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ぎゃわれマン エピソード0×EX  作者: ぎゃわれ
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おまけ短編「小鳥遊天音がメイドGになった日」

 小鳥遊家襲撃事件が起こった日

 倉で引きこもっていた天音が発見された。

 その夜、近所の人は何が起こったのかわからず大きな音と爆発音

 近隣の方が消防に連絡し、消防や警察、救急車等が到着したころには家族の遺体は焼け焦げていた。

 子供が3人、大人が4人の遺体が発見された。

 あと一人の遺体を発見するも見当たらず、唯一残っていた倉から少女が発見された。

 だが、少女の顔には覇気がなく、消防隊の返事もまったく応答することがなかった。

 途中おかしな青年が少女に話しかけていたが、それすらも記憶にないくらい少女からは絶望の顔しか見ることができなかった。


 小鳥遊家は何者かによって襲撃された、出火元不明と新聞の広告の隅っこに掲載されていた。

 その少女、小鳥遊天音は保護として、親戚関係もむなしく、施設にて収容されることとなったが、精神崩壊に近い状態の為一時的に病院内での保護という形となった。

 着替えも一切せず、お風呂にも入ろうとせず、ごはんもろくに手を付けない日々が続いた。

 彼女の救いは、母親からもらった、キーホルダーのみだった。

 彼女の心は完全に閉ざされてしまった。


 そんな状態が続いて1年。

 少女は病院にいた。両親の保険金のおかげで、入院費には困ることがなかった。

 少しずつだが、看護師さんらとお話ができたり、ごはんも少しずつ食べれるようになってはいたが。

 事件のショックはまだ引きずったまま、心を閉ざしていた。

「あの子、自殺しないか怖いのよね」

「犯人見つかってないんだってね、あんな残虐に殺されてたんじゃ、あの子も可哀そう」

「ちょっと、あなたたち、そんな腫物みたいに見ちゃだめよ。あの子だって少しずつだけど心を開こうとしてるのよ」

 その一人の看護師さんは、天音を心配してか、1日に何回も訪問しては、たわいもないことを話していた。

「天音ちゃん、今日は何の日かわかる?ハロウィンよハロウィン。みんなで仮装するの。天音ちゃんもきっとかわいいわよ」

「ハロウィン?」

「そう!ハロウィン!天音ちゃんなら、そうねメイド服が似合いそう、っておばけじゃないか!」

「メイド服?」

「そう!こういうのよ」

 看護師はもっていた携帯でメイドの画像をみせた。

「本当は携帯所持はダメなんだけどね、天音ちゃんに見せたくてずるしちゃった」

「そう、かわいいです」

「でしょー!天音ちゃんならきっと似合うわよ」

「似合うといいです」

 天音はそのかわいいメイド服の写真を印刷してもらい、眺めることで生きる楽しみを作った。

「メイドか、確か小鳥遊家流の衣は巫女服なんだけど、メイドにできたりできないのですかね」

 天音はそう思うと、キーホルダーを見つめた。

「お母さん...」

 あの日の出来事を思うと、心がとてつもなく落ち込んでしまう。

 真っ暗な心がどんどん押し寄せてくる感じだ。

 おしゃべり好きな看護師さんのおかげで気をまぎれるけど、思い出すだけで、吐き気と絶望感が一気に押し寄せてくる。

 そして、サターン帝国・闇への憎しみも増えていく、精神がぐちゃぐちゃになり今にも崩壊しそうだった。

「あの時の変なお兄さん、なんだったんでしょうか」

 あの事件後に話しかけてくれた変な人、普通に考えれば不審者。

 だが

「あの人は必死だったでしたね」

 自分の不甲斐ないことを後悔していた、そう感じ取れた。

「私にも味方がいてくれる」

 そう思うと少し勇気ができ来る。そして

「あいつらを倒す。私が」

 家族を奪ったやつらへの復讐、そしてこれ以上他の誰かが傷つかないようにするため

「強くならないとですね」


 天音はあくる日から小鳥遊家流派の特訓を始めることにした。

 体がなまっている分、以前より体力が落ちていた。

 突然の行動に看護師らも驚いていたが。

「あの子も一歩前進したのかな」

 おしゃべりな看護師は喜んでサポートを開始した。

 天音はまずは体力づくりとして、三食の食事と運動を開始。

 そして基本の型と小鳥遊家独自の拳、G拳を習得できるよう特訓した。

 そして

「ここなら誰も来ないですよね」

 病院のトイレでキーホルダーを取り出した。

「メイクアップ!」

 天音はそういうとキーホルダーをかざすが。

「まだだめです」

 変化は起こらず、天音の姿も変化がなかった。

「もっと力付けないとダメですね」

 天音はそう思うと、次の日も、その次の日も鍛錬を重ねた。


 天音は精神状態を検査し、無事退院という形となる日が来た。

「ありがとうございました。」

「いつでも遊びにおいで、あとこれあげる」

 小さなメイド服、それは人形などが着るものだった。

「本物は無理だったけど、これよかったら」

「ありがとうございます、大事にします」

 天音はそれを受け取る。

 ポケットに入れると、施設に到着したころにはポケットの中になく、キーホルダーのみしかなかった。

「もしかして、ね?」


 天音は施設から外出をたびたび行った。

 かつての小鳥遊家の家に赴くためだった。

 危険な場所などはすでに撤去されていたが、倉のみは保管されていた。

 すでに更地に近い状態だったが、その土地を買おうというものもいないため小鳥遊家所持のままだった。

「ここなら大丈夫ですね」

 天音はキーホルダーを取り出す。

「メイクアップ!」

 天音はそういうと巫女服の姿になる。

「うーん、なれたのは嬉しいですけど巫女ですか~」

 真の小鳥遊家流派の羽衣、天音はG拳を取得しているため、その姿になれたのだろうけど。

「メイド服がいいな、そうですね~、名前もメイドGとか」

 勝手に命名会を個人的に行い、メイド服にならないか試行錯誤するが。

「やっぱりイメージが大事なのですかね」

 先日取り込まれた人形のメイド服、あれはなかなかかわいかった。

「あれを取り込んだんから、できるはずなんですけど」

 天音は倉の中で試行錯誤に変身できないか試す。

「メイドメイドメイド!」

 キーホルダーに念じては巫女服から戻ることなかった。

「巫女もかわいいけど、やっぱりメイド服着たいです」

 巫女は戦闘服、メイド服は趣味、キーホルダー型の変身アイテムはそう認識しているのかもしれない。

「メイド服の方がテンション上がるんですけど」

 しょぼんとする天音だったが。

「もしかして、まだ力が弱いから補助的な感じで巫女なんですかね」

 そう気づいた天音は、次の日からG拳の特訓をはじめた。

 施設から外出し、倉に来ては、G拳を打ち込んだ。

 すべてはメイド服を着るために。

 そして

「メイクアップ!」

 そういうと天音の体はメイド服に変化した。

「できた!できた!これから私の名前はメイドG!正義のヒーロー誕生です!」

 天音は倉にあった銃をとり、構えるのだが

「さて、何を倒しましょうかね」

 特訓を重ねた天音だが、小鳥遊家本来の力、巫女、そして独自のメイドまで変身出来た。

 肝心の敵がどこにいるのかわからずじまいではあった。

 襲撃時の記憶と痕跡をたどっても、気持ちが沈んでしまう。

 せめてやつらのことがわかるものがないと。

 そんなことを考えながら、天音は一人ぶらぶら街を歩いていた。

 天音は、その日の街を歩いて痕跡を辿ることにした。

 そんなある日

「あれは?」

 見つけたのは、犬だった。

「なんだでかい犬ですか、って、え??」

 そしてその後ろを歩くイカ男?

 人目を避けているように、こそこそと歩いていた。

「絶対怪しいですよねあれ」

 天音はそのヘンテコな怪人みたいなのについていくことにした。

「もしかしたら怪人についてわかるかもしれないです」

 まるで探偵にでもなったかのように尾行を開始した。


 そして後を付けられてるとも知らない馬鹿二人はというと。

「いいか?クワガタ幹部がやられた実力者だ、今度は俺らの力で試す番だ」

「いや、そのぎゃわれって、赤い男の友達?」

 力を試すべく、実験としてクワガタ幹部を活かせたら、あっけなく倒されてコネクトをしたという始末。

 ブナパルトマンの友達というやつに協力者になれるのか試そうという魔王皇帝閣下の指令だったのだが。

「いいか、怪人みたいに登場だ、こちらはあくまで敵ということだからな」

「あとでサターン帝国と平和条約結べるか?」

「ああ、俺たちなら大丈夫だ、とりあえずどんなやつか気になるしな」

 あの空気みたいなクワガタ幹部を認知できたんだ。と息巻く二人。

 ぎゃわれと出会う前のイカ息子とミスターBであった。

「とりあえず2対1は卑怯なので、お前が先に行け」

「わかった」


 その後ろで天音が利く耳立てていた。

「何を話しているのでしょう」

 ぶつぶつ話す二人組についていく。

「サターン帝国とも聞こえたような、あ!見失ってしまいます」

 意外と早く移動する二人、見失わないように見つからず行動する天音。

 ついていくと一つの一軒家にたどり着いた。

「普通の家?」

 なんの変哲もない、普通の民家に二人は玄関から上がっていった。

「不用心に鍵開けてるんですか、ここが基地なのですかね」

 怪人の基地にしては普通すぎる、変なオーラを纏ってそうな雰囲気はあるけれど。

「怪人でもない、変な人なだけなのでしょうか」

 天音は恐る恐る二人の後を追う。

「あ!」

 イカ男が玄関前に待機しており、先に犬がドアから部屋の中に入っていった。

 中では男の人とほか2名が犬と口論しており、なにやら取っ組み合いを行う音がした。

 戦っているのだろうか。

 すると部屋から変な仮面の男と犬が出てきて戦っていた。

「やはり、怪人さんの襲撃ですね」

 天音はイカ男を睨め付けた。

「今なら倒せますかね」

 だが、これが天音の初戦闘となる、いきなりの攻撃は少し勇気がいる。

「こういう時の為に銃ももってます、いけます!」

 天音がいろいろ考えていると、部屋の中で爆発音がした。先ほどの犬がやられたのだろうか。

「ミスターBもやられたか、あとでコネクトしてもらわないとな、さて俺も突撃だ!」

 とイカ男はドアを蹴り飛ばして部屋に突入した。

 すかさず天音もついていった。

「ま、待ってください!」

 天音は階段を上る。その際キーホルダーを手にした。

「メイクアップ」

 光り輝きながら部屋の中に突入。

「へ?」と唖然とする変な仮面の男。

「誰ポル?」とはてなのペンギン。

「ああ?」と睨むイカ男。

「おお!メイドだ!」と喚起する鳥人間。

 イカ男は天音を見ながら、予定外のものが飛び込んできて、驚愕しながら質問する。

「てめえ、誰だ!」

「小鳥遊天音、メイドG!参上!」

 こうしてぎゃわれの部屋に突入した天音はメイドGとして勘違いながらもサターン帝国、いやサターン帝国・闇との闘いが始まったのである。



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