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カミサマのかぞえかた  作者: 蜉蝣丸
26/53

その少女悪 後編

本来ならもっと悪辣


後輩くんのおかげでかなりマイルドに


【後書きにネタバレと呼んで良いのか解らない悍ましい設定などがあります、ご注意】

少女は進む

塔の内部でも外と同様だった

ナニモノも少女を阻むことは出来ない

少女を取り抑えようと手を伸ばすが届かない

その行先を阻もうとするがすり抜けて行ってしまう

どうすればいいのかどうしたらいいのか誰にも解らない

ただただ少女が進んでいく

人と植物を超越したはずの者達が力なく項垂れる


進み続けた少女は遂に華裂くカミサマの本体が鎮座する展望台に辿り着く

ここが目的地だったのだろう

少女は真っ直ぐに蕾に近付いていく


「勝手に近づいてもらっては困りますね」


年若い女性の声が響く

少女がそちらに視線を向ける

そこに居たのもまた少女

中学生ぐらいだろうか巫女服を身に纏った少女がいた


「随分と様変わりしたじゃないか市長。これ程の騒ぎを起こしたのはそれが目的だったのかい?」


市長と呼ばれた少女は苦笑しながら答える


「心外ですね。私の目的達成の為に候補の身体を奪いとったまでのことですよ」


目的とはなんであろうか

目的の為に元の身体すら捨てる

目的の為に他者の身体を奪う

それを本当に人間と呼んでいいのだろうか


「不老不死だったかな。随分と俗物的で小さき夢だ。そして不味い」


市長は苛立ったのか少女に似つかわしくない険しい表情になる


「貴方には分かるまい。我々人類が日々その老いに死に恐れ怯えていることを。そして貴方は俗物的と言いますが華裂くカミサマを掌握することで生じる人類へのメリットがどれほどのものか想像されたことはありますか?」


「おいおい主語を大きくするな俗物。恐れ怯えているのは君だろう。姿は少女でも中身は老いたままなんだね。ああ、成る程その姿も永くは持たないのか。それにメリットではないデメリットだ。憐れだね」


「私を憐れむな!私は貴方の想像を上回る力を身に付けた。貴方が想像だにしなかった景色が私には見えている!貴方も私が次のステージに上がる為の糧にしてあげましょう」


市長の怒りにこの少女は何処吹く風だ


「とてもそうは見えないけどね。そもそもボクが君に種をあげたのはこんな程度の低いことをしてもらう為じゃなかったんだ。人は際限なく満たされればどうなるのか、それを味わいたかっただけなんだよ。そこに辿り着く前に程度の低い夢で使い潰されるとは思いもしなかったよ」


少女はそう告げる


「それこそ私が貴方を上回った証拠だ!貴方の思惑すら外れた私にはもう恐れるものは何もない!さあ大人しく私の糧となれ!」


少女に襲い掛かる市長

今までと同じ様に市長もまた少女に無力なのだろうか


否、市長の拳は少女に届いた

市長は我が意を得たりとばかりにそのまま少女を殴り飛ばす

少女はそのまま壁にぶつかった

そして市長は笑いながら告げる


「どうですか?予想を上回っているでしょう?ここは既に私の領域。ここでなら私が最も強いのですよ!貴方よりも!傲慢だったのは貴方の方だ!さあ取り込んであげましょう。ああその身体を奪うのがいいか。これで私は更なる力を」


「物理攻撃とは呆れ果てる。これなら後輩くんの拳の方が効くね。後輩くん、いや椿ちゃんは人間の時にボクを2度も殺したよ?それなのに君ときたら無防備に殴られてあげたというのにこの程度だ。無能は何処までいっても無能のままか」


ゆっくりと立ち上がる少女は無傷だった

殴られた頰にも壁にぶつけた背中にも何処にも傷ひとつない

それどころか埃一つ着いていなかった


「減らず口を!貴方はもう絶対者ではない!」


再び殴りかかる市長

しかし今度は先ほどとは違った

その他大勢の者達と同じ様に届かなかったのだ


「馬鹿な!馬鹿な!こんな筈があるか!私は追い抜いたのだ!私こそが絶対者なのだ」


余程信じられないのか何度も少女を殴ろうとするが触れることすら出来ない市長


「無様だね。まあいいよ。ボクは君に対して何か仕掛けに来たわけではないからね。ボクが用事があるのはそちらの方さ」


少女は蕾に向き合う


「やめろ!それは私のだ!私の次の身体だ!次こそ私は貴方を!」


市長が邪魔をしようとするが少女は気にもかけない

触れることさえ出来ないのだから当然だろう


「何、この娘を助けたいと思っている人が居るのでね。君に使われるぐらいならボクが使おうと思ったんだ。それに後輩くんも居るからね、とびっきりにしてあげないと。まあこの娘は暴走するだろうがそれでも彼らは助けようとするだろう。せいぜいボクに素敵な味を体験させて欲しいものだ」


「やめろ!私のだ!私の」


少女に触れられないことに業を煮やしたのか蕾に手を伸ばす

しかしその手が蕾に触れることは無かった

少女と同様に触れることさえ出来なくなっていたのだ


「そもそも華裂くカミサマはその華を自ら裂いて地に落とすことで土地に祝福として豊穣の恩恵を与えるカミサマだ。元々巫や生贄など不要なのさ」


「それでいつか枯れてしまった時にどうすればいい!祝福が無くなってしまう!だから私が華裂くカミサマと一体となる事でその力を手に入れるのだ!その為の巫だ!その為の生贄だ!私ならもっと効率よく使える!」


「そこが間違えている。枯れていいのさ。枯れてもしばらくは豊穣の恩恵は残るのだから。そしてその祝福された土地で新たな華裂くカミサマが芽吹く。そのサイクルを繰り返す事で世界は祝福で満たされるはずだったんだよ。種がある、それで気付くべきだろう。愚かで無能な君が華裂くカミサマを台無しにしたんだ。誇れ、愚かなだけでも無能なだけでも成し遂げる事など到底できまい浅ましき欲にまみれた偉業だ」


市長は目を見開きそして項垂れ力なく座り込む

絶対者から与えられたモノを自分が台無しにしたのだとそれを誇れと少女は言うのだ

誰も飢えることのない豊穣なる世界を否定したのは他ならぬお前だと


そして少女がその蕾に華裂くカミサマに触れた

華裂くカミサマが震えた

ゆっくりと華開こうとしていた

その時だ蕾が華開くのすらもどかしいのか蕾を引き裂きながら中から手が伸び出てくる

そして続いて上半身が這い出てくる

巫だろうか巫候補だろうかいずれにせよ取り込まれていた少女のようだ

苦痛を感じているのか苦しそうに呻き声をあげている

何が哀しいのか涙を流し続けている



かつて皆の幸せを願ったその少女は裏切りと苦痛の中で死んだ

肉体と精神が軋みをあげる苦しみの果てに少女は死んだはずだった


未来奪われた哀れな少女

今際の苦痛が今も続く少女

少女の望みは安らかな死

なれど既に死んだ者を殺すことなどできない

死望む憐れな少女


華裂くカミサマ再誕

その名を死願華の少女カミサマ猫宮奏音


いつか人がこんな苦しみの果てに死ぬのなら

その前にみんな私が連れて逝ってあげる

せめて最期ぐらいは安らかにね

その安らかな死は伝播する


彼女はその愚かな優しさで殺す

優しき絶望が華開いた


「新たな道化の再誕をボクが祝福しよう。人が絶えようとも世界は巡るとも。さあ椿ちゃん君はボクにどんな夢を見せてくれるんだい」


ご拝読ありがとうございます


市長!?何やってんですか?秘書さん困ってましたよ

議会にどう報告したら良いんだって

10代の女の子になっちゃいましたがちゃんと市長なので大丈夫ですとか言えばいいんですかね?

何が大丈夫なんだそれ


市長さんは元々は50代の男性

本来なら猫宮ちゃんを乗っ取ってその縁で猫宮さんを経由してカミサマを乗っ取るはずだった

猫宮ちゃんどっか行っちゃったからね、仕方ないね

この巫候補も獅堂くんとボーイミーツガールしていてその淡い恋心のようなものも市長は取り込んでしまっている

なので獅堂くんに会うときゅんとしてしまう

中身おっさんなのに

やだ獅堂くんかっこいいきゅんとなってしまう

しかもその想いを嫌じゃないどころか大切にしたいという本物が市長


椿さん何者だよ

ナチュラルボーンの異常者だよ

当時は殺戮剣術を嗜む女子高生でした

剣道の試合で巷で最強の美少女剣士として話題の三連覇がかかった剣道小町との緒戦で空気を読まずに体当たりのような突きを放っての瞬殺劇でもっと圧倒してショックで倒れたままの剣道小町を見てテレビ中継されているにも関わらず利き手を踏み折って失格になるようなナチュラルボーン

なぜそんな事をと聞かれて邪魔さえなければ首もいけたと残念がっていたという


後におのれとばかりに報復に来た男子生徒3名は内2名が意識不明の重体、残りの1名は一時行方不明に

椿さんに聞くと忘れた、多分どこかで捨てたと答えたという

誰にも俺を止められねーぜと回遊していただっくんがたまたま瀕死の重傷の犠牲者を見つけて治療してから街に返してくれた

またお前余計なことをしたなと椿さんにボコボコにされたカミサマなのに


だっくんの方がまとも

なので主人格として表に出ている

羽虫とか言っている方が椿さん

辻斬りしていた時に先輩に出会った


1度目は出会い頭の事故

2度目は本気の惨殺

そんな体験も感情も味わったことが無かったので先輩は椿ちゃんが、後輩くんが大好き


みんな揃ってみんな変

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