現代編 永遠の影
第10章 現代編 永遠の影
石板をもったまま逃走したクモガトリングはサターン帝国・闇の本拠地へといた。
「長らくお待たせしましたデビルズキラー様、我ら石板化してますが、揃いました」
「そうか、俺とアリ大佐もまだ力が戻らない今、グライトも製造段階で、動けるお前に託すぞ、あの時の恨みと世界への宣戦布告として、永遠の影をこの手にするのだ」
「わかっております、恐らく彼らの石板化はこれで」
クモガトリングが取り出したのは、先ほどの石だった。
それはマシロの石とブナパルト鉱石が混じったものだった。
クモガトリングはその石をくっつけると
石板化していた6体がみるみる怪人の姿へと元に戻っていった。
「ああ、しびれるぜ、何年ぶりの世界だ」
「YO!また暴れることができるぜ」
「まったくもって不快だったでメロロロン」
「うむ」
石板化した怪人は、ブナパルト鉱石の力が消えてしまうと元に戻る仕組みになっている
デビルズキラーやアリ大佐はより強力に鉱石の力を受けており、まだ完全復活できていなかった。
ほかの怪人は、先に石板化がとけたひなと同時に石板化が解け、ひなを強制的に洗脳し、転送作業をさせていた。
その転送先は奇しくも、ぎゃわれマンの部屋と繋がっていた。
「これで永遠の影をよみがえらせることができる」
その様子をこっそりひなは目撃していた。
「大変だ...」
一方、ブナパルトマンを復活させるべく、ぎゃわれマンとイカ息子、ポル、フラグたんの作戦が繰り広げられていた。
「復活呪文ポル!フラグたんいけポル!」
「おう!」
フラグたんは飛び上がり呪文を唱えた。
「ああ!任せろ!」
フラグたんはメモ用紙に書いてある呪文を唱えた。
「ネギトロ!」
ブナパルトマンは無反応であった。
「やっぱりだめか」
「ダメに決まってんだろ!まじめにやれ!」
イカ息子はそういうとブナパルトマンに向かっていく。
「大体こういう封印みたいなやつには何かしらのヒントが隠されている、もしくは何か衝撃を与えるのが一番だ」
「なるほどな」
イカ息子はブナパルトマンの周りをぐるぐる回りはじめた。
「わかった、このやり方だ!」
イカ息子はひらめいたのか、手をポンと叩いて、別の方向をむき出した。
「ちょっと待ってろ」
イカ息子はどこかへと姿をくらました。
3人はイカ息子を待ちながら他の方法を試していた。
パターン1 ブナパルトマンを囲いながら踊る
「そーれ!いえーい」
「盛り上がるダンスパーリナーイデポール!」
「我の華麗なるダンシングみるのだー」
パターン2 新聞紙を丸めて叩きつける
バシッ!バシッ!バシッ!
「おりゃ!」
「おりゃ!」
「おりゃ!」
パターン3 お湯をかける
「コンビニでお湯もらってきたぞ」
「おお!なぜにカップ麺?」
「これしかお湯をもらう方法なかったんだ、とりあえずいただきます」
「ずるいポルよ!ポルも食べる!」
「わ、我も食べたい」
3人はブナパルトマンを見ながらカップ麺を食べていた。
パターン4 おしくらまんじゅう
「おしくらまんじゅう押されて泣くな」
「これ意味あるポルか?」
「ないな」
パターン5 生贄
フラグたんが横たわっている。
ほか2名は封印されているブナパルトマンの前で土下座しながら
「さあこの鳥怪人を生贄に差し出すので」
「ブナパルトマンを返すポル」とつぶやく
だが何も起こらない。
「なぜだ!」
「当たり前だろ」とフラグたんは起きだした。
「ああ生贄が」
「まあ生贄がフラグたんじゃ仕方ないポルね」
「それどういう意味よ」
そうこうしているとイカ息子が戻ってきた。
「待たせたな、ブナパルトマンを復活させるにはこれだ」
イカ息子が持ってきたもの、それは100均に売っている楽器だった。
「いい音楽で目覚めさせようぜ」
「なるほど、いい案かもしれない」
「さっきのダンスとどう違うポルか」
「さあ」
「とにかくやってみよう」
というわけで4人はブナパルトマンの前に配置についた。
ボーカル担当(マイクは飾り)フラグたん
ギターみたいなもの担当イカ息子
ドラムではなく太鼓担当 ポル
ピアノ ぎゃわれ
BGM スマホ
「よっしゃいくぜ!」
適当なリズムでほぼ動画サイトの音源で演奏が開始された。
フラグたんは動画サイトで歌っている曲を熱唱するも、何回も間違えた。
ギターは弦が切れ、太鼓のばちも折れてしまい
ピアノは電池がなかったので、音は出なかった。
「これでもダメか」
「俺たち絶対迷走してるよな」
「ならもうこのまま壊せばいいポルよ」
「おいおいそれはないだろ」
だが、その発言にぎゃわれはピンときたようで
「ちょっとまてよ、俺は今までブナパルトマンに力を借りていたよな」
「確かにそうだな」
ぎゃわれはブナパルトマンからもらっていたブナパルト鉱石を見つめていた。
「もしかして、」
ぎゃわれはそう思うと、ぎゃわれマンに瞬時に変身した。
「いきなり変身してどうしたよ、俺も変身した方がいいか?」
イカ息子は人間隊の姿でいたので、チェンジブレスを用意しようとしていたが、ぎゃわれマンは止めた。
「おそらくブナパルト鉱石がカギなんだと思う」
ぎゃわれマンはブナパルトマンに近づいた。
「ブナパルトマンに力を借りていたんじゃなくて、この鉱石に力を借りていたのだとしたら」
恐らく力の根源が一緒だからこそ
「このパンチに込めて見せよう」
ぎゃわれマンは気合を入れると拳が赤く染まった。
そして静かに腕を上げた。
「真・ブナパルトパンチ」
ゆっくりとしたそのパンチは封印されたブナパルトマンの石化を崩し、そしてブナパルトマンの封印を溶かした。
「う、嘘だろ」
「万能すぎポルよ、ブナパルト鉱石」
全部の封印が解け、そして倒れようとする体をぎゃわれマンはキャッチした。
「お帰り、ブナパルトマン」
とりあえずどうしようかと検討したいたら
「うっ、ここは?」
ブナパルトマンが目を覚ましたのだった。
「おはよう、ブナパルトマン」
「ぎゃ、ぎゃわれか?」
当時と今ではスーツが違っていたので、確認した。
「そ、そうか、ということは。やはりか」
「やはり?どういうこと?」
「あいつらもいないか、時間たったな」
「よくわからないんだけど」
「そうだな、とりあえず話さないとな」
するとでかいおなかの音が鳴った。
「とりあえず移動しようか」
一同は腹を満たすべく、変身を解除し、ファミレスへと向かった。
ファミレスでは、ブナパルトマンこと佐藤太郎は数年ぶりの食事だからか多めに注文していた。
「逆に多く頼みすぎて食べきれなくなるポルよ」
「確かに空腹時のほうが胃が小さくなって食べきれないってきくからな」
「ほっとけ、食べきれなかったらやる」
「いらねえと思うぞ」イカ息子はじゅるりと唾をのんだ。
佐藤太郎はカレー、ハンバーグ、オムライス、からあげ、ポテト、ピザなど食べに食べまくっていた。
「てかなんで生きてるの?」
ぎゃわれの素朴な疑問に佐藤太郎はにやりとした。
「これだこれ」
差し出したのはブナパルト鉱石
「もしかして、生存状態まで保てるポル?」
「かもしれない、サソリボルトと戦った時、毒が消えたのも石化させたのもこの鉱石のおかげだ」
「確かに、サターン帝国・闇のやつらを石化できたのもこの鉱石だったな」
「そうか、えっと君はだれ?」
「俺は、大西カズだぜ」
「イカ息子だよ」
「ああ、魔王皇帝閣下のところやつか」
「人間名で誰も呼ばないのかよ」
「忘れるし」
「誰かわからんからな」
「まったく」とムスッとしてイカ息子は端っこであぐらついた。
「ところで、なんでこの鉱石は万能なんだ?」
うっとりみつめるフラグたんに佐藤太郎は鉱石を奪い返す。
「研究では、膨大な力を秘めているとしか、その力をこの変身アイテムに組み込んだんだが、思いもよらぬパワーもあったもんだ」
「でもこれ、思いによって変化するけど、原理はどうなってるんだろう?」
「わからない、まだ未知数といっても過言じゃない、ただあまり使いすぎて悪用されるのも怖い」
「でもこれさえあればサターン帝国・闇は全滅じゃねえか?」
イカ息子は提示してみるが、ブナパルトマンは首を振った。
「確かにそうかもしれないが、根本的な解決にはならない」
「どういうことポル?」
「この石の力を逆に利用されるかもしれないからね、それに結局石化しかできてないから、結果は一緒になる」
「石化させ続けるしかないってことか」
「切り札的存在としか思うしかない」
「もしかして、永遠の影もこれで封印されたのかな?」
「それなら小鳥遊家が所持しててもおかしくないが、それは考えにくい、恐らくは別の方法なんじゃないかな」
4人は天音がブナパルト鉱石をもっていたか、記憶をたどる。
「あいつはもってないな」
「ポルね」
「別の方法か」
「うーん」
悩んでる4人をみて少し笑うブナパルトマン。
「そんなに考えなくても、復活させなければいいんだから」
「それはそうだけど」
復活させなければいい、だがその見通しは甘い気がしていた。
「万が一復活してしまったらただ事じゃすまないポルよ」
「こくこく」うなずきを言葉にするフラグたん
そんな言葉を聞き、腕を組むブナパルトマンは4人を見回す。
「そん時はヒーローが救えばいいんだよ」
ぎゃわれに肩をポンと叩き、ブナパルトマンは再び食事に戻る。
「相変わらず、計画性のない言葉だな」
「いつもこうなのか?」とイカ息子はぎゃわれに耳打ちをするように聞く。
「多分、俺もそこまで付き合い長くないから」とぎゃわれもイカ息子同様に耳打ちをした。
ブナパルトマンについては会ってすぐ変身させられて、いざこざに巻き込まれ
サターン帝国・闇と戦う羽目になるが、人となりのブナパルトマンはそこまで知らない。
断片的な付き合いに近い存在であるが故、大丈夫なのかと心配になる。
過去の経緯は知っているとはいえ、性格までは説明できない。
心配そうにブナパルトマンを見つめる2人だったが。
その後もブナパルトマンは数年ぶりの食事を楽しんでいた。
「いや~食べた食べた」
お腹をポンと叩くブナパルトマン。
その食事の会計は一人分の会計かと疑う金額だった。
「ファミレスで一人で1万超えかよ」
「だれが払うんだこれ」
「大丈夫、大丈夫!」
ブナパルトマンは財布を取り出し、お会計を済ませた。
「意外と金持ちなのか?」
「いや、そんなことはない、貯金が溜まってるだけだよ」
と言いながらクレジットカードを見せびらかしていた。
一行はファミレスを出た。
「さてこれからどうするの?」
「とりあえず、俺は一度研究室に戻って準備することがあるから、ここで」
そういうとブナパルトマンはそそくさとどこかへ消えていった。
「いや、俺たちはどうすればいいんだよ」
「とりあえず疲れたし、家に帰って休もうか、日も暮れそうだし」
「ポルね」
辺りを見渡すともう夕方に近かった。
「明日また考えようか」
「そだな」
ぎゃわれらも帰路につくことにした。
サターン帝国・闇本拠地
「これで全員だな」
ブナパルトマンによる石化されたEX部隊は全員揃っていた。
「デビルズキラー様の封印はこれでは解かれないようですね」
「まあいいさ、石化してても意思は伝えられるのだから、徐々に復活に近づいているのだよ」
石板越しにアリ大佐とデビルズキラーはEX部隊に伝えた。
「明日、永遠の影を手にしろ」
「了解」
EX部隊全員の敬礼と了解の声が鳴り響く。
クモガトリングを筆頭に、コブラアイス、サソリボルト、カメレマスクメロン、コウモリDJ、チーターダッシュ、マシロの7体の怪人は準備を整えていた。
転送装置のある部屋では、ひなが転送座標の変更を行っていた。
「ぎゃわれの部屋だと、暴れるのに不適合、そして永遠の影の座標から遠ざけるには、この場所しかない」
ひなが目標に定めたのは、いつものあの橋の下だった。
一方、帰路についたぎゃわれは、天音に連絡をとっていた。
「もしもし?今大丈夫?」
『珍しく電話するんですね?何かありました?』
「ブナパルトマンが復活したのと、多分サターン帝国のやばいのが復活する」
『意味わからないんですけど、とりあえず明日そっちに行けばいいですか?』
「そうだな、タイミングが良ければお願い、あと永遠の影って知ってる?」
『あー、昔家の先祖が封印したやばいやつですか?なんでそんなこと知ってるんですか?』
「多分、サターン帝国・闇はそれを狙ってる、何が復活するヒントがあればいいんだけど」
『なら本家に来ますか?』
「大丈夫なのか?その襲撃された家に行っても」
メイドG、小鳥遊天音は、過去にサターン帝国・闇によって、家族を殺され、家も崩壊させられていて、現在は別のところで生活している。
そんな彼女にとっては、トラウマな場所であるはずなのだが。
『もう、大丈夫ですよ。大丈夫じゃなかったら、サターン帝国・闇と戦ってませんし、それに、皆さんと一緒なら、平気です。でも本家もほとんど崩壊してますし、蔵なら何かあるかもですけど、ほとんど残ってないかもしれません』
「そうか、でもとりあえずみんなでそこに集まろう」
『わかりました、では明日、時間は任せてもいいですか?』
「おう、任せてくれたまえ」
『はい』
そう言って電話は切れた。
「天音大丈夫だったポル?」
「多分、少し無理してるな」
「まぁ、我が一緒なら大丈夫だろ、な!」
イカ息子は、ベットで既に寝てしまっていた。
「まったく、なんてイカだよ」
「ポル達も寝ようか」
「だな!っていうか、ブナパルトマンと他の奴らにも連絡しないと」
ぎゃわれは、日時と集合場所をきめ、サターン帝国の皆とブナパルトマンに連絡を入れ、眠りについた。




