神々に関するあれこれ
座を支配することが、この世界における神としての最低要件となっている。
その取り合いが発生することは、明確すぎる力量差があるため発生することは無いが。
実際に、世界に存在する神は20柱。
人の定義で下級や従属と呼ばれているものは、神々としてみたときには、そのような存在ではない。
座としてそれぞれの世界樹を持ち、それを経由することで世界の仕組みを維持する権能を発揮する。それぞれに使徒と眷属を持ち、人の呼ぶ下級や従属神というのは主にそれらを指す。
カバラを基軸として設定されており、表層に10、裏層に10がそれぞれ存在している。
表層神
表層世界で祀られている神であり、あらゆる教会に神像が祀られる存在。
世界の基礎ではなく、暮らす人々の目に直接触れるそこを整え役割を持った神性。
創造神、色は白。名はルゼリア。
かつてのゲーム、その世界の中に置かれた唯一の神であり、その管理する世界樹、中央世界樹の座も初めから与えられていた神。
この世界のほぼすべてを意のままにできる、その能力は与えられており、類似の平衡世界の管理も行っている。
父親たる使徒の願いを受け、あくまで世界はそこで暮らす者の好きに、場を整えるだけ、そう勤めようとしている存在。しかし、世界を汚染する悪意に対しては、一切の容赦がない。幼い神であり、既に滅ぼした世界は、片手では足りない。
ゲームの背景として、滅ぼした、砕かれた世界の欠片が流れ着き、合わさった、それこそが舞台である。
戦と武技の神、色は赤。名はマルコシアス。
冠の通り、戦と武技を司る神であり、魔物との永遠の闘争に明け暮れる世界において、かつて主神であった存在。永遠に増え続け、強化され続ける魔物。それに対するそこで暮らす存在の疲弊。それが原因で世界が滅びる事となった。要は、かつてのゲーム、そのアルファ版以前における設定の残滓。
その反省で、闘争や、練武は好むが、押しつけを行うことは無い。魔物の管理は行うことを禁じられている。
その武技として、当時多くの武芸者の動き、機械で読み取れる思考、それの集合としてAIが成立した。
知識と魔の神、色は紫。名はエンキ。
裏層に存在する法と裁きだけでは不足するため、その補佐として作られた神。神としての座は持つものの、実際のところはそういった存在。表層における知識、そこから発生する文化の成熟、自制といった物も管轄下ではあるが、所詮は補佐としての一部であるため、力が弱い。
だからこそ、こちらの世界では、それらの発展に時間がかかる。
魔物の管理、魔術文字全体の管理、世界のバランスの管理。魂の総量の管理。この神はとにかく管理ばかりを行う。
教会に祀られる神像は、かつてのあるプレイヤーがモデルとなっている。
美と芸術の神、色は青。名はペイトー。
今となっては、力弱い神。職人の一部が細々と崇めている神であり、主体は富裕層が折に触れて感謝を捧げる相手でしかない。その名の通りの物を司っており、決して弱い神性でもないのだが。
プレイヤーの上限、人口としての上限、その存在を世界観に組み込んでしまったため、最も割を食う事になった神。しかし信徒が少ないからこそ、磨かれた美も確かにあると喜んでいる。
月と安息の神、色は黒。名はロスナ。
満ち欠けする付き、悪戯気なそれを存分に司る神。ゲームにおいてはログアウト処理、セーフティーエリアといった物にしか過ぎなかったが、現実になったからこそ圧倒的な力を持つ神。
空に合計7個存在する月、それぞれがこの神の権能を示す。安息、眠り、夢、死の4つは世界の何処彼でも見る事が出来る。残りの夜、幻、狂は一部の場所のみで見る事が可能。
獣人の多くが信仰する神でもある。
狩猟と木々の神、色は緑。名はネイト。
魔物と戦う、それに対して必要な加護を与える神。身もふたもない言い方をすれば、レベルアップシステムの神格。
木々がついているのは、狩猟と言えば森だよね、そんな開発陣の連想によってつけられたものでしかない。そして、眷属にそれは早々に渡されたため、異邦人が大量にいた時期であればともかく、今となってはすっかりと影の薄い神。
生存権の拡張を指示する必要がなかった時代では、月と安息に次ぐ権勢を誇っていた。今はすっかり自信喪失して、鬱気味。
華と恋の神、色は桃。名はアンテイア。
文字通りの事を司る神であり、この世界における婚姻の宣誓を司る神でもある。世界の独立、魂の総和に対しての制限がなくなったことで、最も心を乱した神。恋、その熱量を持った神でもあり、それに反することに対しての対応は、創造神に次いで苛烈。信徒が少ない地域には目が確かに届かない、それは全ての神に等しい欠点だが、そうでないときは、容赦がない。
横恋慕、略奪愛、そこに合意がない時には、それを行った存在はただいなかった、そうなる。
鍛冶と火の神、色は橙。名はプロメテウス。
他の神との最も大きな違いは、システムとして存在している事。人格を持つ存在ではなく、発展性も、進歩も無い神。本来であれば裏層に存在するべき神性なのだが、需要がそれを許すことは無い。こちらの世界でも、火が無ければ進歩はなく、道具を作る、それなくしては生存もできないのだから。知識と魔と同様に創造神、それに接触できる神によって使用されるツールとしての神性。
教会に祀られる神像は、かつてのあるプレイヤーがモデルとなっている。
水と癒しの神、色は青緑。名はタナロア。
癒しを司るからこそ優美で優し気、そんな物を主体とした神。範囲が広く、生命に直結する神だからこそ力も強く、眷属も多い。反面移り変わり、多様な側面を肯定する神でもあり、この神が自主的に、意にそぐわぬと行動を起こすことが非常に難しい存在でもある。
神国では、烙印程度で済んだが、他の場所では存在の消滅が行われたこともある。実際北方の武国では、影から現れた槍に貫かれ、二日間の苦しみの末消滅。魔国では、知識の漂白が行われたのだから。
癒しの奇跡ばかりに目を取られるものが多く、日常における癒しを軽視される風潮が続き、実はこっそりと力が削られ続けていた。
風と旅の神、色は水色。名はヘルメス。
実際の見た目は完全にアメーバ。風であり、旅であり、常に変化するそれを定型の生物として表現することは出来なかった。水、月以上に変化を好む神であるため、まともな伝承は碌に残っていない。長く続いたゲーム、加えてメジャーアップデートもあったのだ。要はパッチの神格でもある。
世界に対する変更、それを隅々までいきわたらせる神でもある。神としての自由な気性に反して、10の神の中で最もこまごまとした役割を与えられてしまった神でもある。眷属を増やし、使途を増やし、少しでも自由を得ようと常に画策している。
教会に祀られる神像は、かつてのあるプレイヤーがモデルとなっている。
裏層神
表層がUI、クライアントサイドであるなら、こちらが計算処理でサーバー部分である。
法と裁きの神。を始め、10の柱が存在している。