影法師のカミサマ■鏡と不穏
有給を利用するそういうのもある
お前も使えよと言われたのでじゃあ早速明日の17日でと言ったら通って休みになりました
狩るぜ狩るぜ俺は狩るぜ
怪談(として語られることになったカミサマ)少女真鏡ちゃん
何か見てしまったような気がする
いや気のせいかもしれない
自分の中でも考えがまとまらない
でも念のためにと窓に立てかけられた鏡に近付いて覗く、特に変なものは映ってはいない
そもそも誰がこんな所に鏡を置いたのだろう?
前に使った時は無かったと思う
こんな風に置いてあったら気が付いた筈だから
触れようとして思い留まる、何とも言えない薄気味悪いものを感じたからだ
噂の中に鏡に関する物があったことを思い返す、これは関係があるのか無いのか
考え込んでいるとチャイムが鳴った
もうそんな時間か思っていたよりも熱中していたらしい
携帯端末を操作しカメラを起動させ撮る
これは意味のない行動だと自嘲する
どうしても直接触れる気にはならなかったのでその場を離れることにした
利用していたパソコンをシャットダウンする
正直に言えば逃げだろう、でも仕方ない
そう自分に言い聞かせる
帰る前に図書室を見回したが誰も残ってはいないようだ
解ってはいるけれど念のために「誰か残っていませんか?鍵を閉めます」と呼びかける
当然返事はない
図書室の電気を消して施錠する
鍵を管理室で返却してそのまま早足で学校から出た
歩きながら明日の予定を考えていた
その時にまた視線を感じ思わずそちらを見る
絶句する
どうして何故、そういった思考で埋め尽くされる
はっきりと認識してしまった、少女だ
真っ白な少女が先ほど使っていた図書室の中からこちらを見ていた
誰もいないのを確認してから施錠した
じゃああの少女は何処から入った
そして気付く少女はあの鏡が有った辺りに立っている
鏡の中の少女、そう思い浮かんだ
スッと部屋の奥に行ってしまう
どうする
いや決まっている、忘れ物をしたと言ってまた鍵を借りればいい
先ほどまでの臆病な気持ちは吹っ飛んでいた
興奮しながら慌てて戻る
管理人から鍵を受け取る時間ももどかしい
早くしてくれと内心で急かす
受け取ってお礼もおざなりに図書室に戻る
なかなか鍵が挿し込めないのは慌てているからだろうか恐怖からだろうか
深呼吸をしてから鍵をゆっくりと挿し込み回す
ガチャッと一際大きな解錠音がしたような気がする
ゆっくりと扉を開ける
「誰かいますか?」
そう呼びかけながら入室するが返事はない
手を伸ばし電気をつける
鏡の有った場所には誰もいない
ゆっくりと部屋を見回す、誰もいない
見間違いだったのかとがっくりと力を抜きかけた時に気付く
窓に立てかけてあった筈の鏡がない、見回すが床にも落ちていない
右手で左胸を押さえながら深呼吸する
左手をポケットに入れて中に入っていた御守りを握りしめる
もう一度部屋を見回す
何処にも鏡がない
息が浅くなる、喉もカラカラだ
携帯端末でさっき撮ったばかりの画像を確認する
そこには鏡が写っている
やはり間違いなくここに鏡が置いてあった
どうするべきか
忘れ物を取りに来たというていなのであまり時間もかけていられない
証拠はないこの画像だけでは無意味だからだ
考え込みながらも電気を消して施錠しその場を離れる
管理人に鍵を返した時に「気を付けてね」と言われて「はい、すみませんでした」と返すと「違う違う、最近物騒だろうこの辺り。気を付けて人通りの出来るだけ多い所から帰ってね」と言われ
少し気にかかったので「物騒なんですか?」と聞き返すと「おや?知らないのかい?最近この辺りで何人も失踪していてね。何か事件に巻き込まれたんじゃないかと噂になっているんだよ」と、失踪?噂?違和感を覚えた
僕は自分で調べたから行方不明者が多いことを特に最近増えていることを知っている
でもそんなことが起こっているのなら注意喚起がある筈なのに聞いていない、明らかにおかしい
そしてクラス担任が休んでいることを今さら思い出す、そう今さらだ
何とも言えない気味の悪さがある
僕が担任の存在自体を忘れていたようなそんな感覚だ、いや実際に忘れていたそう思う
長居してもそれだけ帰宅が遅れるだけなので管理人にお礼を言ってから下校する
辺りはもうすっかり暗くなってしまっている
明日からは影法師を本格的に調べることになる筈だったけれど鏡も気になる
含み笑いをしながら街灯の下で掃除をしているおじいさんとすれ違う
立ち止まる
直ぐそこにいつも通る曲がり角がある
ゆっくりと振り返るとやはりこんな時間に掃除をしているおじいさんがいる
足元を見ると街灯に照らされた影がある
おじいさんに「こんばんは」と言うとこちらも見ずに「こぉんばんは」と返してくる
進むか戻るか、遭遇者は予兆は無かったと言っていたが本当にそうだったのか疑問があった
おじいさんに近づき「すみません」と声をかけるが無言で掃除を続けている
「あの」と声をかけながら肩に手を触れる
すると「んぁ?なぁんだい?」と返事が返って来た
違ったようだ
言うことは決まっている「この辺りも最近物騒なんだそうです。もうこんな時間ですし掃除を切り上げたらどうかなと」「そぉうなんだぁね。ばいばぁい」と言って離れていく
僕が来た方向へとどんどん行ってしまう
なんだろうやはり違和感がある
そうか顔を一度もこちらに向けていない
どんどん離れて行って曲がり角を曲がって行ってしまった
その瞬間に周囲の影がザワザワと騒めいた気がする
そしておじいさんが消えた向こうから街灯に照らされた影が伸びていた
人の影じゃないように見える、影が蠢いているように見える
影に向かおうとすると足がすくんでしまう
声を出そうとしたが舌がもつれて上手く発音できない
体験者が言っていたのはこれか
影がジリジリと動いているのが見えた、ダメだ僕ではダメだ
振り返り影を背にして逃げる、誰か誰か誰か
1人はダメだ呑まれる
幸いにも他の体験者よりも距離がある、近くにまだ誰か居るかもしれない
真っ直ぐ走り角は曲がらない、出来るだけ真っ直ぐにだ
居た正面からこちらに来る人がいる
走りながら声をかける
「すみません!」
思いのほか大きな声が出た
その後に気付いた
声が出た
さっきの舌のもつれはいったい何だったのか
ご拝読ありがとうございます
お前のことなんか見てないよ、自意識過剰じゃない?この少年
あれやこれやの搦め手を使ってくるけど詰めが甘いやらかし脳筋タイプの敵




