永遠の影の復活
第13章 永遠の影の復活
D地点
転送先にカメレマスクメロンが到着していた。
「ここでメロロン」
「遅いじゃないの」
祠の前には押さえ込んでいたブナパルトマンの姿があった。
その体制は先程クワガタ幹部が押さえ込んでいた祠だった。
とてもきつい体制にプルプルしていた。
「阿呆メロロン?」
「阿呆じゃないもん!!」
祠は今にも崩壊しそうであった。
ブナパルトマンも来たはいいが、どう対処しようにもくっつける術を持ち合わせていなかった。
「お前をどかせば終わりメロロン」
ブナパルトマンは祠を守ることで精一杯なので、押したり攻撃すれば問題ない。
「俺はどんな攻撃にも負けない!」
ブナパルトマンは拳のブナパルト鉱石を握りしめ、力を防御に徹した。
「仲間がいずれ来てくれるはずだ、それまで耐えてみせる」
そう言ったが、ブナパルトマンはぎゃわれと魔王皇帝閣下以外連絡先を知らない。
「来てくれよぎゃわれ」
ブナパルトマンはスマホでぎゃわれへSOSの連絡をしようとした。
「遅いメロロン」
カメレマスクメロンは隙を見てブナパルトマンに突進してきた。
「特殊攻撃じゃないのか、くそっ!」
防ぐ構えをとるが、スマホを落としてしまい、つい拾ってしまった。
「やべっ」
ブナパルトマンは祠から落ちてしまい、押さえ込んでいたものが、吹っ飛んで行った。
突進したカメレマスクメロンも巻き添えをくらった。
「おおっ!見事に吹き飛んでって。やばいぞ」
せっかくクワガタ幹部がギリギリまで守ってくれていたのに、これでは水の泡である。
「どこまでいったんだろうか」
ブナパルトマンは、とりあえずエネルギーが吹き飛んでいる先まで走る。
洞窟を出たブナパルトマンは、その先まで走る。
エネルギーは、ぎゃわれらのいる永遠の影が封印されている所まで伸びていた。
「これはやばいな」
狙いが正しければ、カメレマスクメロンもそこまでいったか、途中で落ちたか、どちらにしよ深追いする相手では無いのは確かだった。
「エネルギーの元を途絶えれば、どうかな」
ブナパルトマンは祠のあった場所までもどってみることにした。
「これは、手遅れかもな」
洞窟の奥まで行き、祠のあった場所を探したが、祠は見事にエネルギーが吹き荒れて壊れており、蓋をするものも無くなってしまっていた。
「クワガタ幹部の苦労が水の泡になってしまった」
その場で愕然としてしまったブナパルトマンだった。
「こうして入られない、早くぎゃわれらの所へ行かねば」
方向変換し、ぎゃわれらのいる中心地にむかうことにした。
「その前に、報告だな」
残念な悲報メールをぎゃわれに送り、その場を後にした。
本地
メイドGとサターン帝国一行は迷子になっていたぎゃわれらを探していた。
一方クモガトリングは、本地に眠る永遠の影の前にいた。
「エネルギーがどんどん溜まっていっている、これならば封印が解かれるのも時間の問題かもしれない」
エネルギーは、3箇所の分は既に充填されており、残るひとつのエネルギーのみとなっていた。
「他の連中は宛にできないな」
当たりを見回しても、他の連中が戦闘に行っており、誰もいなかった。
「やつらも捨て駒にしか過ぎない、俺はこいつでサターン帝国・闇の幹部となり、世界を牛耳る蜘蛛となる」
永遠の影はすぐそこまで見えてきているようにも思えた。
エネルギーは地面深くまで潜っていき、じわじわと下から何か湧き出てくるような地響きも感じられる。
「残りのエネルギーさえきてくれればいいんだが」
D地点を見ても、何も来る気配はなかった。
「さて、待つしかないか」
一方迷子になっていたぎゃわれらは
「一体ここどこなんだ?」
「ぎゃわれっちが知らない方角行こうとするからこうなるポルよ」
「――こくこく」
サソリボルトと戦った後、本地から随分離れて戦ったのか、気がつくと辺境の地に迷い込んでいた。
「なんでこんなことになったんだろうか」
「移動させられる方にもなってくれ」
「すまん」
とりあえずそれっぽいところまでは移動できたのだが、入り組んだ道でどこか分からなくなっていた。
「というかスマホの地図で確かめればいいポルよ」
「でも、永遠の影がいた場所なんて、どこだったか忘れたぞ」
スマホを取り出しても、位置情報的に右なのか左なのか、はたまた他なのか分からない。
「こういう時、空から見れればな」
視線はフラグたんに寄せられる。
「あそこにコンビニあるポルから、ジュースでも買ってくるポル」
「緊張感ないな、まあいいか」
「我はコーラ!」
3人はコンビニに入った。
コンビニはとても心地よい感じであった。
「これは、マンゴー味のカルピスではないか!買いだな」
「我のコーラはここか!」
「ポルはねー、サイダーポルかな」
各々飲み物を選んで購入していた。
コンビニを出たあと、3人は飲み物を飲みながら辺りを散策した。
「なんかこの辺り見覚えあるような、ないような」
「迎えとか誰かこないポルかね」
「なんかあの辺りにエネルギーが溜まってね?」
フラグたんが指さした先は、先端にカメレマスクメロンが降り、本地まで飛んでいっていた。
「あれ追うポルよ」
「わかった」
「りょ!」
3人は飲み物を持ちながら、エネルギーの先まで追いかけて行った。
すると
「おう、迷子ども!」
ドスのきいたイカ野郎が走っていた。
「なんだイカ息子か」
3人はげんなりしたような態度で走っていたイカ息子を見るや否やどよーんとした空気と化した。
「なんでモチベ下がんだよ!な!」
その後ろにはクワガタ幹部、ガジン、ミスターB、メイドGの姿があった。
「ぎゃわれさんやっといた」
「こんなところいるんじゃわからないじょ」
「確かに」
安堵したかのように3人をみていた。クワガタ幹部はぼそぼそ言って聞こえなかった。
「ごめん、よし、とりあえずあそこまで行くぞ」
ぎゃわれら一行はエネルギーがたまっている本地まで急いで向かった。
「なんか嫌な予感しかしないポル」
ポルはぎゃわれの肩に乗り、不安を感じていた。
そして永遠の影が眠っている場所に向かうブナパルトマンもまた焦りを覚えていた。
「このまま何も起こってくれなければいいんだけどな」
考えてみたら4点の祠を破壊するだけで封印がとかれるなら、今まで何年もの間守られてきたのだろうか。結構簡単に破壊されたようにも思えた。
「そもそも永遠の影はなんだってサターン帝国・闇は狙うんだ?」
力が欲しいのか、あいまいな情報なだけにどうやってその術を知ったのか、まあ小鳥遊家の書物なんだろうけど。
「いまいちピンとこないことばかりだけど、とにかく行くしかねえ」
ブナパルト鉱石の力を使い脚力のスピードを上げた。
「これで間に合ってくれよ」
そしてぎゃわれマン一行は4点の祠の中心地である永遠の影が眠る本地に到着していた。
「これはどういうことだ」
エネルギーの3点が辺り一面に充満していた。
人気のない場所でもあったため、そんな光景誰かに見られてしまっては警察沙汰だ。
いや警察も対処できないだろうけど。
「すごい光景ポルね」
「そういえばジュース飲んでるが、変身したままそれ買ったのか?」
素朴な疑問をぎゃわれらに投げかけるクワガタ幹部。
すでにサターン帝国らは人間態と怪人状態、メイドGは変身を解いていた。
「それは、まあな」
「すげえな、それでレジ行ったのか」
想像した一行は呆れていた。
「そんなことはどうでもいいからよ、あれどうするよ」
イカ息子は指をさした先にはクモガトリングがいた。
「やっときたか、ほら見ろ、4本目のエネルギーもやってきたぞ」
先端にはカメレマスクメロンがエネルギーごとやってきていた。
「勢いの割にはエネルギーくるの遅いですね」
「うむ」
じっくりみるミスターBとメイドG。
なぜかさっきのジュースの件で恥ずかしくなったのか変身をこっそり解いたぎゃわれだった。
エネルギーはこちらに流れてきて、カメレマスクメロンをがっちり離さないでいた。
まるで一つの生き物のようになっていた。
「どうやら4点の祠にはエネルギーが封印されていたようですね」
「今更だよ」
メイドGの発言に突っ込むぎゃわれだったが。
「それよりカメレメロンみたいなの」
「あれ、兄貴だぞ」
「マジか、知らんかった。いやそれよりもなんで離れずこっちに向かってくるんだろう」
現在、ぎゃわれ一行はエネルギー充満地帯の傍におり、その光景をゆっくりとクモガトリングと見物している状態だった。
「なぜ、誰も止めに行かないの」
フラグたんはそういうと全員フラグたんを見た。
「誰も飛べないからだ」
「いや、我じゃなくてあっちだろ」とガジンを指さした。
「んん?オレか??」
ガジンはこんな時にカップ焼きそばを食べていた。
「緊張感ねえな」
ずるずる音になぜか安堵する一行だったが。
「しゃあねえ、多分ブナパルトマンしくったんだろ」
「ああ、さっきメールきてた」
「俺たちサターン帝国怪人で片付けてやるからお前らは休んでろ」
「ああ、すまないな」
そういうとイカ息子は両腕にあるブレスを構えた。
「サターン帝国怪人!!」
イカ息子とクワガタ幹部は一時怪人態戻り、4体はサターン帝国怪人に変身した。
「いっちょ飛ぶぞ!」
ガジンの羽がサターン帝国怪人の背中に宿り、エネルギーが近づいてくるところまで飛び立った。
「意外に早いんだな」
「ですねー」
のんびり見ていたぎゃわれとメイドGだったが。
後ろから蜘蛛の砲弾がサターン帝国怪人目掛けて撃っていた。
「邪魔されちゃ困るんでな、俺の糸であいつを撃墜してやるぜ」
クモガトリングはサターン帝国怪人の羽を狙い砲撃。
すかさずサターン帝国怪人はよけるものの、足止めを食らってしまう。
「あれはなかなか取れないぞ」
「おお、実際に食らった人はチガウジョ!」
「たしかに」
「うるせえ!」
しゃべる3人の中、クワガタ幹部だけ、口のところに蜘蛛の糸が張り付いてしゃべれずいた。
「大丈夫か?」
「ふぃあfひあいじょうぶ」
言葉になっていなかった。
「どうすりゃいいんだ」
「俺の糸を食らいな!!」
またクワガトリングの砲撃が開始した。
だが、その攻撃はサターン帝国怪人には当たらなかった。
「かっちゃん砲」
「メイド流、エメラナ」
ぎゃわれとメイドGは砲撃する寸前でかっちゃんの銃弾、メイドGの流派エメラナという特殊なバリアを発していた。
「ここは俺たちに任せて、お前らはやつらをとめろ!」
「私たちにかまわず行ってください!」
ぎゃわれはすかさず何のために変身を解いたのかわからず、また変身した。
メイドGもまた変身する。
2人は一歩下がり、クモガトリングの動きを待った。
「どう止ったってな、あれはここに来るんだ」
「どうしてわかる」
「いや、カメレマスクメロンを見て見ろ」
2人はそういわれると、じっとカメレマスクメロンを見た。
カメレマスクメロンは気絶してエネルギーに取り込まれつつあった。
「誰も止められない、あのエネルギーにはそれだけ強大な力が眠っているんだ、そしてのこの下にもな」
クモガトリングは指を下に向ける。
3ヵ所から得たそれは、今にもこちらに向かってきそうな気配を感じた。
「なんか、地響きみたいなのしないポルか?」
「そういえば下からするな」
ポルとフラグたんはその力の音を聞いた。
「感じるだろ、永遠の影はすでにもうエネルギーを蓄えている。復活の時はもうすぐそこまで差し迫ってきている。どうあがこうが無駄なんだよ」
エネルギーにたどり着いたサターン帝国怪人はどうやって止めるか、吟味していた。
気絶しているカメレマスクメロンはエネルギーの一部となっており、まるで生き物が食らいついたかのような姿とかしており、エネルギーはもう永遠の影のすぐ下まで来ていた。
「エネルギーの圧が強すぎて近づけない」
「ガジン花粉バリア!!」
花粉の幕みたいなものが辺りを覆いつくすもののエネルギーはいともたやすく破壊した。
「イカ息子!衝撃波スラッシュ!!」
イカ息子の斬撃がエネルギーに攻撃するもエネルギーには物体がないため、エネルギーの一部と化してしまう。
「物理攻撃は無意味だ」
「いったいどうすればいいんだ」
エネルギーはサターン帝国怪人も取り込もうと勢いよく向かってくる。
「や、やべっ!!」
「サターン帝国!!」
ぎゃわれはそう叫ぶが、エネルギーはなぜかサターン帝国怪人を逸れていった。
「あ、多分俺の力?」
ようやくもごもごした口を開けたクワガタ幹部は自身の空気的存在感な能力に助けられたらしい。
「お前はチート並みの能力だな」
「安心してる場合ではない」
ボソっとミスターBはいうと、エネルギーはすでに永遠の影の眠る場所に入ってしまっていた。
「遅かったか」
そういって到着したのは、ブナパルトマンだった。
「きた、しくじり大魔神」
「そういうなよ、必死でここまで走ってきたのに」
ぎゃわれはそういうと安堵するブナパルトマンだったが。
「もうすでに時はきたようだな」
クモガトリングはエネルギーが充填されていったいる光景ににやりと笑みを浮かべた。
「強大なる力はもう我々サターン帝国・闇のものだ!」
大きい雄たけびはあたりの充満したエネルギーに呼応してか、たちまちクモガトリングに集まってきた。
「なんだこれ、すさまじく力が湧いてくるようだ。封印を解いた感謝からなのか?大きい犠牲も出したことだ。復讐とは言わんが、ここで貴様を殺してやる」
そういうとクモガトリングの体に備え付けられていたガトチング砲弾が分解され、10個の砲撃が搭載された。
そして体には無数の蜘蛛の巣が張り巡らせ、辺りは蜘蛛の糸でいっぱいになった。
「まずいぞこれは」
「どうしましょう」
「そういえばこの子だれ?」
今更感丸だしなブナパルトマンだったが。
「今はそんなこと言う場合じゃないポルから、さっさと戦うポル!」
遠くの影からポルとフラグたんは応援に回っていた。
「もう遅い!!」
そういうと放たれたクモの糸はぎゃわれ、メイドG、ブナパルトマンの体に張り巡らされ、身動き取れない状態と化してしまう。
「あとは、お前らだ」
その蜘蛛の糸は空で騒いでいたサターン帝国怪人目掛けて発射された。
「まったく、お前は邪魔なのか、空気なのか審議を疑うよ」
「俺に言われても能力という体質に近いんだよ」
「だからあれあれ」
「zzzz」
ミスターBは指をさすものの、騒いだり、寝ている面々の為気づかないでいた。
それに激怒したミスターBはそのクモの糸に向かい高速でよけていく。
「おわっ!なんだなんだ!」
「え?え?」
「んんん!」
3人はいきなり動き出したミスターBの動きについていけず、困惑した。
「目からレーザービーム!!」
変な方向に向けたレーザービームは蜘蛛の糸を何十か所もあて、焼け切った。
ぎゃわれとブナパルトマン、メイドGの体についた糸もまた取り除かれた。
「これで任務完了」
「さ、作戦どおりだ!」
「うそつけ!!」
そういうとむすっとしたミスターBはそっぽ向いてしまった。
「す、すまんあとはよろしく」
サターン帝国怪人はぎゃわれらにバトンパスをした。
「ええい、蜘蛛の糸が取れても何度でも攻撃するまでだ」
だが、ぎゃわれらはすでに動き出していた。
「ぎゃわれっくブラッシャアアアアア!」
ぎゃわれの足技がさく裂した。
吹っ飛ばされる先にはメイドGの姿があった。
「行きます!メイド流、疾風激!」
メイドGの手さばきから風が起こり、クモガトリングを上空に舞う。
「今です!」
そういうとぎゃわれマンとブナパルトマンは二人そろって上空を飛びあがる。
「「ダブルブナパルトインパクト!!」」
ブナパルト鉱石が強く光りだし、クモガトリングの体を突き抜けた。
「な、んだと!」
「いっけえええええええええ!」
クモガトリングは突き飛ばされ、永遠の影のところまで、吹き飛ばされた。
「まだだ、おおれはまだ、ここでは」
よたよたした動きで砲弾を用意する中下から強い地響きが鳴る。
「なんだ!!」
動揺したフラグたん。
次の瞬間、巨大な手がクモガトリングを掴み、巨大な口が一瞬にしてクモガトリングを飲み込んだ。
それは真っ黒く、まるで影のような存在だった。
地響きは一瞬で終わる。
「な、なにがあったんだ?」
「わ、わからないポル」
次の瞬間、衝撃波が辺りを襲った。
吹っ飛ばされる一同、ぎゃわれは急いでポルたちの元に駆けつけ、抱きかかえるも衝撃波の影響で全員変身が解かれてしまう。
「なんだ、これ」
「わからないジョ」
「俺も当たったぞ」
自慢するクワガタ幹部にぜいはあするミスターB。
横たわる。メイドG。
「大丈夫か!」
駆け寄るブナパルトマン、いや佐藤太郎は。彼女の顔を見て察した。
「君は、小鳥遊家の...」
あの時出会った少女だと直感で感じた。
「いててて、大丈夫です」
「そうか、よかった。しかしここまで成長したんだな」
「はい?」
なんのことかわからない、天音は涙を流す太郎がよくわからなかった。
そんな二人に駆け寄るぎゃわれはとりあえずポルとフラグたんに安全な場所にいるよう指示をする。
「ブナパルトマン、どうなってんの?何も起きてないんだけど」
「ああ、俺にもさっぱりだ」
サターン帝国の面々を近寄る。
「あの、この人は一体誰ですか?」
謎の人物にはてなの顔の天音に、彼の紹介をするぎゃわれ。
「この人は、前に言ってたかな?ブナパルトマンです」
「よろしく」
「ああ、そうなんですか。えええ!!」
天音はいないはずの人物に驚いた。
「死んだって聞いたようなきがしまうが」
「言ってない言ってない、多分」
「ぎゃわれ、お前な」
談笑する一行の上空に見たこともない雲ができていた。
「何あれ」
フラグたんが見つめる中。それはどんどん物体として姿を現してきた。
クモガトリングを食べ、カメレマスクメロンを吸収したそれは、生贄のため、肉体を得るため。
影となりて、身をひそめ。
それはやがて辺りを影で埋め尽くすような黒い影となり、辺りを覆いつくした。
まるで永遠に続く影のように。【永遠の影】と呼ばれる理由ともなる名前、その存在はそこにあった。
影を作り出す存在は、大きくうねりを上げ、その影が一つの生き物のように辺りを暗くした。
昼だった景色はすっかり夜の景色と変わり、周りに住民はパニックを受けていた。
「いきなり夜になったんだけど」
「え?なにこれなにこれ」
「雲?」
街の人は困惑し、上空を見つめる。
そしてぎゃわれたちも上空を見つめる。
「永遠の影、またの名をエターナルシャドウ、影を生み、その存在は永遠に封印されるべき存在してた。」
「小鳥遊家はそれを封印したんだもんな」
「ええ、でも、書物はもう封印するすべもありません」
「そ、そうか」
そんな中、上空に影を造っていた存在が姿を現した。
雲の裂け目より見えたその存在は、全長50メートルあるような体をしており、龍のように飛び、巨大な爪と、しっぽを要しており、顔はこの世のものとは思えない怖さを発していた。
化け物、怪獣、禁忌、災厄。どの言葉も似あうそれは、ゆっくり上空から顔を除き、地上まで降り立った。
「こ、こっちくるぞ」
「まずいぞこれは」
ぎゃわれらは安全なところまで来ると、エターナルシャドウは大きな雄たけびを上げ、すさまじい風をまき散らした。
「これ、どうやって戦うポルか」
「わからんが、ぎゃわれがんばれ!!」
「戦えるのかこれ!!」
エターナルシャドウは動きだし、街そのものを食らいだした。
飛び回るそれは、建物を破壊し始めた。
いきなりの出来事に逃げ惑う人々は大混乱となっており、車による事故も多発し始めた。
「やばいぞ、俺たちでなんとかしないと、人がこのままじゃ死んでしまう」
「行くしかねえか」
「やりましょう」
「ったく、仕方ねえな」
「あ、あんなのに負けないからな」
「いくじょ!!」
「うむ」
ぎゃわれらは風が舞う中、逃げ惑う人々を避け、エターナルシャドウに向かって走り始めた。
そんな異様な光景を見てか、街の人々は不思議に見ていた。
「なんだ、今、変な蛾がいたよな」
「犬も」
そしてフラグたんを連れて飛ぶ、ポルさんもいた。
現在。ぎゃわれらは変身しておらず、怪人態のガジンとミスターBが異様に見えたのだった。
ぎゃわれ、小鳥遊天音、大西カズ、クワガタ幹部、ガジン、ミスターB、ブナパルトマンはエターナルシャドウに向かって走り出して、一同横一列に並んだ。
「行くぞ!スタンバイ!変身!」
「メイクアップ!」
「イカチェンジ!!」
「クワガタチェンジ!!」
「ガジン!」
「ミスターB!」
「ブナパルトチェンジ!!」
巨大なモザイクと、光と、破片とが飛び交う中、7人は止まることなく、走る。
その姿に驚愕してか、街の人々は謎のエールを送る。
「なんかわからないけど、がんばれ!」
「怪人軍団いけえええ!」
「メイドちゃんがんばって!」
「なんか俺たち応援されてるぞ」
辺りを指をさすぎゃわれマン
「なんか調子乗りそうですね」
照れるメイドG
「世界が終わりそうだっていうのに、なんだかうれしいね」
ブナパルトマンはスキップし始めた。。
「だったら名乗るか」
手を挙げるイカ息子。
「お、いいね」
イカ息子にいいねするクワガタ幹部
「まじか、」
すこし呆れるミスターB
「いくじょ!!」
小さく飛び上がるガジン。
7人はエターナルシャドウの目の前まで来て、飛び上がり、ちょうどいい立ち位置のビルの上ところで止まる。
その後ろでポルとフラグたんが見守る。
「言葉通じるかわからないけどいくぜ」
ぎゃわれマンがそういうとエターナルシャドウはこちらを向いた。
「アニメTシャツが似合ってるスーパーヒーロー、愛と勇気だけが友達とは言わせないさ、その名もネット界のスーパーヒーロー!ぎゃわれマン!!参上!」
ビシッと右腕を立てにし、左腕をその下に重ねたポーズをきめるぎゃわれマン。相変わらず長いし、わけわからないし、スーパーヒーロー二回も言ってる。
「サターン帝国海系幹部!イカ息子」
片手にイカ息子ブレードを手に取り、手をわらわらしたポーズを決める。
「サターン帝国邪魔、いや、空気?いやいや昆虫系幹部!クワガタ幹部!」
セイントアックスを構えながら、ぶるぶる足をしながらポーズを決める。
「サターン帝国のマスコット!」「おい!」と一同に突っ込まれる。
「違った!サターン帝国ストーカー、と飛ぶ系幹部!ガジン!」
羽をバタバタさせながらポーズを決めた。
「サターン帝国犬系幹部ミスターB」
しゅっと手を前にやり、ポーズをきめたミスターBは少し嬉しげな表情を見せていた。
「小鳥遊家流派!メイドG!」
武術の型を作りまがら、最後は可愛くピースで決めた。
「ブナパルト鉱石のヒーロー!ブナパルトマン!」
ブナパルト鉱石を握りしめ、恥ずかし気に謎の鷹のポーズを決める。
「ペンギンのポルさんです」両手万歳のポーズ。
「我、フラグたん」謎のグーの構え。
「我ら!」
「サターン帝国!!」とイカ息子の掛け声で一同声を合わせた。
「っていつの間に俺らもサターン帝国になったんだよ」と突っ込むぎゃわれマン。
「いいじゃねえか、集合ヒーローは所属チーム名乗るもんだろ」威張るイカ息子。
「ならぎゃわれマンとゆかいな仲間たちポル~」スキップしながら走り回るポルさん。
「楽しそうですね、うきうき」うきうきするメイドG
緊張感のない一同ではあったが。
「ウッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
と大きな雄たけびにびくっとする一同。
表情は一気に和やかムードから、戦闘モードへと変わった。
「よっしゃ、じゃあ、覚悟いいな」
一同を見渡すぎゃわれマンは他のやつの覚悟を確かめた。
「最初から、この鉱石手に入れたときから、覚悟決めてんだ。絶対負けないから」
拳をぎゃわれマンに突き立てる。
それはまるでパワーを与えているようにも見えた。
「俺たちはサターン帝国、ヒーローのお前らと違って最初からデビルズキラーさえ倒せてればそれでいいんだが、今回ばかりじゃそうはいかねえ、というよりここまで来て逃げる俺たちじゃねえだろ」
イカ息子は下で声援を送っている人々を指さした。
「確かにな、じゃあ、行きますか」
「よし!いくぞ!」
ブナパルトマンの掛け声で7人はエターナルシャドウ目掛けてビルの上から飛び出した。




