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お手軽宇宙創造キット

作者: 村崎羯諦

かずほ「さて、夏休みの課題として出された、私達の自由研究をどうするかについてだけど」


あやか「はい」


かずほ「最近流行ってる、この『お手軽宇宙創造キット』を作った惑星観察にしようと思います」


あやか「うーん、ベタだね」


かずほ「私に任せるって言ったんだから文句言わないでよ。ほら、ちゃっちゃとやって、早く終わらせるよ。夏休みもそろそろ終わっちゃうんだし」


あやか「はいはい。えーと、宇宙を創る前に色々と設定しないといけないんだ。面倒だし、初心者用のデフォルト設定でいいよね。よくわかんないけど、この設定だと私たちの惑星と文明がほぼ再現できるらしいしさ。もうスイッチ入れちゃっていい?」


かずほ「ふふふ、スイッチを入れるのはまだ早いんだな。なんとね、アイドルのファンサイトから、これを買ったの。じゃーん、イケメンアイドル菱川拓海くんのDNA塩基配列データ」


あやか「なにそれ?」


かずほ「この宇宙創造キットではね、惑星で誕生するすべての生命体のDNAを色々といじくることができるの。つまり簡単に言うとね、この拓海くんのDNA塩基配列を設定しておくと、惑星内で人間と同じ生命体が誕生した時、その顔が拓海くんそっくりになりやすくなるってことなの」


あやか「科学の力ってすごい!」


かずほ「えーと、このライセンスキーを打ち込んで……。よし、準備OK。じゃあ、始めちゃうよ。スイッチ、オン」


あやか「あ、ちょっと光った。これがビックバンってやつ?」


かずほ「そうそう。これで宇宙が誕生して、膨張が始まって、しばらくしたら生命体が生息可能な惑星が生まれるはず」


あやか「わー、楽しみ。早く拓海くんに会いた~い」


かずほ「……」


あやか「……」


かずほ「……」


あやか「ねえ、このキットの中では今、どれくらいの時間が経過してるわけ?」


かずほ「まだ1万年程度かな。このキットによると、大体100億年程度経てば生命体が生息可能な惑星が生まれるみたい」


あやか「そんなちんたら待ってられるわけないでしょ。夏休みが終わっちゃうって」


かずほ「う~ん、そうだよね。あ、待って、説明があった。右のつまみをいじれば、時間の経過を早めたり遅くできたりできるんだってさ」


あやか「早く言ってよ。別にもう宇宙とか惑星の誕生とか興味ないから、がんがん時間進めちゃうよ。……お、いい感じに進んでるんじゃない?」


かずほ「生命体が誕生したらキット右上のランプが緑色に点滅して、自動でその惑星のカメラ撮影を始めてくれるってさ」


あやか「あ、ランプが点滅した。へえ、これで惑星の様子が好きに見られるんだ」


かずほ「早く拓海くんに会いたいからさっさと時間を進めてよ」


あやか「はいはい。……文明ができてきて、人間っぽい生命体が現れ始めたねー。あ! この人、拓海くんにそっくり!!」


かずほ「うそ! 見せて! 本当だ! 待って、この人以外もみんな拓海くんそっくりじゃん!」


あやか「わー、癒やされるわー。眼福~」


かずほ「ずっと見てられるわ~、ほんと」


あやか「ねー」


かずほ「拓海くんが必死に文明を築き上げてる姿、超絶エモいんだけど」


あやか「わかるー」


かずほ「いい感じに文明が発達してきてるね。このまま見てるのもあれだし、そろそろ国でも作らせてみる?」


あやか「ん?」


かずほ「どうした?」


あやか「えっと、『国』って何?」


かずほ「ああ、ごめんごめん。説明してなかった。このキットではね、DNAだけじゃなくて、人間が築き上げる文明にも色々と介入することができるの。それがオプション。例えば、文化芸術を重要視するような文明ができやすくしたり、自然と共存することを重要視する文明ができやすくしたりって感じで。『国』っていうのはオプションの一つで、すごーくざっくりいったら、土地ごとに人間がグループ分けされるって感じなの」


あやか「あんまり難しいことはわかんないけどさ、それって必要なの?」


かずほ「まあ、要らないといったら要らないけど。国を設定することで文明の発展とかが複雑になってより面白くなるんだってさ。よくわかんないけど」


あやか「他のオプションは何かあるの?」


かずほ「えーとね、説明書見てみるね。他には、『戦争』っていうオプションだと人間のグループ同士で殺し合いをさせることができて、あとは『疫病』っていうオプションだと感染力の高い悪性ウイルスを特定の場所で発生させることができるらしいよ」


あやか「……なんでそんなオプションがあんの?」


かずほ「さあ、そういうのが好きな人がいるんじゃない? 生き物が苦しんでるのが好きな変態とか」


あやか「えー……趣味悪い。私はこうして拓海くんを見てるだけで幸せだわ」


かずほ「ね、私もそう思う」


あやか「やっぱ、こうして見てるのが一番だね」


かずほ「そーだね。それが一番良いよ」


あやか「……」


かずほ「……」


かずほ「あ、今の子、今まで一番拓海くんに似てない?」


あやか「かーわーいーいー」

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