表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カミサマのかぞえかた  作者: 蜉蝣丸
27/53

死願華□いつも陽気に

竜胆がもう居ない世界線なら獅堂くんは他ならぬその血塗られた手で彼女も討たなければいけなかったけれどこの世界線ではまだ彼女がいるのでそうはならない

それはそうと先輩は他にもやらかしている

もう一度周囲を見回すが動いている何かはいない

不気味に感じながらもう動かないであろう植物の巨人に近付く

取り込まれていた人達もまるで眠っているかのように安らかだ、苦しんだ様子はない

娘の言葉を考えるに再誕したカミサマは死に関する何らかの力を持っている

だが目の前の光景と上手く結びつかない

なぜその手勢が死に絶えている?

何が起こっているのか解らないがこの状況で静観はよくないだろう


死体に触れてみることにした、触れた瞬間に妙な心地よさと共に僅かな脱力を感じ直ぐに手を離した

体力を奪われたのか別の他の何かを奪われたのか

それよりも心地よいと感じたのはかなりまずいだろう

迂闊に触れることすら出来ないとは

仕方がないので触れずに死体を観察していると死体の側に華が咲いていることに気がついた

形は彼岸花に似ている

しかし彼岸花にしては小さくそして真っ白だ

どこか不気味に感じる

周囲を見回すと同じような華があちこちに咲いている

建物の壁面にも咲いていた


その華に触れてみると身体から力が抜け猛烈な眠気にそのまま瞼が落ちそうになった、慌てて手を離す

確信するこの華が再誕したカミサマの力の片鱗だろう

心地よさのままに眠ってしまえばこの死体の仲間入りだ

文字通りに眠るように死ぬ

下手に触れられない以上はここで俺にできることは少ない

ならいっそ中央塔に向かうのも手か

しかし俺ですら影響を受ける以上は何らかの対策が必要になるだろう


丁度その時に戦闘部隊だろう円陣を組んだ集団が現れた

12名いた、真鏡に送られて来たのだろう

お互いの隙をカバーしながら油断なく周囲を索敵している

隊長だろう男がこちらに歩み寄って来る

その男は頭をかきながらばつが悪そうに話しかけて来る


「先遣隊率いる蜂谷一心だ。あー、めんどくせぇからいきなり聞くが味方、でいいんだよな?」


飾らないタイプか

いや飾れないタイプだな

こういう奴の方が好感が持てる


『こちらは竜胆椿だ。誰から何を聞いたのかは知らんが今回は味方だな。こちらもいきなり聞くがカミサマ容認派か?それとも排除派か?』


驚いているな

そして笑いながら蜂谷は口を開く


「そういう区分けだとうちの部隊は静観派だな。無意味に敵対して危険を呼び込むつもりはねぇし、警戒もせずに全幅の信頼を置くのも違う。撃たれたら撃ち返す。受け入れられないようなら先に仕掛ける」


一般的なスタンスだな、少し安心した

そして最低限の警戒を常にしているようだ

部隊は油断なく周囲を伺っている

俺にも警戒の眼差しを向けてくる

やはり信用できる奴らだろう


『なるほどな。とりあえず解ったことを伝える、あの白い華と死体には触れるな。脱力し眠くなる。華の方はそのまま死ぬ可能性すらある。そして俺は中央塔に向かうつもりだが何か対策が欲しいと考えていたところだ』


「貴重な情報に感謝する。お前ら聞いての通りだ細心の注意を払え!個人では当たるな!対策か布一枚でどうにかなるのか、機械越しでもダメなのか。どちらにせよ確かめるしかないな。少し待ってくれ準備が必要だからな。お前らまずは通信機器の波長を合わせるぞ、よし。続いて拠点だがそこの組みかけのバリケードを使う、簡易でいい」


蜂谷自身も指示を出しながら動く

素人はこういう時は黙って見ていた方がいい

協力が必要なら向こうから申し出て来る

下手に手を出すと彼らの間や呼吸が乱れて返って手間だからだ


「部隊を分けて探索範囲を広げるからな。想定通りの組み合わせの三人一組だ。ここからでも見える中央塔を十二時とし、そこには一班が向かう。三時と九時の方向にそれぞれ二班と三班が向かえ。拠点に残るのは四班だ。後続が来たら四班も増援と共に十二時だ。後方は後続に振れ」


相談することも戸惑う事もなく簡易拠点が構築され部隊分けが終わる

普段から念入りに訓練しているのだろう

そして後ろへの警戒は最小限か

異変の中心が中央塔と考えられる以上はそうなるか


「すまんな、待たせた。さて華と死体に対する対策が必要なんだったな。直接接触によるもので手袋で防げるなら良いんだがな」


『ああ、そうだな。あと華を焼いてみるのは確実だ。それと』


そこまで言った瞬間に猛烈な寒気を感じ思わず飛び退って壁を背にする

蜂谷も部下達と背中を合わせて身構えていた

そして死体と華を確認していた蜂谷の部下達が武器を構える

明らかな異変、寒気すら感じる濃密な死の気配を浴びせかけられたからだ

おかしなことにそこに含まれているのは殺気でも殺意でも敵意でもない、なんと好意だ

周囲を見回すが何も発見できない

蜂谷達も油断なく空すら見上げているがそれでも何も見つけられないようだ


だが間違いない何者かが俺達を


「あれ?あれれ?ここはさっき来たはずなのに。変だね?まさか最近の人間ってうにょうにょって生えてきたり分裂するようになっちゃったの?私が死んでいる間にすごい進化してる!」


場違いなほど明るい声が上から聞こえた

聞こえた方向を見上げる

先ほどまでそこには何も居なかったはずだ

なのに今その建物の壁面には少女が居た

少女だ、何処と無く猫宮に似ているのはこの少女が話に出ていた姉だからだろうか

その背には蝶か蛾のような翅が見える

その手には先程の華で満たされた華籠のような物を持っている


「聞こえてるよね?今のは冗談だよ?笑うとこだよ?泣いちゃうぞ」


こちらに優しく微笑んでくる

なのに感じるのは心臓を掴まれているかのような濃密な死の気配だ


『まずはお互いに名乗ろうか、俺は竜胆椿だ。見ての通りカミサマ混じりだ』


蜂谷達を手で制し下がるように促す


「椿さんだね、よろしく!私は猫宮奏音だよ。享年17歳。華も恥じらう永遠の乙女。今はカミサマやってまーす、ぶい」


まるで春の陽気のような優しい絶望がそこに居た


「誰でもいいから突っ込んでよね!」



ご拝読ありがとうございます


同類で無ければ分かり合えないこともある

同類だからこそ排除しうる相手になる


変人は後輩くんの周りに集まる

それは定められた運命


姉狂い以外は実はまともな猫宮ちゃんは獅堂くんに

根本が実は混沌の猫宮さんは後輩くんに

カミサマになって箍が外れたのではなくこれが素

偽ったり気を使う必要が無くなったから


辻斬り椿ちゃんの辻斬り相手は人に仇なす妖

人間は対象外

この世界での妖とは零落したカミサマや外れてしまったモノや辿り着けなかったモノや果てに至ってしまったヒト達の総称

先輩は出会い頭に斬られた

だいたい先輩が悪い

先輩を殺してしまうと膨大な命のスープが流れ込んできてしまうので普通は歪なヒトとなって討たれる側になる

それはそれとして次の先輩がその辺から生えてくるので幾ら殺しても労力の無駄で無意味

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ