ブナパルトマンの決意
第5章 ブナパルトマンの決意
ブナパルト鉱石を手に入れた、佐藤太郎は研究所に戻り、さらに力を引き出せるようにブナパルト鉱石とブナパルトチェンジャーを改造した。
「あとは、彼を助ける時だな!」
元々、ブナパルトマンはある青年を助けるべくヒーローになったのだ。
魔王皇帝閣下、彼は逃げ出した、サターン帝国・闇を追ってはいたのだが、彼には協力者がおらず、悩んでいた。
そこに助け舟として、ブナパルトマンが立ち上がった。
ブナパルトマンは早速、魔王皇帝閣下と交信をとった。
『こちら佐藤太郎と申します。是非あなたの力になるべく、力を手に入れました。何か協力できることはありますか?』
『ありがとうございます、早速で申し訳ございませんが、サターン帝国・闇がある一族を滅ぼそうとしてます。我々もサターン帝国怪人と共に向かうつもりです、協力お願いします』
メールでやりとりをしていると、サターン帝国・闇はある一族の力を恐れているという文面だった。
その一族の名は「小鳥遊家」、後にメイドGが誕生する一族である。
情報としては、小鳥遊家は代々に渡り、メイドの力を受け継ぎ、とあるパワーを秘めた拳、G拳などの気力による力を使うという。
「そんな強そうな一族を狙って、何をする気なのだろうか」
聞く話では、強い一族とのことだから、サターン帝国・闇が襲撃しても逆にやられてしまうのではないかと思うが。
「とりあえず、彼の要請だし、行ってみるか」
それに彼に渡さないといけないものもあった。
ブナパルトマンは変身アイテムや、身支度を済ませ、小鳥遊家のある家まで向かった。
その頃サターン帝国である魔王皇帝閣下とサターン帝国怪人であるイカ息子、クワガタ幹部、ガジン、ミスターBは拘束されていた。
「ちっ!サターン帝国怪人が完璧なら」
「すまない、俺が完璧な設計できていれば」
「魔王皇帝閣下のせいじゃないよー」
「シュッ、そのとおり」
「あいつ、サターン帝国・闇か」
「クワガタ幹部邪魔」
「邪魔じゃねーよ!こんな時に」
「餅みたいなやつだったね」
「へんなラッパー風だったな」
「うむ」
「恐らく、足止めだろうな、油断したな」
ブナパルトマンと連絡取るは難しい状況だった。
現在、サターン帝国で、いきなりのモチラッパーの襲撃により、5人とも拘束された。
咄嗟にサターン帝国怪人になるも、不完全な状態により、バラバラになり、餅がついてしまった状態だった。
「あとは、彼に頼ってみるしか」
連絡してくれたブナパルトマンと名乗ると男をどこまで信用していいか分からなかった魔王皇帝閣下は、サターン帝国に皆には伝えてなかった。
まだ一度も会ってもないヒーローは味方なのか、冷やかしなのか分からなかったからだ。
そもそもサターン帝国・闇のスパイとも考えられた。
サターン帝国・闇にしてはセンスのない名前だから、スパイではないのは確かだけど。
身内被害ならば、自分だけでいいが、周囲への被害、他人への被害、街への被害は出してはいけないと考えていた。
それは製作者の責任であり、この力、怪人再生能力を持ったものの務めと考えていたからだ、でも魔王皇帝閣下と言われてはいるが、名前だけで実際、自分に戦う力なんてないのだけど、それでも知らない誰かの笑顔を奪ってはいけない。
これ以上サターン帝国・闇の好きにはさせてはいけない。
魔王皇帝閣下は強くそう望んでいた。
「あとは、彼に」
「このモチうまいぞーー」
「ガジン、そんなの食べたら腹壊すぞ」
「だってうまいもん」
「やれやれ」
「クワガタ幹部いたの?」
「いたよ!」
サターン帝国の餅の効果が切れたのは数時間後だった。
そして小鳥遊家のある場所まで、移動していた、電車で。
「やはりこの姿はヒーローっぽいか」
革ジャンとジーンズ、サングラス。なんともかっこいい。
自分の姿に見とれていた。
「いかんいかん、これから戦いなんだ、気を引き締めないと」
サターン帝国・闇、どのくらいの力を持ってるんだろうか、まだ定かじゃない。
そもそもいつ襲うのか、どのくらいの勢力で襲うのか聞いてない。
「やはり連絡はしとくか」
ブナパルトマンは、念の為必要な情報を聞いた。
だが
「連絡が帰ってこない」
うんともすんともいわない、電話もかけてみるが、出てこない。
「嘘ではないはずだけど」
学生のイタズラという話もありえるが、真実味がありすぎる点からして、その線はないと思いたかった。
これまて自分がやってきたことが無駄になるからだ。
「何かあったのかな?」
そういう可能性もあった。
「とりあえず行ってみるしかないか」
連絡された住所まで、地図を頼りに小鳥遊家を目指した。
「ここなのか…?」
ブナパルトマンが到着した小鳥遊家の前には多くの消防車と警察と救急車、そして見物客である野次馬。
小鳥遊家の娘なのだろうか、彼女はキーホルダーを握りしめ心あらずという表情で座り込んでいた。
「お、遅かったか…」
サターン帝国・闇の仕業だろうか。
広大である小鳥遊家の邸宅は全焼して燃えていた。
中から運び込まれる人はビニールシートで隠され、恐らく生存者は彼女だけなのだろう。
一体何時間前の出来事なのだろうか。
「いきなりすごい爆発だったもんな」
「子供がびっくりしてさー、もうギャン泣きで寝られないよ」
「あの邸宅が燃えるなんてなー」
「原因はなにかしら」
「あの娘が犯人?」
「前から胡散臭い家と思ってたんだよ俺は」
野次馬からボソボソという声からして、まだそんな時間が経ってない。
もう少し早く出ていれば。
ブナパルトマンは、駆け寄るように少女の前にたった。
「一体何があった、誰にやられたんだ?」
「ちょっとあなた!この子になんてこと聞くんですか」
「おい君!この子に離れなさい!」
ブナパルトマンは警察の静止を振り切り、少女に問うた。
「化け物に襲われたのか?」
「ば…けも…の」
少女は震えながら、キーホルダーを握りしめた。
そして少女は声のない声で叫ぶように気を失ってしまった。
その後、ブナパルトマンは警察に取り押さえられ、取り調べを受け、厳重注意を受け、その場を追い出された。
「力があっても、すぐに駆けつけられないヒーローなんて、無駄じゃないか」
サターン帝国はどうしたのだろうか。
「あいつも連絡こないし」
数時間後連絡来た時、謝罪文ととても悲しいような言葉が綴られていた。
誰かの生命を奪ってしまった責任を強く感じてるようだった。
「そう思うなら初めから作るなよ」
でも過去は変えられない、変えることが出来るのは未だ。
今回のことでわかったことがある。
情けないにも、誰かのせいにしている自分がいて、そして自分自身は誰かの為にヒーローの力を手に入れたかったというわけではなかったということ。
自分自身のため、自己満足を得るためにヒーローになれて、浮かれていた。
改めて自分を振り返ると恥ずかしい、そして情けなく思った。
だが、やるべき事は見えた。
「クヨクヨしてる場合じゃない、サターン帝国・闇をぶっ潰す!」
宛もなく、サターン帝国・闇を探すことを決意するブナパルトマンだった。