠を誓ってきた。この小説はそんな世界で出会う公爵令嬢と公爵令息の恋物語。


 そして私はそんなロマンスファンタジー小説のごくごく序盤で退場する冬のランバート公爵家の悪役令嬢……の使い魔として転生もとい召喚されてしまった。

 


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