ブナパルトマンの生誕
第3章 ブナパルトマンの生誕
西暦2008年
当時大学の研究員をしていた青年、まだブナパルトマンになる前の青年、佐藤太郎、20歳。
彼はある研究をしていた。
それは変身工学だった。
変身技術を専門的に開発を研究しており、彼はすでにぬいぐるみ型変身アイテムと腕時計型変身アイテム、そして自身が作り出した最高傑作品である、グローブ型の変身アイテムを完成させていたのだが。
「これでは、変身することができない、やはりより強力な物質を埋め込まないと、この変身アイテムは完成しない、なにかいい物質はないものか」
日夜、その物質をネット上で探しては、いろいろな物質で試しては失敗していた。
ぬいぐるみ型変身アイテムには、それ特有の力を放出させる力がないと変身できず、腕時計型変身アイテムには元々怪人が人間型から怪人型に戻るためのものであり、佐藤太郎自身には扱えず、対応できる人材も知らず、自身の最高傑作のグローブ型変身アイテムでしか研究することができなかった。
それ以外は失敗作だと嘆いては、物質の探求にいそしんでいた。
物質を探してから2か月、ようやく彼はその物質を探し出した。
それこそ、彼の力を引き出すもの、「ブナパルト鉱石」だった。
彼はすぐにそのブナパルト鉱石を見つけるべく、行動を開始した。
彼はなぜそこまで力を求めるのか、自身のために英雄になるためではなく、ある少年を救うためでもあった。
魔王皇帝閣下、それはサターン帝国のボスでもある存在だが
彼にも悩みがあった。
自身の怪人に不満はないが、サターン帝国から逃げ出したデビルズキラーが作り出した組織、サターン帝国・闇は、デビルズキラーが自ら作り出した怪人は、魔王皇帝閣下が作り出した怪人の数倍もの数を超えていた。
魔王皇帝閣下はデビルズキラーを止めたいが、どうすることもできず、ネット上で助けを求めていたのだった。だが誰に見向きもされず、時間ばかり過ぎていた。
だが、この佐藤太郎だけはそれに気づき、自ら彼の助けになるべく、行動し、現在ブナパルト鉱石を探し求めていた。
魔王皇帝閣下に頼まれたわけでもなく、自ら勝手に行動をしているので、連絡ぐらいしてみてもよかったのだろうけど、感情が先走ってしまっており、彼を止める人は誰もいなかった。
こうして、佐藤太郎青年はブナパルト鉱石のありかを日本中巡っては炭鉱場などに無断で入り込み、警察の厄介になったりと波乱な旅を続けていた。
そんなある日、ブナパルト鉱石のありかをしっているという人にたどり着いたのだった。
「この先に、この鉱石が採れる採掘場があるんですね」
「そうじゃけど、あそこは危険だから、あまり人に勧めてないのだが、手前までならぎりぎり入っても大丈夫と思うよ、だけどくれぐれも立ち入り禁止エリアには入らないでねって、いないし」
佐藤太郎じゃご老人の話を途中まで聞き、すぐに行動してしまった。
「ありゃ大丈夫かな?まあ危ないとわかったら逃げるだろう」
ご老人はそういうと家の中に入っていった。
佐藤太郎は、ブナパルト鉱石が反応する探知機を開発していた。
用心深くあたりを見渡していると奥に洞窟のようなものがあった。
「もしかしてあそこにブナパルト鉱石が」
佐藤太郎は、そう思うと洞窟まで走り出していた。
近くに立ち入り禁止の看板にも目もくれず。
洞窟の奥まで進むと佐藤太郎は探知機を取り出した。
「反応が強くなってきた、ブナパルト鉱石はこのあたりかな」
採掘用の道具を取り出し、発掘準備をしていた。
先に進むと崩れが目立つようになってきった。
「この辺はもう少しで崩れそうだな、少し戻ってみるか、だが」
探知機の反応はそこまで強くなってなかった。
「もう少し進んでみるか」
佐藤太郎は洞窟のさらに奥まで進んだ。
奥まで進むと道が狭くなっており、足場も悪くなっており、進みずらくなっていた。
「反応的には近いけど、まだ行けるかな、いやまだ行ける!」
そう思った矢先、後ろから大きな音が聞こえた。
「まさかっ」
後ろは真っ暗で何も見えなかったがおそらく、洞窟が崩壊しかけていた。
「やばい、このままじゃ生き埋めだ」
だが、戻っても道はなく、先に進むしかなかった。
先に進むと、洞窟の最奥部まで到着した。
「ここが一番奥か、どうやら出口のようなものはなしか、まいったな」
完全に行き止まりであり、帰る道を失っていた。
「あとは、探知機でこの場所をさしている反応を信頼するしかないか」
しょうがなく、採掘道具で洞窟の岩場を掘り始めた。
「おっ!なんかありそうな予感!」
だが、後ろからまた崩れている音が聞こえてきた。
「やばい、急がないと」
採掘活動を続けていた。
「これだけじゃ、ちっとも掘り進められない、電動工具とか持ってくればよかった」
石を削る活動自体は素人でとりあえずの準備しかしてこなかった佐藤太郎は半分あきらめ状態になっていた。
「やはり道具をそろえないとダメか、他に道がないか探そう」
そう思った矢先。
ものすごい音で、佐藤太郎の前に岩が降り注いだ。
「うわっ!」
尻もちをついて、地面にたたきつけられた。
「完全に生き埋めか、仕方ない、採掘作業を進めよう」
助けを呼ぶにもここにきていることを知っているのは先ほどのご老人くらいしかいなかった。
「連絡先くらい聞いとけばよかったかな、でも初対面の人に連絡先聞いたらナンパと勘違いされてしまう、ご老人ナンパする趣味はないけど、しかも男だし、男色系ではないから俺」
キンコンという音しか響かない洞窟で男は一人採掘作業を進めた。
「ブナパルト鉱石さえ見つかれば、あとはこのグローブ型変身アイテムに埋め込めば変身可能のはずなんだが」
ノミとハンマーだけでは、やはり数mmしか掘り進むことができず、手も痛くなってきた。
「やはり甘かったのかな俺、ごめんお母さん、俺はこの名も知れない洞窟でこの身の終わりを遂げるよ」
佐藤太郎は寝転がり、諦めかけていた。
そんな時だった。
見上げた上に緑色の石が見えた。
「あれは、もしかして」
探知機を取り出し、真上に反応を試していた。
「間違いない、あれがブナパルト鉱石だ!やっと見つけたぞ、っでもな~」
真上にあるブナパルト鉱石ははるか上空、10mを超えていた。
「登れそうな岩場だけど、もし崩れた場合、命はないな」
でもこの場所も崩れるのも時間の問題。
ブナパルト鉱石が落ちてきても大きさのはなり知れないものが落ちるので、どちらにせよ命の保証はなかった。
なので迷わず、佐藤太郎は登り始めた。
「こういうことならボルタリングかなんか体験しておけばよかった」
だが、岩が登りやすいのかすぐに数mまで登ることができた。
途中足場があったので、一時休憩をとっていた。
「あと3mってところか、これなら余裕だな」
すると佐藤太郎が立っていた足場も崩れそうになっていた。
「あ、危なかった」
佐藤太郎はすぐに近くの岩にしがみついた。
「このままいくしかない」
だが、また天井が崩れ始めていた、ブナパルト鉱石付きで
そして一気に崩れていった。
佐藤太郎も一緒に。
「うっわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
先ほどの採掘していたところの足場も崩れており、落ちて行って何mあるかわからなかった。
どっちみち今落ちているので死は免れなかった。
何かの時のためにグローブ型変身アイテムであるブナパルトチェンジャーを装備していたが
ブナパルト鉱石が落ちているのは佐藤太郎よりも下だった。
「だが、まだ死ぬわけにはいかない、俺はあの力でヒーローになるんだああああああああああ」
佐藤太郎は手を伸ばし、崩れかけていたブナパルト鉱石の一部をつかもうとした。
「あと少しで、届く、あと少しなんだ」
手を伸ばすが、手がちぎれそうでまっすぐ伸びない。
地面までもう遠くない。
すると佐藤太郎の上空でまた崩れた岩が降ってきた。
「あれを足場にすれば」
佐藤太郎は上から降ってくる岩を足場にブナパルト鉱石までいっきに手を伸ばした。
だが、もう地面はすぐそこだった。
「間に合えええええええ」
佐藤太郎は、ブナパルトチェンジャーにブナパルト鉱石をセットして、グローブをこすり合わせた。
「ブナパルトチェンジ!!」
佐藤太郎は光り輝くとエックスの仮面と深紅のマントと赤いグローブと黒いスーツ。
ブナパルトマン誕生の瞬間だった。
洞窟はすでに崩落しており、ブナパルトマンは地面についていた。
「おっ!おっ!おっ!やった!やったぞ!やったぞ!」
だが、当たりは真っ暗で何も見えなかった。
もってきたライトも見当たらかなった。
「どうしたもんかな、でもなんでこの場所だけ開けてるんだ?」
さっきから岩はブナパルト鉱石をよけていた。まるでブナパルト鉱石に近づかないように。
「力が強い鉱石だから、岩が近づけないのか」
ブナパルトマンはブナパルト鉱石を掘り、持って帰れる分の鉱石を採集した。
「さて、この場所からでましょうかね、下手に岩場を傷つけると一気に崩れて生き埋めだ」
ブナパルトマンはあたりを見回すと小さな光が見えていた。
「この辺か」
ブナパルトマンは拳に力を込めた。
するとグローブが赤く光り始めた。
「なんで緑の石なのに、赤いんだ?色の色相環上か?まあなんでもいいや」
さらに力を込めた。
「ブナパルトパンチ!」
ブナパルトマンは岩場に拳を殴りつけると岩は瞬く間に粉々になって跡形もなく消えていった。
「これがブナパルト鉱石の力、予想以上だ!」
ブナパルトマンは変身したまま山を下山した。
途中ご老人が唖然とした顔をしていた。
そのまま駅まで行き、電車に乗り研究室に帰り着いた。
変身したまま。
「これで彼らの役に立てる、あとはこのぬいぐるみ型変身アイテムである、かっちゃんで変身できるものを探せれば完璧だ」
ブナパルトマンはその日は疲れたのか、早めに寝ることにした。変身したまま。