神社の取材1
神社の本殿に通され、そわしわしながら辺りを見渡す律。
とても大きいわけではないが、障子や襖が開けていて、とても広く感じる。
縁側のような廊下を歩いていると外で後ろ姿が見覚えのある巫女さんが境内の掃除をしてる。
「いやいや、、まさかね」
律はそっと独り言を言いながら禰宜さんの後ろをついて行く。
外はカンカン照りだったのに、本殿の中はさっと風が通っていてどことなく涼しい。畳のいぐさの匂いもどことなく懐かしさを覚える。
「こちらのお部屋へどうぞ」
禰宜さんが畳の敷いてある、6畳ほどの部屋へ案内してくれた。本殿の中では小さめの部屋だったが、襖や障子が開けているせいか、とても広く感じる。
膝の高さほどの机と座布団が敷いてあるシンプルな和室。
高校の頃、そういえば茶道部だったなぁと律は思いながら、畳は縁を踏んじゃダメだったよねとそっとすり足で部屋に入る。通された、部屋の座布団にそっと座って一息。
「申し遅れました。私、禰宜という神職をしております、本城と申します。本日は私どもの神社への取材のため、御足労いただきまして感謝いたします。ぜひ、ごゆっくりされて行ってください」
律がぼんやりしているうちに、さっと冷たいお茶を準備して目の前に置かれていた。
「いえいえ!こちらこそ、お忙しいなかお邪魔してしまいすみません、、突然のことなのに丁寧に対応していただいてこちらが申し訳ないぐらいです、、取材のご協力ありがとうございます。本日はぜひよろしくお願いいたします」
本城さんのスマートさと物腰の低さ、丁寧な対応におどきつつ、律は両手を顔の前でぶんぶん振りながら慌てて答えていた。
目の前に置かれていたガラス製の茶碗には氷が2つ、カランと音を鳴らし、律の慌ただしさを宥めるかのように茶碗に結露した水が水滴となり、ツツーと茶托につたわった。