天子茸のカミサマ■それはまるで
QPは旅立ったのだ遠い遠いところへ
この子なんの子クマの子キノコの子
さっそく連れて帰ろうと持ち上げてみるとやっぱりすごく軽い
そのまま抱っこして出口に向かうとまだ日は落ちていなかった
これなら院長先生に怒られずに済むかな
目を覚ました不思議な子が私の顔にタオルを押し付けてきた、はじめは拭いてくれているのかなと思ったけど違うみたい
何だろうなと思っていたらタオルを頭の上に乗せた、そしてまたタオルを手にとってこちらに差し出して来る
うーん?もしかして水?
とりあえず不思議な子を降ろしてリュックから水筒を取り出してタオルにかけてみると満足したのかそのまま頭の上に乗せていた
この子にはある程度の水が必要みたい、理由は解らないけど人じゃ無いみたいだしそういう事もあるかなと納得する事にした
そういえば名前が無いと不便だなと今更気付く、でもこの子からは何も聞けないし勝手には決められない
さてどうしようかなと悩みながら抱っこするとすりすりしてきた、やっぱり懐かれた?
それではと外に出てみて様子を見ると不思議そうにはしてくるけど嫌がってはいないみたいだ
これなら院まで行ってもたぶん大丈夫かな、後は院長先生を説得するだけだ
草むらを抜けて院の裏側から敷地に入る
まだ遊んでいる子たちがいたので時間はまだまだ大丈夫みたい
みんなこっちを見てくるのはこの子を抱っこしているからかな
はやく院長先生に会おうと見回すと泥だらけの子たちの手足を洗っているのを見つけた
いんちょーせんせーと呼びかけながら駆け寄るとこちらを見ておや?と不思議そうにしてきた
やっぱりこの子が気になるみたいだ
さっそく院長先生に今日あった事を伝える
悩んでいたけれど私がお世話すると言ったらそれなら連れてきた蓮子ちゃんにある程度のお世話をお願いするわねと言われたのでうんと返事しておいた
院長先生は私は警察に子どもを保護した事を電話で連絡してくるから蓮子ちゃんはみんなを洗ってあげてねと言われた
いいよーと返事してみんな集まれー、今日はもうお外はおしまーい、だれがいちばんかなー?と呼びかけるとどんどん集まってきたのでみんなに水をかける
すると不思議な子は濡れた地面に転がってうずくまり始めた
それを真似しようとする子たちを止めながら不思議な子を立たせて水をかけて泥を落としたら不満なのかジッとこちらを見てきた
泥まみれがいいのかな?そのままだと院に入れないんだけどなぁ、これも院長先生に相談してみよう
とりあえず洗い終わった子から順番に拭いてどんどん院に入ってもらった
そうやっていると院長先生が戻ってきたので早速この子は泥まみれがいいみたいと伝えるとどうしてかしら?と不思議がっていた
私にも解らないので2人で不思議な子を見守っているとやっぱり濡れた土の上をコロコロと転がっていた
暫くそうしていたと思ったらまたうずくまり始めた
院長先生がどこか痛いのかしらと心配し始めて私も慌てて顔を覗き見たら不思議な子はキョトンとしてこちらを見てきた、ふつーにしてるから痛いとかはないみたいと院長先生に伝える
2人でうーんと悩んでいると不思議な子が私の手を取ってきて、それから私をジッと見上げてきた
これで準備完了したみたいなんだけど泥だらけなんだよね、このままだと入れないよ
どうしようかなと悩んでいると叫び声が聞こえた
あれ?とそっちを見ると表の門のところに怖い顔をした男の人が何人もいた
みんな怒っているのか私達を指差して何か叫んでいた
院長先生があなた達はそのまま院に入りなさい私が話をしてきますと言ったので不思議な子の手を引いて慌てて院に入った
そしたら男達は何かを叫んでいた、やっぱり私達を怒っているんだ
入ったところ直ぐにいた先生に怖い人が来た!と言ったらもう警察に電話したと言われてあなたははやく奥にと急かされた
その時バンッ!!と大きな音がして誰かがドタっと倒れた音がした
思わず振り返ろうとしたらそこに居た先生に止められた
先生は泣きそうな顔をしながら扉を閉めていた、院長先生は?まだ外にいるよと言ったらお願いだから早く奥に行ってと言われたのでちらちら振り返りながら奥に行った
奥に着くとみんな不安そうにしていた
一番年長のお姉さんに狙われているのはその子?と聞かれたからたぶん……と答えた
それならその子を隠すか逃すかしないとダメねと他の年長組の人達と相談を始めた、誰も差し出すとか追い出すとか言わなかった事にホッとした
みんな行き場所が無くなってここに来ているからこそだと思う
相談が終わったらしく年長のお兄さんがこちらに来て先ずは隠れるのがいい天井裏か床下のどちらかにしようと言ってきた
不思議な子を見ると理解していないのかぽけーとしていた
上と下どちらがいいか指差しながら聞くと下を指差した
それを見たお兄さんはよしと頷くと床下の収納を開けてそれから収納の壁を外し始めた、そこ取れるんだと驚いて聞くとこういう時の為に準備していたらしい
こういう時があるって思っていたんだ!?とさらに驚いた
こっちだと言われたので不思議な子と一緒に収納からお兄さんが空けてくれた穴に入った
年長のお姉さんも一緒に入ってきて大丈夫だからねと抱きしめてくれた、小さい子達は天井裏に隠れるらしい
私はリュックを渡された、お金と食べ物や水が入っているから大事にしてねと言われた
まるで今からみんなとお別れになるみたいで怖くて泣きそうになったけど我慢した
お姉さんに抱きしめられてジッとしているとドタンバタンと音がした
そしてお兄さん達の声が聞こえてきた、普段そんな声を出さないお兄さん達がみんな怒っているのか何かを叫んでいた
バンッ!ドンッ!と何度も大きな音がした後にドタッドサッと何かが倒れる音が連続して急に静かになった
そしてギシギシと誰かが歩き回っている音がする、お兄さん達じゃないと思う
お兄さん達なら迷わないだろうし呼びかけてくるはずだ、ならお兄さん達はどうしたんだろう?と怖くなって震える
抱きしめてくれていたお姉さんが大丈夫と頭を撫でてくれる
そしてリュックを背負わせてくれた
お姉さんにそっちと言われたので不思議な子と一緒に言われた方向に移動すると壁にたどり着いた
ここの壁をこっちから押すと開いて外に出られるからねと言われてお姉さんを見ると笑っていた
バンッ!と音がしたのでそちらを見ると収納の壁が壊されていた、そしてそこから男が入ってきていた
そこから逃げて!と言われて壁を押すと簡単に開いた
お姉さんを待とうとしたら2人で逃げて!早く!と言われて慌ててその穴から外に出た
丁度裏口の辺りに出てきたのが解ったので山の方へあの草むらの穴に逃げることにした
何度も振り返りながら逃げる、誰もついてきていない
誰も誰も
そして気付いてしまった院の方が赤く光っていることに
足が止まりそうになった、でもと無理やり動かす
走って走ってこの辺りのはずと見ていると不思議な子が引っ張って来たのでそのままついて行くと穴があった
そこに2人で入る奥へ奥へと入るとあの温かい石があった
そこから更に奥へ進むと熊がいた
熊は熊でも着ぐるみの熊だ
ご拝読ありがとうございます
あの子は子株ちゃんです
クマーは持ち出しましたクマーが持ち出しました
椿ちゃんが刃を磨いて待っているぞクマー




