神様に仕える憤怒
寝ぼけてボタンを押し間違えていました
すみません
まだ続きます
この街での決着までは
【後書きに重大なネタバレ有りです】
市長云々は気になるが先にチェックだよな
どれぐらい火元に近付けばいいんだろうかコレは
「食べて体内にでも無い限りこの部屋に入った時点で反応する。反応が無いのなら何の問題も無いということだ」
時々こちらを見ながら何かを書き込んでいる
「断言できる。君は華裂くカミサマの影響下にはない。そしてデマの話だが市長は自分達が華裂くカミサマの恩恵を約束されたという背景を持ってその地位に就いている。その恩恵とは豊穣が約束されるというものだそうだ。そして事実として毎日実りを収穫できているという報告がある」
『実際にその恩恵を受けているから圧倒的な支持率なんだろ。なら多少の誘導や嘘も許容範囲なんじゃないのか。それにしてもとんでもない恩恵だな。世界の食糧事情をここだけで解決できる可能性すらあるのか』
「何も知らない市民にとってはそうだ。だがその為に彼らは多大な犠牲を強いている。それが表に出れば失脚だけでは済まないだろう」
市民にとってはね、後で揉めそうだな
終わったらさっさと逃げるか
そして多大な犠牲?俺が犠牲で思いつくのは
『シントに巫とその候補か?俺が見たやつは本人が望んでいたようだったな。あと植物の巨人に取り込まれていた奴ら』
この辺りだな
「シントや巫関係もそうとは言える。あれは人柱だ。今の話で問題となるのはその巨人だ。アレに取り込まれているのは行方不明者だ。そして彼らは豊穣の為の栄養源だ」
生きたまま肥料にされてるってことか?
そりゃあ問題になるかもな
既に色々と情報を得たが確約されていないのにこんなに情報出していいのか?と疑問に思ったので聞くことにする
『まだ協力が確定ではないのにさっきから交渉材料切るんだな』
少し間が空いた、こちらを見ている
そして迷いが見える
待っていると、おもむろに口を開いた
「この程度は交渉材料にならないだろう。君と一緒に居たアレが把握していないわけがない」
瞬間的に怒りが湧く
先輩をアレ呼ばわりか、確かに色々あるのだろう
だがいい気分じゃない
『あんたは先輩のこと知っているんだな。先輩をアレ呼ばわりとは敵か?』
両手を挙げて掌を向けてくる
「そう熱くならないで欲しい。こうまで変わるとはね。ではどう呼称すればいいのかな」
先輩の呼び方なんて考えるまでもない
『先輩は先輩だろうが他に何がある』
ジッとこちらを見てくる五十嵐
何が不満だ何が
「それをおかしいと思えないということが問題なんだがね。獅堂も疑問にすら思っていない。一度そう認識し口に出してしまえばこの私も影響下に入ってしまうだろう」
何を言いたいんだこいつ
身体中に熱が回る
「そもそも君は初めてあったのはいつなのか覚えているかな。そして何故そこまで強く依存しているのかな」
『俺や獅堂の過去知ってんだろ。ならそれが答えだ』
そろそろ怒りが溢れ出しそうだ
もう猶予はねぇ
これ以上は言ってくれるなよ
「あの災厄で生き残ったのは3人。君と獅堂とそして田端教授だ。あの場にアレは居なかったはずだ。なのに君はアレに助けられたという。獅堂は田端教授に保護されて避難してきた。記録によると君もその時に一緒に避難してきたそうだ。なのに君も獅堂も田端教授すら君はアレに助けられたと言う。これをおかしいと思わない方がどうかしている」
またアレ呼ばわりか殺す
「どうあってもアレに疑問にすら持たないのは解った。更に汚染深度が深刻なのも解った。そして此方の予測を遥かに超える力を持つようだ。まさか華裂くカミサマの予想成長限界を3段階も上回るとはな。さて獅堂達が駆けつけて来るまで私は生き残れるのか。では頼むよ」
今死ね
駅員が割って入ってきたが邪魔するなら殺す、そのまま殴りつける
妙な手応えとガシャンという音に疑問を持ったがそのまま振り抜く
咄嗟に距離を取ったようだが無意味だ咆哮をぶつける
咆哮の衝撃波に巻き込まれて吹っ飛んでいく
空中で身動きすらできない羽虫に追い付き蹴りを放つ
また駅員が割って入ってきたがそのまま蹴りつけて壁ごと粉砕する
同じように妙な感触がしたと思ったら羽虫が少し離れた場所に居た
明らかにあの駅員は何かがおかしい
俺が六割の力で二度も攻撃したのに羽虫を殺せていないのはおかしい
警戒度を上げる
そこでまたガシャンと音が聞こえた
「全力がこれほどとは、3段階と言ったのは訂正しよう。君は間違いなく測定不能の破局級の力を持つ。一個師団が護る拠点すら1日と持つまい。しかし壁を壊したのは悪手だった。獅堂達が間に合った」
腕も脚もへし折れ骨が見えているがまだ生きていやがる
何故死んでいない、今すぐ死ね
五十嵐の体内の水分に振動を加える
自分の身に何が起こったのか理解したらしい狼狽しはじめた
「馬鹿な。この力は間違いなく災厄の濁龍のカミサマの」
もう手遅れだ一度振動が始まればそれは加速度的に大きくなり俺以外には止められない、そのまま消し飛べ
「待て竜胆。怒りを鎮めてくれ」
獅堂達が立ちはだかる
邪魔するなら諸共に皆殺しだ
「先輩、竜胆を止めるのに協力してくれませんか」
先輩がいるのか、確かに気配を感じる
「いいよ獅堂くん、ボクは特に何も感じてはいないからね。それにどうせなら甘い方がいい。待ちたまえ後輩くん。ボクを思ってのことはとても嬉しく思う。だけどまだダメだよ」
先輩の声が聞こえた
先輩がそう言うのならここまでだ
振動を鎮める
『先輩がいいのなら。だが五十嵐弥勒、次はねぇ』
「そもそもボクは別に統合政府をどうにかしてやろうとは考えていないんだよ五十嵐くん。世界なんて君たちの好きにすればいい。ボクは色々な夢を味わいたいだけなんだから」
「なぜ竜胆椿が災厄の力を持っている。何処で手に入れた。そして貴様はなんだ」
「おや、それを聞いてしまうのかい。本当に聞いてしまっていいのかい?真偽はどうあれボクの言うことを信じるのかい?」
五十嵐弥勒が恐怖の表情を浮かべた
何を恐れた?
「とてもビターな味わいだ、ボクは甘い方が好きなんだ。その味は引っ込めてくれたまえ」
先輩が嗤う
【この後描きには重大なネタバレがあります】
後輩くん強すぎ
これがハイブリッドドラゴリザードマン
濁龍のカミサマ
後輩くんにはこのカミサマの欠片が埋め込まれている
何某オロチ氏の在り方を乗っ取ったカミサマ
水を自在に操る力は凶悪無比で恐怖した人々により現存していた世界中の戦力を結集して討伐された
あまりにも兵器による被害と犠牲が大きくその事実は伏せられカミサマによる災害であったことにされた、それが災厄
この災厄により都市が複数滅んでいる
人の手によって引き起こされた悲劇である
濁龍のカミサマは強大ではあったが人には頓着していなかった
そして自ら人を襲ったことは無かった
大災厄
カミサマがはじめて観測された事件
まるで何者かが狙ったかのような災害により大都市がことごとく灰燼に帰した
或るカミサマの仕業だったことが後に判明した
ありとあらゆる天候を自在に操り振るうそのカミサマによる蹂躙は想像を絶した
そのカミサマはただ人々の感情を味わう為だけに時間をかけて絶望を与え続け唐突に消えた、だが人はそれを知らない
知らない方が幸せなこともある、例えそこがカミサマによるディストピアだとしても
この事件により西暦が終わり神暦が始まった
話しは変わるが先輩はグルメなので過去に味わい尽くしたものは要らない